本体、分体、お子ちゃまだい♪
「うわぁー…」
「おいおいおいおい、こりゃ、…世界樹、かい?」
僕とばぁちゃんが圧巻の巨木を見上げていると
「遅いわよぉぅ!!」
という声が上から降ってきたと思ったら、
「むぎゃ!」
顔にもふもふが張り付いた。
ばぁちゃんがべりっと剥がして、自分の顔の前に持っていき
「こりゃ、世界樹、かい?世界樹ってのは、各大陸にあるもんなのかい?」
リスさんに尋ねる。
「あら、アナタ、世界樹見たことあるの?
似てるけど、これは違うわ。世界樹は元々この世界に1本だけ。これは、精霊樹よ!」
「「精霊樹?!」」
ばぁちゃんと声が揃った。
「そうよ、精霊樹。
本来、精霊樹は、それこそ各大陸に1本づつ生えていて精霊を産み出してたのに、まず最初に人間が住む大陸の精霊樹が無くなったわ。多分、精霊の見えない人間が切り倒したんでしょうね。
魔大陸に生えてた精霊樹は、ドラゴンに負けて養分になったわ。
まぁ、その後、数百年もしてから、そのドラゴンが魔人族に負けてドラゴンもいなくなっちゃったけど。
だから、精霊樹もこの世界で、この大陸に1本だけになっちゃったんだけど」
「???」
「…そりゃ、アタシ達が聞いてもいい話なのかい?」
僕は良くわからなくて首をかしげてばぁちゃんを見たら、ばぁちゃんは、ひきつった顔してる。
マズイの?
「別に良いんじゃないかしら?
でね、アナタの持ってるエリクサー、ちょうだい!」
リスさんが両手を出して小首をかしげてお願いしてくる。
「精霊の栄養剤だから、精霊樹の栄養剤にもなるの?精霊樹、弱ってるの?」
僕はばぁちゃんが掴んで、ぷらんぷらんしてるリスさんに聞いてみた。
「そうなの、弱ってるの。
なんかね、百数十年に、いきなり精霊樹が枯れだしたの。
びっくりした当時の精霊王達が調べたらね、なんか中身がスッカスカみたいになって養分が吸えなくなってたんですって。
こうなるまで気付けなかった我々の責任だ、って、精霊王達が精霊樹の中に入って自分達が養分代わり、倒れないように、枯れないように支えてくれたんだけどね、そろそろ限界なのよね。
精霊樹を持たせるのに精一杯で、新たな精霊も産まれてないし。
だから、精霊王達がちっさい分体を出して、根本から解決出来そうな者を探してこい、って植物ならエルフじゃないかって、使命を受けてエルフの里に行ったっきり、10年も音沙汰ないんですもの、もうこの木も終わり、私も終わりかと思ってたら、分体の気配、誰か連れてる、っていうから迎えに行ったら、いい案配にエリクサーなんて作ってるじゃない!
ギリギリ間に合ったわよ!」
「オイコラ、侘助達!!今までそんな話はひとっつも聞いちゃいないよ!!」
ばぁちゃんがわびすけ達に怒ってる。
わびすけは首を縮めて、ムクは引っ込み、かえでは顔を洗っている。
「先に、精霊王達が完全に精霊樹に取り込まれる前に!さっさとエリクサーかけちゃってよ!」
リスさんが、ぷらんぷらんしながら、精霊樹を指差す。
「エリクサーをかけるのは良いんだがね、
瀕死のモノにエリクサーをかけたら、エリクサーは命を繋ぐ代わりに何かを犠牲にするって、聞いてるんだよ。
この精霊樹は瀕死なんだろう?
精霊樹を生かす代わりに、中の精霊王達が犠牲になるんじゃないのかい?
そしたら、分体だ、っていうユズリハの精霊達はどうなるんだい?!」
「それ、誰に聞いたの?」
リスさんがばぁちゃんを睨みながら聞く。
「…アタシは魔法契約を結んでるんだ。言えないよ。これを見て、察してくれ」
ばぁちゃんが首からロケットペンダントを取り出して、リスさんに見せながら言う。
「…ぬぁー、アナタ、世界樹を見てるって言ってたものね。
ちょっと、降ろして。ここで待ってなさい」
リスさんは、地面に降ろされると、シュタタタタっと精霊樹に駆け寄り、あっという間に見えなくなった。
ユズ 僕にはしゃべったけど、リスさんにはしゃべれないの?
ブル アタシが見極めた、エリクサーを作れるヤツとは秘密を共有出来るのさ。ユズリハはアタシのお眼鏡にかなうのは、当然さね!
ユズ 僕が作れそうになかったら?
ブル ユズリハが作れない、なんてことはあり得ないね!
ユズ …ばぁちゃんの、その自信は何処からくるんだろう?
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