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意外な強者

さて、今回も流血あります。

次回は、閑話を一つ挟みたいと思います。

とあるお方の生存報告な回になるかな?

キンッ


軽くお互いの鋒を打ち合わせて、半身を引いてお互いに打ち掛かる。

魔力を循環させ、切れ味を上げた【鋼鉄の直剣】と【鉄の直剣】が軽く触れ合うだけで、火花が散り澄んだ音色が響く。


誰にも邪魔をされないように結界を展開し、こちらに近寄れなくして、マクカーレン君にニヤリと笑い掛けた。


「何か含んでいて怖い笑みっすね」

「まぁ、君たち三人は私のお眼鏡にかなったからね。しかも、まさかマクカーレン君が剣術に聡いなんて持っても見なかったし」

「それは光栄って奴ですかね。しっかし、ここまでされると生きた心地がしないっすよ」

「死んでも生き返らせるから安心してねぇ」

「いや、安心出来ないでしょっ!?」

「行くぉ」

「ちょっ!!」


お互いの靴の先までの距離は約一メートル。

足を突き出して距離を詰め、鋒を捩じ込むように剣を突き入れる。

殺す勢いで突き出した鋒に、圧縮した魔力を押し込み神々しいまでに輝いた剣の腹で叩かれ、弾かれた力をそのまま殺さずに回転斬りを繰り出す。

それに合わせるようにして、マクカーレン君も回転斬り放った。

お互いの剣同士が反発して凄まじい反作用が生まれ、堪える為に両足で地面を踏み抜いて斬り払うが、素直にバク宙をして下がったマクカーレン君の髪の毛を三本しか切れなかった。

マクカーレン君が空中に留まっている間に、駆け寄って浴びせ斬りをお見舞いするが、


「うそっ!」


空中でドーム状に展開した結界の壁を蹴り、一瞬で距離を詰めてきた。

真っ直ぐこちらに鋒を向けているため、剣を振り降ろして大きく下がるしかなかった。


約束した以上、相手の剣に触る事は敗北を意味するので、絶対にれない。


アクティブスキル【激震】を使い、激しい揺れでマクカーレン君の平行感覚奪う。

お互いに当たれば即試合終了なので、私も使える物は使わしてもらう。

え?別にまだ本気なんて出してませんよ。

魔法も使ってないので問題はナッシングです。


「これでも、食らえっ!」

「やばっ!?」


これまたアクティブスキル【転進】を駆使し、地面の揺れを無視して一気に距離を詰めた。

側頭部に狙いを定めて鋭く蹴りを放つが、寸での所で首を後ろに下げられて避けられる。

空を切った蹴りの勢いに身体を持って行かれて、マクカーレン君に背後を向けてしまった。


「もらった!!」

「なんのってね!!」


自ら宙に飛んで身体を捻り、横に斬り払われた剣を避けて着地する。


「凄いね、私とここまで接戦出来るのは、本当に弟と数人しかいないからねぇ。姪っ子にはスレ違い様にハルバートを胸に突き立てられたけど」

「…なんで大丈夫なんですかい」

「それはぁ……私が大魔王様だからだ!!」

「(冗談に聞こえないから怖いぜ!!)」

「はいそこ!冗談じゃないから気を付けるように!!」


まったく、近頃の若者は直ぐに疑うんだからぁ。

まぁ、私も急に『私は神の化身何だよ(笑)』って言われても、信じるかって言ったらNOだよねぇ。


マクカーレン君と話している間にチラリと結界の外を盗み見ると、委員長ちゃんがガンガン剣で結界を叩いては地団駄を踏んでいる。

ロキニウス君とジルコニアちゃんが何かおだてているが、寧ろ火にガソリンをぶっかけているに等しい。

凄い剣幕で二人を捲し立てて、ジルコニアちゃんは半泣きでロキニウス君に抱き着き、ロキニウス君はそれを満更でも無さそうな顔をしながら引き剥がそうとしている。

その夫婦漫才を見た委員長ちゃんが、更に顔面を真っ赤にして罵声を浴びせるの悪循環。


「本当にそろそろ決着を着けようか。これ以上長引くと、委員長ちゃんの脳の血管が切れちゃいそうだし」

「……ですね。」


お互いに結界の端に移動し、直剣を正眼に構えて魔力を籠める。

この一撃でマクカーレン君を沈める為に、剣の耐久力がギリギリ自壊しないラインまで魔力を籠めて、マクカーレン君の眼を見る。


「行くよ」


溢れんばかりの魔力を解放して、自分の出しえる十分の八くらいの速度で突進する。

上段から袈裟懸けに振り降ろす。

ゆっくりに見える視界の中で、マクカーレン君が同じく発光している剣を割り込ませてくるのが見え、剣を断ち切る勢いで剣を打ち付た。


ピシッ


剣から嫌な音が振動で伝わって来て、刀身を見ると見事に罅が入っている。

それは向こうもそうだ。

あと数回斬り合わせただけで、寿命がくるだろう。

既にサイは投げられた。


身体を半身に引いて首を突き刺す為に高速で突き出す。

一筋の軌跡を残して、鋒は寸分違わずマクカーレン君の喉笛に食らい付く…筈が剣を振り上げて来たので変更し、流れるように脇の下と太ももの内側にフェイントを混ぜながら斬り付ける。

必死に食い付いて来るが実はそれもフェイントで、最初から最後まで狙いは首だ。

一度下を斬るフリをして、そちらに気が言った瞬間に白い首筋に鋒を突き立てて、反対側まで貫通させた。


ゴポッとマクカーレン君の口から鮮血が溢れ出し、ビクンと身体が一度だけ跳ねて、彼は膝から崩れ落ちた。

驚きに満ちた力強い眼が、真っ直ぐに私の眼を見詰めてきて、それを見詰め返して頷く。


「大丈夫、生き返らせるから」


苦笑いしたまま、マクカーレン君は事切れた。


「ジョーーンッッ!!」


結界の向こう側から、血の海に沈むマクカーレン君を見たロキニウス君が、悲痛な叫び声を上げる。

続いて、ジルコニアちゃんと委員長ちゃんの悲鳴がグランドに響いた。


「ど、どうして…人が……し、死んだ?」

「どうしてって、変な事を聞くね。侯爵令嬢…私が刺したからに決まってるじゃない」

「そんな事がっ!?許される訳が……!!」

「まぁ、そう言うなってね。すぐに君たちもこうなる」

「い、いい、いやぁぁっ!?」

「逃がさないよ」


逃げようとする委員長ちゃんを拡張した結界に取り込み、外に出られなくする。

ついでに、地面に跪いているロキニウス君とジルコニアちゃんも回収しておく。


「そ、そんなっ…出して!!私を出して下さい!!助けてっ」

「まぁまぁ、三人ともビビりすぎ。見なさいな」


指差したマクカーレン君をノロノロと頭を上げて、三人は見た。

私はマクカーレン君の首に垂直に突き立っている剣を引き抜き、血を払ってから放り捨てる。

軽く放ったのだが、剣は粉々に砕け散ってしまった。


直ぐに【リザレクションⅡ】を発動させて、マクカーレン君を復活させる。

魔方陣が倒れているマクカーレン君を囲むように展開し、天から暖かな光が降りてきてはマクカーレン君を包み込む。緩やかに彼の身体が宙に持ち上がり、傷が治り、肌に血の気が戻る。ドクンドクンと光が脈動を繰り返し、力強い鼓動が辺りを包み込み、光が集束しては消えた。

そのまま、空中に浮いていたマクカーレン君は、浮力を喪い地面に強か背中を打ち付けた。


「いたっ!?超痛いっす!?」

「ジョン!!」

「ジョンっち!!」


ロキニウス君とジルコニアちゃんが慌て駆け寄る。

マクカーレン君は、へらへらしながら首回りを擦っていた。


「やぁ、霊体になってみた感想はどうだい?あと首の具合は」

「貴重な経験っすね…首は特に違和感はないです」

「それは良かったぉ。さて、この先続けようにも戦意を喪失している奴等が大半だから、一旦休憩を入れますか」

「あ~、でも逃走した奴が結構いますけど……」

「逃げた奴らは根性無しだなぁ。次はそこを鍛え直すかぁ……それさえ逃走した奴は強制留年か他のクラスに編入かなぁ」

「黒森教官…これも全て、来るべき時の為なのですか?」


マクカーレン君とどうするかを話していたら、ロキニウス君が入ってきた。

まだ顔色が青いが、まぁ仕方ないだろう。


「?そうだけど。戦争は近いし、あまり時間が無いからね」

「……そう、ですか。分かりました」


一度礼をしてから、ジルコニアちゃんの所に歩いて行く。

少し足元がおぼついて無いが、直ぐに立ち直るだろう。


辺りを見回すと、随分とクラスの人数が減っていた。

四十名程居た筈が、今では約半分の姿が見当たらない。

残っているのは、単に腰が抜けている者と悔しそうに剣を握って居る者のどちらかだ。

ちなみに、委員長ちゃんは腰が抜けてへたり込んでいるだけではなく、股の所と地面が濡れている。

どうやら、恐怖のあまりお漏らししてしまったようだ。

それに、何時も侍っている筈の取り巻き達はみんな逃げ出してしまったようで、それも未だに腰を抜かしている理由の一つかも知れない。

情けないなぁ。


「さて、この先どうしてくれようかなぁ」

「のぅのぅ、主様よ。暇じゃ暇じゃぁ…我の出番が無いし、部屋に居るのはもう飽きたのじゃ」


急に背後から朱点が抱き着いて来たので、危うく反射的に投げ飛ばそうとしてしまった。危ない危ない。


「なんだよ。部屋で大人しくしてろよ」

「構ってたもれ。我寂しくて存在が消えそうじゃ」

「ウサギかよおまいは…仕方無いなぁ」


ちゃんとマントを被っている朱点をおんぶしながら、きちんと治せなかった生徒達の切り傷を治療して回る。

さてさて、まさかみんなこんなに根性が無いとは思わなかったぉ。←強者の余裕

これからが忙しくなりそうだ。



『何それ漢字豆知識クイズー!パチパチパチ

このコーナーでは、普通使わない単語やトリビアな漢字の読み方とかを出題します!

正解しても何も無いけどね。

それでは行きます!


『騾馬』


これはなんと読むのでしょうか!

出来ればパソコンで調べるのはやめましょう。

そして、前回の答えの発表です!


『驢馬』と書きまして、『roba』と読みます。

ええ、ロバです。ロボではありませんとも。

ロバは哺乳綱奇蹄目ウマ科ウマ属ロバ亜属に属する生命体で、古代より家畜として使用され、現生ウマ科の中で一番小型ですが、力は強く、記憶力も良く、家畜としては、比較的少ない餌で維持でき、更には環境が良ければ30年も生きる優れもの!一家に一匹どうでしょうか。とてもお買い得ですね。

別名うさぎうま(兎馬)で、学名になるとカッコよくなります。

Equus asinusエクウス・アシヌスになるそうです。ラテン語で「馬・ロバ」と言う意味だとか。もうダサいなんて言わせない!』

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