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 建物を出ると、蓮華を先頭に走る面々。

 時折、影が行く手を阻むものの、そんなものは障害にならない。瞬時に凍らせ、道を切り開いて行った。

 だが――蓮華の足が止まる。

 何故進まないのかと上条が聞けば、道が無いと蓮華は言った。


「湖からは帰れない。だから別な道をとこちらに来たが――」


 目の前に広がるのは、焼けた家々。記憶にあるのとは違うその場所に、蓮華は眉をひそめた。


「封がしてあるはずだが……。いつ破れた」


 上条に説明を求めるも、詳しいことはわからないと告げられる。


「日向さんを連れて来るまでの数百年、この世界に近付いてはいませんので。――アナタたちなら、何かご存知なのでは?」


 聞けば、知らないと雅は即答。だが、叶夜は心当たりがあるのか、浮かない表情をしていた。


「…………」


「キョーヤ、アナタは?」


「……知ってる。破ったのは――多分、俺だと思う」


「お前、核心が無いのか?」


「記憶があやふやなんです。でも――この場所は覚えてる」


「では、この有様もお前が?」


 頷く叶夜を見るなり、蓮華は重いため息をついた。


「ならば、ここにあるはずの道も危ういか。――リヒト、道を作るぞ」


「構いませんが、貴方の負担が……」


「気にするな。早く戻る方が先決だからな。場所は、こちらで指定する」


 話を進める二人に、叶夜は待ったをかける。このまま美咲を置いて逃げることは出来ないと、ディオスの元に戻ろうと説得する。


「――――それは出来ない」


 意を唱えたのは、美咲のそばにいた青年。

 怪訝そうな表情の叶夜に、青年は続ける。


「今は引くのが先決。我々が生きて逃げおおせなければ、主の行動が無意味になる。どうしても行くというのであれば――」


 青年の瞳が、左右変化していく。青と緑。輝きを増した瞳で、叶夜を見る。


「力づくで、貴方を連れ帰ります」


 明らかな敵意。

 身構える二人に、蓮華は間に入った。


「ここで争うな。余計な者に気付かれるだろうが。――キョーヤと言ったか。お前の考えもわかるが、今はこの者の言うとおり引くのが先決だ。傷付いた体で何が出来る。それに、この場にいる誰一人として、あいつに敵いはしない」


「っ、だからと言って……」


「安心しろ。あいつは美咲を殺さない」


「でも、傷付けないという保障は」


「それもしない。目的の為には、無傷で生きていなければ意味が無いからな。――始める」


 続きは後からだと話を切り、蓮華と上条は、作業に取り掛かった。

 静かに、呼吸を整える。

 冷たい空気が漂い、はく息が白くなるほど。

 蓮華は右手に力を集中させ、二メートルほどの氷柱を目の前に作り出す。姿が映るほど表面が滑らかになると、上条がそれに触れ、言葉を唱え始めた。


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