平和が一番なんですが?
【あぁぁー、それはもしや……時空に関する事柄じゃからのぅ】
ばぁちゃんが取り出したペンダントを、まじまじと見る金色のお兄さん。
「ここまでチートじゃなくてもいいんだ。
荷馬車2~3台分でも、時間停止じゃなく、限りなくゆっくりとか。
これから旅を続けて行くのに、大荷物を持ち歩くのは、まだまだ子供のユズリハには大変なんだよ。
これはアタシ専用だからユズリハには譲れないし。なんとかならないかい?」
ばぁちゃんが力説している。
【うむ、少々時間を貰おうか。枯れたとはいえ精霊を宿す精霊樹の能力を引き出せば、あるいは…】
「本当かい?!ありがとう!助かるよ!!ユズリハもお礼をお言い」
「ばぁちゃん、つまり、僕だけの秘密の宝物入れ、って事だよね?!だよね!!
めっちゃ嬉しい!!ありがとうございます!!!」
僕は飛び跳ねて喜んだあと、おもいっきりお辞儀をした。もう、ぺったん、って、頭が足につくぐらい。
【おおぅ、そうか、そこまで嬉しいものか。それは我らも頑張らねばのぅ】
金色のお兄さんは、ニコニコと笑っている。
【そんなに良いものなら、もうひとつ、頼みを聞いてくれないかしら?】
青色のお姉さんが話しかけてくる。
「ハイ!出来ることなら、喜んで!!」
僕は手を上げてにっこにこで答える。
【エリクサーをもう少し分けて欲しいの。私達もまだ本調子じゃないし、新たな精霊樹にも、もう少し栄養があったらいいと思うのよ】
片手を頬に当てながら憂い顔する青色のお姉さん。
「ばぁちゃん!材料ってまだあるの?僕、作るよ!!」
ばぁちゃんの裾を掴んで聞いてみる。
「うーん、ユズリハ、3日連続で魔力切れで倒れる気かい?それはちょっとオススメしないねぇ。
精霊王様方、それはすぐに必要かい?アタシが作ったものでも構わないのかい?」
ばぁちゃんが僕の頭を撫でながら、精霊王さま達に聞いている。
【ああ、そうね、坊やは2日続けて魔力切れで倒れてるのね。
じゃぁ、坊やには、体調を万全にして貰って、3日後、私達の事を考えながら、私達のためのエリクサーを作ってくれないかしら?
で、そちらの大人のハイエルフは、今日から出来るだけ沢山、精霊樹のためのエリクサーを作るって事でどうかしら?】
青色のお姉さんの提案に
「アタシでいいならいくらでも作るよ!ユズリハも3日あったら、ご飯を沢山食べてゆっくり過ごせば大丈夫だろう。いいかい?ユズリハ?」
「うん!!僕、精霊王さまのために、さいっこうのエリクサー作るよ!!」
僕は拳を突き上げ、元気いっぱい答える。
【じゃぁ、3日後、また会いましょう!】
【うむ、3日後、だな】
そう言って、精霊王さま達はキラキラと消えていった。
「とりあえず、エリクサー作るのに竈が必要だ。一旦帰ろうか」
洞穴に帰ってきて、ばぁちゃんがエリクサーを作りはじめ、僕は最初予定してたブラッシングを始める。
わびすけ!毛が舞う、毛が!
かえでともみじはそれを追いかけて遊び、もみじは体力がないのか、すぐにお昼寝をし、ムクは順番待ちの間、草を食べている。
ああ、平和だー。
そして、次の日も、
やって来たリスさんに、ばぁちゃんは「鍋がないんだよ!鍋が!冷ましてる間、次のを作れ、って?!そう言うなら、鍋、持ってこいや!!」と言いながら、うちの鍋でエリクサーを作り、
僕はもみじの魔力制御を見ながら、ここの森で取れたベリーでジャムを作ってたら、リスさんに味見と称して半分食われ、怒ったばぁちゃんがリスさんを追いかけ回し、わびすけも面白がって後を追ってたり
また次の日は、
「鍋の形してりゃ良いってもんでもないんだよ?!ちゃんと耐熱性有るんだろうね?!火から下ろした直後の液体、ぶっこんでも割れないんだろうね?!!」
木製の大鍋の形をしたものを持ってきたリスさんに、ばぁちゃんが耐熱性を確認したのに
「イケルわよ!」
と、大見栄切ったリスさんの言葉に、半信半疑ながら、出来上がったエリクサーをどぼどぼと木の鍋に移したばぁちゃん。
ばっくり割れて、エリクサー1鍋無駄にして、またもやリスさんとばぁちゃんの追いかけっこが始まり、
こぼした地面から草花が百花繚乱咲き乱れ、なんか、うねうねと僕に絡み付いてくる根っこと、それを食べて撃退しようとするムクとの攻防を見た栗之助の爪が炸裂しながらの遠吠えに、ばぁちゃんが慌てて戻って来て「何でトレントが生えてるんだい?!」って、桜子の雷で撃退出来たり。
あれー?平和、どこ行った?
ブル それもこれも、全部リスのせいだよ!!!
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