その39
なんなんですか、なんなんですかー、なんなんですかー!!
私はなんでこんなところに飛ばされているんですかー! 一体どういうおつもりなのですかお師匠様ー!!
「テリル、お前はいつまでBランクのままでいる気なんだい? さっさとAランクに上がっちまいな」
お師匠様は私にいつもそう言うのです。私だって好きでずっとBランクでいるわけじゃないのに!
そもそもBランクとAランクには高い壁があるのです、そう簡単にAランク冒険者になどなれるはずがないのに!
「今日はダンジョンに行くよ、用意しな」
「ダンジョンですか? 分かりましたです」
いつだってその日の予定は突然です、今日はダンジョンに行くらしいです。でもお師匠様とダンジョンに行ったって全部お師匠様が魔物を倒しちゃうじゃないですか。それでAランク冒険者のなれるのですか?
そしていつものようにお師匠様に付いて行きダンジョンへと入ってすぐだったのです。
「今日はあんた一人で行ってきな」
え、どういうことですか? そう言おうとした時には遅かったのです。お師匠様が何か取り出して私に向かって投げつけたのです。
足元に投げつけられたお札の様なものが突然光り出したのです。あ、これは転移するやつだー!
「お師匠様ー!!」
そう叫んだ時に見た事のないダンジョンの風景が広がっていたのです。そう、私が来たことのない階層のダンジョンに飛ばされていたのです。
どこですかここは? と、とりあえず上を目指して行くしかないのです、そうでないと私はこのままのたれ死んでしまうのです!
こっそり、ひっそり、こそこそとダンジョンを進んで行ったのです。そしてそこで出会ってしまったのです、あれはリッチなのです! 魔法がほとんど効かない魔法使いの天敵なのです!
「あわわわわ……」
あれは無理なのです、純粋な魔法使いである私には荷が重すぎるのです!
でも、あれを倒さないと上の階層には行けそうもありません。だってあのリッチのいる先に上へと続く階段が見えるのです!
どうしよう、どうしよう。お師匠様は一体どこの階層に私を飛ばしたのですかー! 相手がリッチとか手も足も出ませんよー!
どうしようかと様子を見ていたら他の魔物に見つかってしまったのです。相手はトロール?!
なんでリッチとトロールが同じ階層に居るんですか? そんな疑問に誰も答えてくれるはずもなく魔物が近づいてくるのです。
トロール一体だけなら何とかなるはずですが二体もいるじゃないですか、しかも二体ともこっちに向かって来るのです!
一人で二体相手はまずいのです、魔法の詠唱も間に合いそうにありません。に、逃げるのです!
必死で逃げたのです、それはもうなりふり構わずに。
必死に逃げて、逃げて、逃げて。
「誰か助けてえぇぇぇー!」
気づけばそう叫んでいたのです。
無理無理無理ー!! 一体だけなら何とか魔法で倒せそうですけど二体は無理なのですー!!
怖くて涙も出てきました、鼻水も垂れ流し状態なのです。
「ぎゃぁぁぁあああーー」
叫びながら死に物狂いで逃げていると前に人影が見えたのです。他の冒険者ですか? 一人しか見えませんけど、でもこのままだと巻き込んでしまうのです。
「逃げてぐだざーい、私も逃げまずがらーー!」
もつれそうな足を動かして必死で逃げるのです!
でもその冒険者は腰に差した剣に手をかけ抜刀すると私の方に向かって来るのです。ダメです、トロールは物理耐性と強い再生能力を持っているのです。剣じゃ勝てないのです! お願い逃げて下さいなのですー!
「引き受けた」
すれ違いざまに剣を持った冒険者がそう言うと後ろでドサっという音が聞こえ、走りながら振り向いたのです。
そこには足を斬られその場に転がるトロールと胴体を斜めに斬り上げられ血を流すトロールがいたのです。
「えっ?」
思わず間の抜けた声を上げた時には首を斬り落とされたトロールと、胴を真っ二つにされたトロールが転がっていたのです。
「えっ、えぇぇ!!」
よく見るとお爺さんなのです、お爺さんで冒険者なのです!
「こいつの特定部位はどこかわかるかの?」
何事も無かったかのようにしれっと聞いてくるお爺さん。
なんなんですか、なんなんですかー、なんなんですかー!!




