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幼馴染のツンツンな委員長が、異世界では俺にデレデレなんです  作者: 松林ゆきひろ
夏合宿、本格始動!
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合田酒造試飲会場 5

「お待たせ〜話ついたから〜」

「というわけでケントくん、さっきの話は忘れでくれ」

「私には私の考えがあるんだから父さんは勝手な(ハナシ)しないでよね」

「え〜でも気になるな〜」

「すまなかった、若い(モン)の事は若い(モン)に任せる、じゃあな」

「失礼します。あなた大丈夫?」

 フラフラしながら奥さんに支えられて立ち去る合田社長。さくらに説教され心が折れたのかシナシナになって話をする余裕もないようだ。

「さくらテメ何隠してんだ?」

「やだ〜乙女の秘密がそんなに気になる〜?」

「気にならんが気になる」

「秘密を知られたらもう山田と結婚するしかなくなっちゃうな〜でもしょうがないな〜話しちゃおっかな〜」

「大した秘密でもない癖に何言ってんのよ貴方(アナタ)には来生くんがいるでしょ」

 真由美は立ち上がってさくらに詰め寄り低い声で早口で(まく)し立てた。よほど腹に据えかねたらしい。声はどんどん低く早くなりもう何を言ってるか聞き取れない。


「アンタがちゃんと繋いでないからサカリの付いたオス犬みたいに私の周りチョロチョロして迷惑なんですけど?ケンちゃんに勘違いされてたのよ?保健所で処分して欲しいくらいだわ」


 一体何を言ってるんだろう?良く聞こえないが真面目な真由美の事だ、へらへら笑って御巫山戯(オフザケ)ばっかしてるさくらに真摯(しんし)に向き合い真人間(まにんげん)になんよう(さと)しているに違いない。委員長として!


「それで済みゃ苦労しないわよ〜山田〜アンタも聞きたい〜?私のヒミツ♡」

 座ったまま真由美の怒りが通り過ぎるのを待っていた俺に駆け寄り手を握ろうとするさくら。でもすんでの所で殺意の波動がこもった真由美の手刀がテーブルに振り降ろされた。

「あ〜ら何この手〜清水(しー)さんやだ必死〜?」

 さくらめ、真由美の反応(リアクション)を楽しんでるな。

「さくらの秘密なんて聞かなくていいから。ケンちゃん行こ!」

「お…おう…」

 真由美は万力のような力で俺の手首を掴んでグイグイ引っ張った。どうやらここまでだ。

「さくら、俺ら部屋に上がるから」

「早く行く!」

「へいへい。じゃ〜な〜さくら〜」

「私は来客の応対があるから漫画の仕上げはアンタらに任せたわ。特に山田、あんたサボるんじゃないわよ」

「わかったわかった」

 ふう、真由美のヤツさくらの御巫山戯(オフザケ)を真に受け過ぎなんだよ。アイツがニヤニヤ笑いながら言ってる事なんか本当(ホント)かどうか怪しいモンだ。話半分に聞き流せばいいのに。

「あっ、お兄ちゃんいた〜」

 吹き抜けの階段から1階に…ここは本来なら新郎がウエディングドレスの新婦の手を握りエスコートして降りる階段なんだが、真由美にグイグイ引っ張られて転げるように降りる俺を見付けて声をはりあげたのはドイツワイン試飲会場の前で例によって塊肉にかぶり付いて食ってる美奈だった。

「美奈、俺ら部屋に帰るから」

「わかった〜ハイこれ持って持って〜」

「歩きながら食えって?」

「え?ぜんぶ私の。部屋で食べるの」

「フランクフルト6本もか?」

「豚肉と〜合い挽きと〜牛肉で6本いるよね〜?」

「2本ずつは欲張り過ぎよ」

「行こ行こ〜♡」

 美奈は塊肉をあむあむ食べながら一緒について来る。

「なんじゃソリャ?」

「アイスバインってゆ〜んだって。茹でてグリルした豚肉」

「どこにそんなに入るの?不思議ね」

 真由美の疑問ももっともだ。

「育ち盛りだから〜」

「太るぞ」

「大丈夫だいじょうぶエネルギー使うから〜」

「何に使ってるか謎ね」

「有り得ねーだろ」

「気にしない気にしな〜いキラリーン☆」


 ま、大して気にはならんけどな。

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