~猫~
「小さいころ、姉は動物が大好きでした。それはそれは愛しているかのように可愛がっていました。
・・・
あのペットがくるまでは…。」
そう淡々と語る姿は、まるで演劇のようである。
私はまずいことになりそうだと心の中で思った。
それは見事に的中するような出来事となる。
「その、問題のペットとは?」
「ミルという猫です。」
以外にも普通の愛らしい動物なので、
私は少し拍子抜けをした。
この前のワニのような恐ろしい動物なのかとてっきり。
「ミルは、もともと捨て子でした。段ボールに捨てられていたのを、
姉が拾ってあげたのです。ほんとにその頃のミルは小さい小動物でした。」
普通なら拾ってくれた人に猫は愛情を注ぐのではないかとも
思ったが、うまくいかないこともあるらしい。
「しかし、ミルが成長していくにつれ、少しづつ凶暴になっていったんです。
何かをしたということはないのですが、人に危害を加えるような猫に……。
それで姉は、ミルを何とか昔のような人懐っこい猫にしようとしたのですが、
ミルに怪我をさせられ、姉のきれかった顔には傷が無数にもできたんです。
それからです。姉が動物不信になったのは……。」
そう美鈴さんは言うとともに、悲しみを抑えるかのように下を向いた。
動物にだって人は壊れるのだと思う。
人によるのだろうけどね。
でも恐るべし猫だと私は思った。




