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ドアノッカー(察し)

私は絶対にイヤだかんな!なんとしても、この呪いを解除してやる!!」

「ふふふ…頼もしき主様よのぅ。我も心待ちにしていようぞ」


妖艶な仕草で、微笑みながら自分の口許をなぞった。

ヒンヌーのクセに、中々グラッとくる魅力を持ってやがる。


「どうぞ御勝手に…」

「なんじゃ、主様はつれないのぅ。ならばそちらの汝はどうじゃ?」

「ふぇぇぇ…どうしたら良いんでしょうかぁぁ」

「こら、フェルちゃんは私のだからな!!ちょっかい出したら許さんぞ!」

「おぉ、くわばらくわばら。しかしのぅ主様よ、我は人の怨念から出で来る者ゆえ、定期的に生き血を啜り、恐怖を得なければ存在を保てぬのじゃ」


なんじゃそりゃ。

…なんだか口癖が感染してきた感じがする…

とにかく、このまま放置しておくと、私も死ぬって事だよねぇ…


「とんだ疫病神だなをい!!」

「我は疫病神ではなく鬼神じゃな。正確には」

「揚げ足取らんでよろしい!!…青騎士と初めて会った時よりも面倒臭い…」

「オレ面倒臭い奴だと思われてたのかよ……」

「当たり前田のクラッカーだろ」


なんか頭痛がしてきたぁ……

一体私にどうしろと…?

戦争するだけで、いっぱいいっぱいなんですけど。

畜生めぇぇぇぇっ!!


「くらっかー?はて…」

「もう何でも良いよ…これ以上付き合ってたら、私の頭が歪みねぇ事になりそうだぉ」


頭痛が強くなり頭を抱えた時に、ドアが激しく叩かれた。

壁ドンしてるみたいだ。



ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ



おおおおおッ!?

連打が速すぎて繋がって聞こえるぅ!

でか、その前にノブが壊れちゃうでしょ!

一体誰だよ!?


「参謀長閣下ぁぁ!!開けて下さい!緊急事態です!!」


声からして、フェギルさんのようだ。

ヒョロイのに、良くあそこまで連打を……あ(察し)

彼の名誉の為に、黙秘権発動!


「はいはい、今開ける」


三人に振り返って、無言で指図する。

フェルちゃんと青騎士は、直ぐに頷いて身嗜みを元に戻し、証拠隠滅に掛かる。

疫病神は、やれやれと言ったように、単の袖から扇子を取り出して、ヒラヒラと余裕かまして扇ぎ始めた。


「閣下ぁぁぁ!!閣下ぁぁぁぁぁ!!」

「わーっ!待て待て待て待て待てぃ!!」


青騎士がこちらに親指を立てて、サインを送って来たので、ステータス画面から参謀長セットを装備してから開ける。


「あっ」

「えっ」


再びドアドンに移行しようと、拳を振り下ろした瞬間にドアを開けてしまったようで、勢いそのままにつんのめって来た。

このまま横にずれてやり過ごす訳にもいかないので、取り敢えず抱き留める。

拳はそのまま私の頭部へ…


ゴチッ


「いてっ」

「うぐぅっ!?」


フェギルさんが、拳に走る予想外の痛みに、呻きながら右手を押さえた。


そりゃそうだ。

こちとら、完全装備してるわけだからね。

さっきのは反射的に口走っただけだぉ。

良く有るでしょ、痛くも無いのに当たったら痛いって言うの。


「気にするな。良く有るか分からないが、そう言う事も有る。で、どうした?」

「はっ!!偵察兵からの報告で、目標に動き有りとの事!全軍で、こちらに向かって前進しているようです!!」

「…マジか……脅しはかけたのか?」

「はい。即時停止せぬ場合は、捕虜を処刑すると……」


連中は何考えてるんだ?

多数の将校と将軍、はたまた諸王達が捕虜にされて、組織立った行動は制限された筈なのに…

………いや、まさか…

まさかとは思うが、指揮官達の数が減ったから、軍を再編して一つに纏めたのか?

連中の最高司令官は大王だけれども、それぞれの軍の主導権は諸王の物で、お互いに不干渉なのがルールらしいので、鬼の居ぬ間になんとやら、一つに纏めて大王が指揮を取ってるのか?

それとも、切り札…奥の手を隠し持っているとか…

なんにせよ、先ずは防備を固めなくてはいけないなぁ。


「第二防塁と第三防塁に人員を集めろ!重要な捕虜は司令部施設の地下に移送させて、なるべく被害が出ない様にしろ!…それと湯を沸かせ、鉛でも良い。松明と油も有るだけ集めろ!」

「はっ!」


お湯とか鉛をどうするかって?

壁まで来たら、上からぶっかける。

それで死ねたらまだ良いけど、全身大火傷て生きながらえてしまったら、地獄の苦しみを味わう事になる…


悲しいけどこれ、戦争なのよね。


そうでもしないと、守り切れない。


敵さんが来てしまった以上、ここでボサッと突っ立っているわけにもいかないので、駆け足でフェギルさんが走って行った方に急ぐ。

後ろを見ると、青騎士とフェルちゃんが追従していた。

疫病神こと鬼神も、薄ら笑いを浮かべながら、空中に浮遊してついて来ていた。


「のぅ主様よ」

「なにさ」

「戦か?戦が始まるのか?」


何が言いたいのかしら。

出来れば簡潔に纏めて頂きたい。


「そうだけど?」


鬼神は、薄ら笑いを凄みのある薄ら笑いにグレードアップさせて、空中を漂いながら詰め寄って来た。

か、顔が近いぃ…


「ちょうど良い、我も手伝おう。これで恐怖と畏怖が集まるでのぅ。暫くは大丈夫なはずじゃ」

「ふーん。好きにすれば?だけど死ぬなよ。私も道連れに、無理心中なんて御免だからな」

「フフ…分かっておる……フフフフ」


なんかいまいち信用ならんなぁ……

でもまぁ、せいぜい役に立って貰いますか。

それなりには戦えそうだしね。



『何それ漢字豆知識クイズー!パチパチパチ

このコーナーでは、普通使わない単語やトリビアな漢字の読み方とかを出題します!

正解しても何も無いけどね。

それでは行きます!


『八十瀬』


これはなんと読むのでしょうか!

出来ればパソコンで調べるのはやめましょう。

そして、前回の答えの発表です!


『木瓜』と書きまして、『ぼけ』と読みます。

ぼけです。べ、別にボケたんじゃないんだからね!更年期障害でもありません。

ぼけとは、バラ科の落葉低木で、実か瓜に似ており、名前の由来は「木瓜(もけ)」が訛って、ボケになったそうですよ?

……え?私がボケてるって?………バカ言っちゃぁ、いけやせんぜ?』

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