9 落雷 10ああ、美しきすべのものよ
9 落雷
ざあざあとあめがふっています
ごろごろとおてんとさまがうなっています
敬虔なる僧侶による雨ごいは
神の御慈悲を引き出すのでなく
その権高さをおにくみになり
雷の槌をおあたえになりました
今日の天気は晴れのち雨
ところどころ雷雨に見舞われるでしょう
傘をお忘れなく
元気にいってらっしゃい
サンダーストラック
ライジングサンダー
10 美しきすべてのものよ
放浪するカオス理論主義者は渇いた夢を見た
甘心こそが彼の生きる糧だった
幾たびの邂逅の果てに
惨憺たる記憶すら凌駕して
その青臭いフィルムを燃やすことなく
真向に向き合った
黴臭い、否、手垢にまみれた言葉ではきっと到達できない醜悪ななにか。けれど、それは単に醜悪なだけでなく、懐古も感じさせる。その二律背反的な詩のような雅さを持ち合わせた思い出は、正しく彼だけのもかもしれない。
けれど、ソレはありふれているから、誰かに言うようなことでもない。
けれど、ソレを共有したいという気持ちは確かだ。
だって、わたしはそれを美しいと感じているから
だって、わたしはそれを後悔しているから──────
ソレは、ほんとうに瞬くような青春のワンショットで、
ありふれているから、インスタントカメラに収めるにはもったいないけれど、
紡がないのは勿体ない。
だから、私は連ねよう。
刻むために、