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第五話 『12月8日、運命の日』

山本は執務室の時計を確認する、時刻は12時50分、忠実では米国日本大使館の大使が宣戦布告を通達するのが遅れ、事実上奇襲攻撃となった真珠湾攻撃の日であった。


「あと10分か……」


「緊張してますか、山本さん?」


険しい表情をしながら時計を見つめる山本に、ユナは少し心配そうに声を掛ける。


「ありがとう、作戦は順調に進行中だ。安心してくれて構わない」


「そうですか。ですが、殺傷はできるだけ回避してくださいね」


「あぁ、近藤くんにもしっかり伝えとるよ」


同時刻、真夜中の帝都の大通りを走る軍用トラックがあった。荷台に兵士を乗せたトラックの数は30台以上に及び、中には装甲車も含まれていた。


「総員、作戦を開始せよ」


陸軍中将である近藤こんどういさむは、部隊を帝国の主要機関に分散させる。行き先は総理官邸、陸軍省、海軍省、国会議事堂、内務省、大蔵省、警視庁。


「突入だ!」


総理官邸にトラックごと突入した近藤の部隊は、衛兵を気絶させ、一気に中へと突入する。瞬く間に官邸を占拠され、身柄も拘束されてしまった東条英機は、そのまま官邸の談話室へ軟禁される。


そして太平洋、真珠湾攻撃に向かっていた南郷忠一海軍中将率いる第一航空艦隊は、真珠湾への航路を変更し、東京湾に向けて帰港する。


山本の元には、クーデターの結果報告が続々と舞い込んでくる。


『首相官邸制圧完了、東条首相を確保』


『こちら第一部隊、帝都各所の配置完了です。戒厳令いつでもいけます』


『第二部隊、同じく配置完了』


『第三部隊警視庁制圧!』


『こちら作戦本部、南郷中将率いる第一航空艦隊の回頭を確認しました』


「死者、負傷者は?」


「負傷者は20名、死者は0です」


「よし、次は満州の関東軍に通達だ。帝都にてクーデター発生、ソ連による攻撃に注意せよと」


「了解!」


作戦は着々に成功を収め、帝都の8割を革命軍が占領した。


「長官、陸軍省の杉山大臣がお見えです」


「そうか、通してくれ」


「…………山本くん、これは一体どういうことかね?聞けば、この騒ぎは君たちが計画したそうじゃないか?」


執務室に連行されてきた杉山大臣は、山本を睨むが、彼の隣にいたユナを見ると首をかしげる。


「はて、彼女は先日の陛下の一般参賀で歌を歌ったお嬢様ではないか。まさか、昨日の歌も全て計画の内か?」


「その通りです。全ての作戦の立案は彼女が行いました。彼女から大臣に頼みがあるそうですよ?」


「杉山元さん、私からの頼みは、貴方に首相についてもらいというものです。どうですか?」


銀髪の美少女に、突然首相になってくれと言われた杉山は、驚きのあまりおうむ返しでユナに聞きなおした。


「私が首相だって?」


「はい、東条さんは作られた首相。失脚した東条さんの代わりに革命軍の司令官である近藤さんが臨時の首相についています。そこで、近藤さんが次の首相となり、平和国家としてこの国を作り変えて欲しいのです。すでに、海軍元帥の伏見宮様からも許可をいただいております」


数分前、山本は仲の良い上司である伏見宮博恭王様に革命のことを伝え、陸軍大臣である杉山を首相にさせることで一致している。


「分かった。どうせ失脚する身だ、なってやろうじゃないか」


「ありがとうございます。では、早速ですが山本さんと近藤さん、杉山さんの三人で記者会見を行ってください」


「分かった」


1941年12月8日、午前0時00分、忠実では日米が運命の開戦をした日だったが、この世界では開戦が阻止され、日本が平和国家として歩み始める運命の日となった。

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