恭介
「いただきま~す」
俺はすごい腹が減っていたのでものすごい勢いでラーメンをすすった。マユさんは丁寧な仕草でチャーハンを食べた。まるで子犬みたいでとても愛らしかった。直子はどうだろう。マユさんみたいに子犬のように食べるだろうか。いや、直子の食べ方はもっと粗野だったはず。でも、俺はそんな粗野な食べ方をする直子をとても気に入っていた。そこには、俺なりのこだわりがある。
「良い食べっぷり」
「腹が減っていたので」
俺はあっという間に食べ終えた。マユさんはまだ三分の一も食べていない。俺は食べることに飢えていた。
「マユさん、自分で払うので、替え玉してもいいですか?」
「お好きに」
「すいません、替え玉もらえますか?あとごはんとゆで卵ください」
おかわりが運ばれてきた。俺の食欲は、まだ足りない、まだ足りない、と魂の叫びを上げていた。
「すいません、替え玉とごはんとゆで卵ください」
マユさんは茫然とした表情をしていた。結局、俺は替え玉2、ごはん3杯、ゆで卵3個をたいらげた。
「ごちそうさまです」
「なんとかセット」
「ああ、あれは豚骨ラーメンっすね」
「ラーメンの種類が違った」
俺の食欲は満たされた。腹が満たされると、思考は少し安定した。心配事がある時はたくさん食べるに尽きる。商談は食事をしながらすると上手くいくことが多いらしい。
マユさんは心配そうな顔で俺を見た。席を立ち上がると、俺の胃袋は破裂しそうになっていた。とても50キロ台の人間が食べていい量じゃなかった。マユさんは心配そうにお腹をさすってくれた。その時、とある光景が俺には浮かんだ。直子のお腹を大切そうにさする俺。俺たちの赤ちゃんが、元気に直子の胎内で暴れまわる。そんな光景だ。
俺はあるいは、未来視でもしたんじゃないかと思った。
「どうしたの?そんなびっくりした顔して」
「答えが見つかりました」
俺はスマホを取り出し直子に電話をかけた。
「もしもし、恭介」
「直子、産もう」
「どうしたの、急に」
「俺たちの赤ちゃんが生まれるチャンスなんだぞ。逃していいはずはない」
「そう、わかった。産むよ」
冷房つけてるのに、ヒーターもつけてます。
冷房ばかり浴びてると身体がおかしくなりますよね。




