4/41
~責任者~
白髪といっても年を取っているわけではなく、
見た感じでは20代半ばであろう。
「ほ、本当にすみませんっ!!」
私は一歩下がるとともに、
深く頭を下げた。
この前のカツアゲで少し恐怖心が出てきているのであろう。
「そんなに謝らなくても、誰でもあることですから。」
男の人はそう言って私の方を軽く叩いた。
この人は正真正銘の優しい人だ…、そう強く思う。
「あぁ、そうだ。どうせなら夕飯食べていきませんか?今夜は鍋なんですよ。」
ぐしゃりと腕から下げていたスーパーの袋を持ち上げ微笑んだ。
朗らかな笑みだった。
「あの……ありがとうございます!でも、ごちそうになるわけには…、それに2人はちょっと。」
「あれ、もしかして勘違いしてる?大丈夫安心して、ほかにも女の子とかもいるから。」
「えっ!そうなんですか!!」
勘違いをしてしまった自分が、急に恥ずかしくなる。
「あ~そういえば名前を言っていなかったね。俺は渡辺雄二。よろしく。」
「わ…私は風月真夏です!こ、こちらこそよろしくおねがいします!!」
そう言い笑っていた私だったが、この後アイツが現れるとは考えてはいなかった……。