10th offense: Rich man's story
やっとこさ、実質10話目!!
この話は自分が今、一番尊敬している漫画家さんの漫画にちょこっと載っているお話をリメイクして載せました。
その漫画は、この小説の目標地点です。
儚く遠くて、手を伸ばそうが、足を伸ばそうが、届きやしなくて。
必死に階段上り詰めて、その漫画の一部でも掴める様、日々努力していきたいです。
それでは、そうぞ!!
あるところに、言葉を売る国がありました。
挨拶の言葉から、差別用語まで。 最西端の国の言葉から、最東端の国の言葉まで。
多種多様の色々な国言葉を売り買いしていました。
そこに住むとてもとても大金持ちの男は、色々な言葉を買い占めては人々を困らせました。
ある時は、「おやすみなさい」の言葉を買占め、寝る時の挨拶を誰もが言えなくなったり。
ある時は、「おいしい」の言葉を買占め、とてもおいしい物を食べた時でも「まずい」としか言えなくなり、喧嘩沙汰にもなったり。
しかしそんな我儘の男にも、春がやってきました。
それはある日、この国に住もうとする他国の若い女性でした。
男は必死に、口説き文句を買いあさりにあさりました。
『I LOVE YOU』から、『愛してる』や、『Je t'aime』とか。
『Ich habe dich gern』や、『Anh yeu em』等と、全部の愛の言葉を買い占めました。
そしてある日、男は女性に全ての口説き文句をぶつけました。
しかし、彼の恋は実りませんでした。
なぜなら、彼女の国の愛の言葉まで買ってしまったのですから。
「ってお話、どう? 出来、良かった?」
「う〜ん………何かおかしいよ。 おいしいって言葉か買われても、ふつうって言えば良いと思うんだけど……」
「咄嗟には出なかったんだよ、きっと……」
「それにね、ずぅ〜っと前の言葉使ってるのに、買われちゃっただけでは忘れないと思うよ?」
「…………それはね、お話だからだよ」
青年の顔は苦笑いだった。