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第三話 「戦闘種族たち」03

 戦闘以外のスキルに長けている冒険者がいる。

 【探査】のスキルを使っての索敵や情報の収集だ。


 彼らはその能力故にどのチームにも一人や二人はいたし、ベテランになればフリーで案件ごとにチームを手伝い、ギルドの調査などの仕事を請け負っている。


 戦争時、偵察隊や斥候などの任務の為に作られた能力と言えた。


 シュンはそんな男の来訪を受ける。


「先ずは最強の称号、おめでとう。シュン」

「いや、運が良かっただけさ。トップなんてすぐに陥落するよ」


 男の名はガスケス。

 探査のベテラン冒険者だ。


「スポンサーの申し込みも殺到しているとか」

「大したことないよ……」


 シュンは言葉を濁す。

 彼らの中には情報屋としての側面を持つ者もいた。

 必要以上の話をすることもない。


 実際にはギルドを通して代理人(エージェント)への、十数件のスポンサーからの問い合わせがあった。


「御謙遜を……」


 この事務所として使っている建物も、スポンサーの貴族が無料で提供してくれている。


「今日は何かな?」

「金があるところに営業に来るのは普通だろ」


 ガスケスは持って来た鞄をテーブルの上に載せて開いた。

 中は何層にも仕切られていて、様々なレアクリスタルが光っている。


「いや、うちは今のところ間に合ってるよ」


 ガスケスはその探査能故に、自然死や深手を負って森の深部で死んだベヒモスを見つけ出してレアクリスタルを手に入れている。


 マーケットに流さないで個別に売るのはその方が、割が良いからだ。


「そうかい、この前デス・キャニオンの調査をギルドに頼まれてね。定期的にやってるんだ」


 ガスケスは表情を変えないまま突然話題を変えた。


「あんな所を? 何故だ?」

「今回のあんたの活躍でランキングも騒がしくなってきたな」

「ああ……」

「デス・キャニオン攻略クエスト。やるかもな」


 ギルドは何を考えているのかとシュンは呆れた。


「死にに行くようなもんだ。どこもチームも行かないだろう。いや、チーム・バウザーナやディボガルドのような連中に任せておけばいいんだよ」


 デス・キャニオンはいくつもの渓谷が幾何学模様のよう交差している場所だ。


 ベヒモスの巣が点在しその数も多い。

 そこの攻略クエストなどよほど気合を入れなければ、自殺行為になりかねない。


「あんたのチームもこれでトップスリーだ。どこもランキングを駆け上がりたいって考えるさ」

「だからって……」

「チーム・スカーレッドがやるなら参加するって吹聴(ふいちょう)してるらしいな」

「まさかあ~」


 女ばかりで下位ランクのチーム・スカーレッドが、デス・キャニオンに挑戦するなどありえなかった。


「あんたのチームと合同でってな」

「あのバカ……」

「世間話はこんなところだ。邪魔したな」


 ガスケスは、話は終わりとばかりに立ち上がる。


 そう言えばアルバーがチームに【回復】のスキルがもう少し欲しい、と言っていたのをシュンは思い出した。


「ちょっと待ってくれ、アルバーはいるか?」


 声を掛けると開け放たれた部屋の入口から、サブリーダーのアルバーが顔を出す。


「何でしょう?」

「【回復】のスキルが少し欲しいって言ってたな。ガスケスが色々用意してくれた。買っていいぞ」


 レアクリスタルの希少性とコンテナの希少性は正比例しない。

 例えば【回復】のコンテナは皆が広く浅く持つが、レアクリスタルはそれほど豊富ではないのでマーケットでも品薄になる。


「いいんですか?」

「ああ、俺はちょっと出かけてくる」


 シュンは立ち上がってからアルバーに念を押す。


「ぼったくられんなよ」


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