後ろの正面だーあれ
投げ飛ばした先に居たのは、口をマイ・ブラッドで真っ赤に染めた鬼さんだった。
口を真っ赤にしてるまでは良いのだが、なんだか様子がおかしい。
よくサスペンスドラマとかで、毒を飲まされた被害者みたく首を押さえ、七転八倒してる。
「…ぉ…乙女にぃ…非ず……ぐはっ……」
鬼さんは、盛大に吐血して地面に倒れ、ピクピクと小刻みに痙攣し始めた。
……をいっ!乙女に非ずってどう言う意味じゃい!?
いまだ現役ピチピチの22歳処女だぞ!?生娘だぞ!?
まぁ、喪女でもあるけどあんまりじゃない!?
一度説教してやらんと気が済まん!死ねると思うなよ!!
「【グレート・ヒール】!」
暫くして、ノロノロと立ち上がっては口を手の甲で拭って、少しキョロキョロしたあと、ベッドの上に座り込んだ。
「…誰ぞ」
「…誰ぞ…じゃない!!人様の首筋に噛み付いておいて、謝らないとは良い度胸してんな!え?大体乙女じゃないってどう言う事だよ!?」
「お、落ち着け瞳子!!」
「ガルルルルル」
ワンコよろしく、鬼さんを威嚇してみた。
勝手に放出された魔力で、髪の毛が浮き上がる。
今なら髪の毛でナイフ掴んで、接近戦が出来そうな気がする。
ちなみに、威嚇された鬼さんの方は、ちょっと引いてた。
「なんだよ青騎士ぃ…また唇奪って欲しいのかぁ?」
そう脅すと、顔を赤くしながらも口を両手で押さえて、後ろに後退し始めた。
ちなみにフェルちゃんは、いまだに床でイヤンイヤンと転がっている。
なんていらやしいオπしているんや。
ふむふむ、オジサンが…
じゃなくて、今は目の前の不届き者をなんとかする事が先決です。
「で、なんで私に噛み付いて、しかも吸血なんてしたのよさ」
「…………?」
鬼さんは、首を傾げて意味が分からないと言ったような感じだ。
再び口を開こうとすると、鬼さんの方から手で制されて、渋々口を閉ざす。
鬼さんは何か考える様な仕草をすると、右手で空中に何やら文字を書き始めた。
見るからに、普通の文字じゃ無さそうだ。
え?なんでそんな事が分かるかって?
なんか、指で空中をなぞると、軌跡がキラキラと光るから、何を書いてるかはっきりと見えるんです。
うーん、どっかで見た事あるような文字だなぁ。
…お寺だっけ?
ほら、あれだよあれ。
ぼ…ぼん……そうそう!梵字ってやつだぉ!!
たしか、サンスクリット語ってのが正しいんだっけなぁ。
んで、文字を書き終わると、今度はホニョホニョ呪文を唱え始めた。
日本で見たら、怪しい宗教屋さんにしか見えん…
その詠唱が終わると、一瞬文字が強く輝いて、消えてしまった。
「汝、我の言うことが分かるか?」
「んほ?…おぉ。分かるよ」
「ふむ、先ずは成功のようじゃな」
…じゃな?ちょっ、語尾w
「汝、何か失礼な事を考えてはおらなかったか?」
「い、いえ?ナンノコトデショウ」
「ならば良いのじゃ…して汝。汝は人か?」
「まぁ、人ですけど。ぞれがどうかしたん?」
鬼さんは、なにやら考え込むような仕草をしたあと、真っ直ぐにこちらの目を見て言ってきた。
「汝の血は、人間の味も乙女の味もしなんだ」
「……をい!だからさっきから怒っているのはだなぁ!!」
「ただし、汝の血は妖力が凄まじく高いようじゃ。我の左手を見給う。金時に切り落とされた左手が、もう生え揃っておる」
「……あのぅ、私の癇癪を返して下さい…無視ですかそうですかそれならこっちにだって手だ……」
「して、ここは何処じゃ。そこの青いの」
「オ、オレか!?」
か、完璧にペースを持って行かれてるんですけど、一体どうしたら良いんでしょうか…
このまま行って、気が付いたら題名が『鬼女の我が異世界に転移して美少女とムフフな冒険をするのじゃ』に変わってるとか…洒落にならんっ!?
なんじゃそりゃ!?
誰か助けてHelp me!
……何やってんだろ私。なんか凄い虚しさと空虚さを感じるぉ。
「そ、その質問には私が答えてあげようじゃないの!」
「別に汝には聞いておらぬ」
「…ゴバッ!……フェ、フェルちゃん……私はもうダメ、みたい、だぉ……」
悲しさのあまりに口から血が…
って、どこの妖怪だよ。
「ふぇぇぇ!?瞳子さんしっかりぃぃ!!」
うむむむむ…鬼めぇ、どうしてくれようか。
ここは立場をはっきりとさせる為に、粛正の意味も兼ねて『朝までコース3000円』か『まる1日コース7500円』みたいなので行くか……
目眩く桃色なドロドロの見せられないよワールドに引き摺り込んで、帰ってこれなくさせるとか…ウヒヒヒ…
薬漬けはイヤだなぁ。
見てる側としてはだけどね。
「なんじゃ汝。構って欲しいのかや?…困った奴じゃの」
「困らじでるのはどっぢだぁぁぁ?」
ギリギリと歯軋りしながらヌルヌル詰め寄る。
ヤバイなぁ。今の私変態だぁ。
なんかサイレントヒルに出てきそうだなぁ。
「な、汝。落ち着き給う。少し戯れただけじゃ。それに、我は汝と離れられぬ様になってしもうたしのぅ」
戯れ…たわむれ…ハハハッ…私のガラスのハートは傷だらけ。
別に心臓がガラス製な訳じゃないぉ。
「……なんで私と離れられないわけ…?」
「それは汝の血を吸ったからじゃ」
んん?血ぃ吸ったら離れられない?意味わかんない。
ドラキュラだって、そんな事無いぜ。
「どうやら、我と汝の間に、見えぬ道が繋がってしまったようじゃ。どちらかが去ぬと、片割れも道連れ…つまり我と汝は運命共同体と言うわけじゃな」
「…………わけじゃな、じゃねぇ!!なんじゃそりゃ!?」
冗談じゃない!!
なんてマルチ商法だよ!
クーリングオフしてやる、クーリングオフ!!
消費者センターに訴えるぞ!
大体、運命共同体だぁ?
勘弁してくれよ…
「それで、どうやら汝の方が優位なようじゃな…つまり主様か…鬼の棟梁たる朱点の我がな、まさか人の元に下るとは。考えてもおらなんだ」
なんか干渉に浸り始めた。
でもってまた私は置き去りと。
安定の放置プレイですね分かります。全然濡れないけどね。
「私は絶対にイヤだかんな!なんとしても、この呪いを解除してやる!!」
「ふふふ…頼もしき主様よのぅ。我も心待ちにしていようぞ」
『何それ漢字豆知識クイズー!パチパチパチ
このコーナーでは、普通使わない単語やトリビアな漢字の読み方とかを出題します!
正解しても何も無いけどね。
それでは行きます!
『木瓜』
これはなんと読むのでしょうか!
出来ればパソコンで調べるのはやめましょう。
そして、前回の答えの発表です!
『橄欖石』と書きまして、『かんらんせき』と読みます。
かんらんせきとは宝石の一つで、ペリドットの和名です。
色はオリーブグリーンで、石言葉は「夫婦の幸福」だとか。』




