13 大精霊の失態
夜が明けて、薄暗い森が少し明るくなってきたようだ。
不気味な青い大樹の葉に遮られ、日中もあまり明るくはないが、時間の経過は何とかわかる。
ちなみに俺は一睡もしていない。
回復したとはいえ、ライラはまだ本調子ではないと思ったので、ゆっくり休ませる事にしたからだ。
ライラは交代で見張りをしようと提案してきたが、頑固な俺はそれを却下し、渋々だが納得して眠りについた。
俺はその気になれば3日は睡眠を取らずとも平気だし、それにライラから教えてもらった知識を整理したかったのと、空気とかしていたジークの相手をする為都合がよかった。
まぁ、ジーク爆睡してたんだけどな!
静かだなぁと思っていたら、俺の肩の上で頭を枕に寝てやがった!
涎がついていない事を祈る。
結局ぼっちで見張りをしていた俺は時々現れるお馴染みの狼やら猪をぶん殴り、ライラから教えてもらった通り魔石を抉り出しながら、情報を整理していた。
まずはハンターについて。
ハンターは俺が考えていた通り魔物を狩って稼ぎを得て生活する者の事だった。
ハンターギルドが存在し、ギルドの試験に受かれば晴れてハンターだ。ある程度の実力を持つ者ならば身分問わず誰にでもなれるようだ。
そしてランクは7つ。
Fランクが1番下でSランクが1番上。
よくあるパターンのやつだ。
ライラのランクはBランクで上から3番目、それより上のAランク以上のハンターは世界で30人にも満たぬらしく、超一流らしい。そんな超一流のAランク以上のハンター達は憧れの存在らしい。
ちなみにライラは俺よりも1つ年下だ。
同じように魔物にもランクがあるらしい。FランクからSSランクまでと8つで、基本的に同ランクの魔物を同ランクのハンターパーティで討伐にあたる。ソロで討伐できると上のランクに上がれるらしい。
青い竜ブルドラはBランクで、ライラもBランク。本来ならBランクのパーティで討伐できるかという事だが、ライラはソロだった為、死にかけてしまったわけだ。もし、ライラがブルドラをソロで倒したければAランクの実力をつける必要がある。
という事で、ブルドラをソロで倒した俺はハンターランクでいう所のAランクの実力があるって事だ。
ついでに、勇者の事も聞いてみると、ライラは声を弾ませ嬉しそうに勇者の事を色々教えてくれた。
ライラは勇者のファンなのだろうか?
勇者はハンターランクでいう所のSランクの実力者で、さらに勇者だけが扱える光の女神が授けた聖剣は魔物に対して絶大な効果があり、強いらしい。
ミアはSランクに聖剣か、流石だな。
頑張ってたもんな。
俺はミアよりも強いのだろうか??
ミアより弱ければ役に立たない可能性も・・・・・・いや、弱ければ修練してもっと強くなればいい、それだけだ!
後はSSランク、このランクの魔物は確かに存在するらしい。話ではSランクハンターのパーティでも、敵わないらしい・・・・・・ってか魔王の事じゃね?
魔王と別だったらまたややこしくなりそうだから勘弁してほしい所だ。
少し話は逸れたが、俺はハンターになろうと思う。何故かって??
単純な話だ。
俺もジークも一文無しの貧乏人って事を今更ながら気付いたからだ。
ハンターは魔物を討伐して、魔石や武具等に使える部位を剥ぎ取り、それをギルドに持っていくと換金してくれて報酬を貰えるってわけだ。
ちなみに実際にライラに見せてもらった所、4種類の硬貨が使用されている事がわかった。
銅貨、銀貨、金貨、光金貨の4種類。
銅貨10枚で銀貨1枚
銀貨10枚で金貨1枚
金貨100で光金貨1枚
一般的に使われるのは金貨まで、光金貨は中々お目にかからないらしい。
銅貨5枚あれば普通の飯を食べれる。
銀貨5枚あれば、普通の宿に泊まれて飯を満足に食べれるらしい。
うーん、これは実際に生活してみないと何とも言えないな。
適当だが、銅貨1枚が100円だと思う事にする。
ハンターをしながら報酬を貰い、その報酬を使って各地を周り、生活費に当てようと思う。
戦闘経験も詰めるし、お金も貰えるし一石二鳥だ。
他にも細かな所を幾つか聞いたが、ライラは嫌な顔せず、俺に教えてくれた。可愛いくて強くて性格が良い素晴らしい子だ。本当に救えてよかった。
そして今いるこの不気味な森の事や場所もわかった。
メルドアの森という魔境の1つらしい。
王国の最南端にあり、近くには辺境の街リンジャーがあるとの事。
俺が空からみた街の事だと思う。
とりあえず、ライラと共にリンジャーに向かって、そこでハンターになってからがスタートラインだ。
そんなこんなで、今に至る。
小腹が減ったのでブルドラの肉を少し囓り、日課の修練始める。
肩の上で眠り続けるジークをそっと地面に寝かせて、ストレッチをして身体を解す。
ライラもまだ眠っているし、今日は時間が取れそうなので、ゆっくりと身体の動きを確認しながら、腰を落とし、拳を突き出す。
ゴォォォォォッ!
うーん、少し荒いな。もう少しキレを出さねば
ヒュンッ!
今度はキレを意識し過ぎて、弱々しい。
右手なら簡単にできるのに、左手だと利き腕じゃないせいか、まだまだ未熟だ。そんな事を考えていると
「ふわぁ、おはようなのです」
ライラが起きてしまったようだ。
「おはようさん、悪い、起こしちゃったか?」
「いえ、私朝は早いのです! だから気にしないでなのです・・・・・・それで何してるのです?」
「鈍らないように、軽く身体を動かしてるんだ。まぁ日課みたいなもんだ」
会話をしながらも眠そうな顔のライラを見て、申し訳なく思っていると
「あの、邪魔してごめんなさいなのです。続けて下さいなのです。後、もし、よかったら、見ててもいいのです?」
「へっ? 構わないが、面白くも何ともないぞ?」
ライラのお言葉に甘えて、修練を再び再開する。
ブォォォォォン!
まだ荒い。
パンッ!
今のは惜しい。
パァァァァァァンッ!!
おぉ、今のはいい感じだ!
後は今のを繰り返して
パァァァァァァンッ!!
よし。
パァァァァァァンッ!!
いいぞ。
パァァァァァァンッ!!
大分慣れたな。もう少し間隔を短くしてみるか
パァァァァァァンッ!!
パァァァァァァンッ!!
パァァァァァァンッ!!
パァァァァァァンッ!!
パァァァァァァンッ!!
「ひっ、ひぃぃぃぃ!! 何の音だあ、誰かが僕を消滅させようと・・・・・・」
「・・・・・・っ!!」
寝呆けたジークが大声を上げて飛び起きた。この馬鹿、ライラに完全に聞かれたぞ!
俺は恐る恐るライラの方をみると、ぼっーと俺の方を見ている。
気付いてないのか??
どうする?? 知らん振りをするか? 誤魔化すか?
俺が悩んでいると
「ダ、ダイスケ! 昨日に続いてま、また不吉な音が聞こえた! 誰かが僕を狙ってるぅ! あの凶悪な・・・・・・」
「ば、馬鹿!落ち着け!」
「えっ? しまった! 動揺し過ぎて隠蔽術が」
大声を出すばかりか、動揺して隠蔽術がきれてしまったらしい。
隠蔽しようがしまいが、ジークが視える俺には違いがわからないが。
つまり今のジークの姿はライラに・・・・・・
「か、可愛いのですぅ! 僕、何処から来たのです?お名前は何て言うのです?」
ですよね。
ばっちり視られたようだった。




