↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
149/189

/5


 少女が倉本杏奈だと知り驚く二人に、久しぶりだね、と言ってから、倉本は言葉を続ける。


「早く退避した方がいいですね。そろそろ、空間が保てなくなります」


「お前……何故それ程までに詳しい」


「私、様々な空間の境目を監視するのが役目なもので。一応、一級ライセンスも有りますよ?」


 懐から銀色の鍵を取り出し、倉本は口元を緩めた。


「なので、すぐにでも人の世に繋げます。本当に急がないと、ここも危ないですよ?」


「――蓮華様!」


 何処からともなく、木葉が叶夜たちの前に現れた。蓮華のそばに寄ると、持って来た薬を飲ませ始める。そして蓮華を抱えると、少女に人の世に繋げることを頼んだ。


「蓮華様には、傷の修復に力を使っていただきますので」


「了解です」


 今度は、懐から小瓶を取り出す倉本。蓋を開ければ、中から淡い色をした蝶が舞い出てきた。次第にそれは数を成し、一つの塊になっていく。


「とりあえず、人目につかない場所に出ますね」


 中心に鍵をさせば、蝶と同じ淡い光が、叶夜たちを包んでいった。


 ◇◆◇◆◇




 ――――歩いて、る?




 自分が体を動かしていることが不思議で、思わず、そんな考えが過ってしまった。

 私の手を引くのは、見知らぬ中年男性。でも本質は、私の知る人物。……いえ。だった、と言う方が正しいわ。


 もう、彼の中に彼はいない。在るのは、己のことしか考えない、破壊衝動を備えた部分なんだから。




「さぁ――玉座へ」




 満点の星空が輝く最上階。その中心に置かれた椅子には豪華な装飾が施され、まさに、玉座と呼ぶに相応しい。




「あとは――月が満ちるのを待つのみ」




 私を座らせると、彼は跪き、左手に口付をした。




「記しは全て消す。だが――ここは、後の方が面白いだろうな」




 私の唇に触れ、彼は怪しい笑みを浮かべる。

 きっと……彼は、もっとも苦しい手段を取るんだ。

 いずれ、ここに皆が来る。あの子と私の絆は強いから、あの子が皆のそばにいるなら、ここに導いてくれるだろう。

 この姿であの子に会ったら……その時が、本当に終わる時だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。