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「それで……赤の命華っていうのは、どういう者なんですか?」


 頭がはっきりしてくるなり、早速、疑問に思っていることを聞いてみた。

 それに叶夜君は、自分が知っている範囲ならと、話を始めてくれた。


「前に少し話したが、命華とは基本的に二種類。傷を癒す者。そして、花を作る者。どちらも回復させる力があるが、前者は体の傷を。後者は体力を癒す。命華に出来ることはその二つ。 

 だが――例外が起きた。表面的な傷だけじゃない。魂の修復、衰退を防げる者が現れた。おそらくは、呪いのある俺たち王華や雑華に接触したことが原因だと思われている」


「えっと。両方できると……具体的に、どういうことが?」


「――“呪いの解除”」


 低い声で言われ、思わず身を強張らせた。


「初めて呪いを解除したのは、両方の力を備えた赤の命華とされている」


「じゃあ、私にもそれが?」


「おそらくはな。だが、こちらとしても情報が少ない。具体的にどうすればいいか不明だが、君が“希少”だということだけはわかった」


「そんなに希少なんですか?」


「あぁ、希少だ。記録によれば、赤の命華と呼ばれた者は過去から現在にかけて一人しかいない。以前話した伝承に出てくる人物がそれだと言われている」


 たった……一人。

 命華ってだけでも大変だったのに、それが更に希少な力を持ってたら。

 その人の詳しい記録はないらしいけど、伝承を聞いているからか、他の人よりも大変だったんじゃないかって、なんだか悲しくなってくる。


「――長く話過ぎたな」


 そう告げると、叶夜君は立ち上がる。


「今日はもう、休んだ方がいい。――またな」


 窓から帰って行くその姿を、私は名残惜しそうに見ていた。

 もう少し……話したかったんだけどなぁ。

 怖いってわけじゃないけど、夢のことを思い出そうとしたら、胸が苦しくなって――それが余計、一人になった淋しさを倍増させていた。


「――やめやめ」


 頭を左右に振り、雑念を振り払う。

 こういう時は、考えずに寝てしまうにかぎる。だから寝てしまえばいい、そう自分に言い聞かせてみたものの――余計に目は冴え、思考もはっきりしていく始末。

 ……牛乳、あったかなぁ?

 喉もちょっと乾いたし、どうせなら眠る効果がある物を飲もうと、台所に向かい冷蔵庫の中を見る。でも残念なことに、お目当ての物はなかった。

 他にいい物って――あっ。確か、睡眠にいいハーブがあったよね。

 棚を開け、幾つかあるパックや缶からカモミールを選ぶ。お湯を注ぐと、しばらくソファーに座り、香りが出るのを待った。

 ほんの二、三分。それだけ短い時間だというのに――。

 さっきまで来なかった睡魔が、徐々に訪れようとしていた。


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