表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
135/189

.




「護れないなら……傷付ける力なら、そんな力はいらない!」




『……そう。いらないんだ』




 風が吹きやむと、再び目の前に来たフェリス。両手でゆっくり頬に触れ、相変わらずの無表情を向ける。


『どうして……恨まないの? みんなが救われても、ワタシたちは救われない』


「どうでもいい……。自分にあるのは、みんなを護りたいという意思だ。

 確かに、あなたと自分は同じじゃない。相手を滅ぼすとか、恨むとか――あなたの方が、自分勝手だ!」


 その言葉に、フェリスは初めて表情を変える。微かに悲しそうな表情を浮かべ、自分をそっと抱きしめてきた。


『誰も好きになれないのは……嫌。そんなものは壊したい。力があるなら、自分の為に使えばいいのに』


「――――そんな感情、自分には無い。

 今必要なのはそれじゃない。日向美咲が選んだのは、そんな自分勝手に力を使うことじゃない。――それが、自分に残された意思だ」


 その言葉に、フェリスは抱きしめる腕を緩めた。そして自分の顔を見つめ、ふっと、やわらかい表情を見せた。


『――いいよ。力、使っても』


「っ! 本当――?」


『でも、長い間はダメ。ワタシは、まだ覚醒の歳を迎えてない。だから、力はたくさん使えない』


「わかった。これから――あなたは、自分の中に?」


『ワタシは、アナタの力そのもの。覚醒をし、力を受け入れれば、ワタシはアナタ。そして、アナタはワタシ。――だから、会うのはこれっきり』


 途端、フェリスの体が徐々に消え始める。これで本当におしまいだとわかった自分は、思わず声をかけた。




「フェリス――ありがとう」




 声が届いたのか、フェリスは消える前に、笑みを見せてくれた。




 ――しばらくして、左手が石から離れる。その場に倒れてしまったものの、先程までの不快な感覚とは違い、今は、心地いい感覚が体を包んでいた。




「本当に――お前は無茶をする」




 額に、誰かの手が触れる。

 もうフェリスはいない。今ここにいるのは――?




「だが、おかげで会うことが出来た」




 声は、いつも聞いている彼の声。だとすると――今目の前に見えているこの者がそうなのだろうか?


「時間が無い。今から言うことを、必ず覚えておけ」


 なにを言うのかと思えば、彼は真剣な眼差しで自分を見つめる。


「お前は強制的に覚醒した。だから、今までどおりこの世界に繋げるのは難しい」


「――なら、自分も」


 日向美咲のように、消えてしまうというのか?

 それはダメだ。

 消えるなら、やり遂げてからでないと。


「そうならない為に、力は使い過ぎるな。残る時間は三日だ」


「なぜ――正確な日数を?」


「それが決まりだからな。世界を創り、滅びる日数。オレたちは、昔からそれに縛られているからな」


「自分とあなたは――同じ?」


「オレはただ、お前をこの世界に繋いでいる者。それだけ知っていればいい。――力のこと、忘れるなよ?」


 囁くと、彼も姿を消した。

 おそらく、自分の中に戻り繋いでくれているんだろう。

 フェリスと彼。この二人が在るから、自分はまだ存在できる。




「残り――三日」




 それまでに必ず――終わらせる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ