08.第二回試験
そして、七級魔法免許飛び級取得試験、その実技である。
内容は前回と同じく従魔士の魔物を討伐、今回の相手はホブゴブリン3体である。
さて、どう仕留めようか…解析自体は別に遠距離からでも出来るし。
前回と同じく《血の十字と処女》で仕留めるのもいいが、芸がないか…?
それに試してみたい殺傷性魔法はまだあるからな。
…よし、こうしよう。
「では…はじめ!」
まずは前回同様【魔力支配】で動けなくしたうえで、解析。
解析が終わったら、最初の魔法だ。
「《創造された彼岸花》」
対象のあらゆる物質・液体・魔力を食い潰して急成長する、彼岸花モドキの種を植え付ける創造魔法だ。
ホブゴブリンの体表に彼岸花が数本生え、ホブゴブリンの体をミイラのようにしながら成長し、死ぬと枯れ始める。
シャッフェンは創造、ローザローテ・シュピネンリーリエは彼岸花を意味するドイツ語だな。
これで一体。
「《溶解する剣と門》」
背後に壁の様に溶岩製の剣を生み出し、それを飛ばして攻撃する溶岩魔法だ。
ホブゴブリンに溶岩製の剣が何十本と突き刺さり、死ぬ。
ラーヴァが溶岩、シュヴェーアトが剣、そしてトーアは門を意味するのだが、これは発想元がfateのキャラクターの技、ゲート・オブ・バビロンだからだ。
これで二体。
「創造魔法…《電磁砲》」
最後の魔法、まず創造魔法で鉄の小さな杭を作り、それを上に投げて落ちてくるまでに雷魔法を組み立て、落ちてきたタイミングで発動。
轟音と共に鉄の杭が打ち出され、私の周囲が放電による発熱により地面が融解していく…が、私自身は氷魔法で保護している。
魔法名からも分かるように…電磁砲である。
雷魔法が電磁気も範囲だったようで、こんな魔法を作った。
にしても…この強化の魔素満ちる世界でも地面を融解させるほどの…ああいや、放電の発熱も強化されてるのか?
ちなみに、《電磁砲》は地面に向けて撃ったため直線上の被害範囲はそれほどでもない。
まあ、取り敢えず…周囲の熱を氷魔法で冷却、溶けた地面も土魔法で整える。
で、《電磁砲》撃った魔物は…あー、完全に消滅してる…
血の一滴、髪の毛一本たりとも残さず消滅したようで、魔石も残っていない。
《溶解する剣と門》はまだ魔石を残すことも可能だが、《電磁砲》はそれが難しいからな…まあ今や天然魔石は自作できるし、問題はない。
「そこまで!」
一個は消えたため二個の天然魔石を貰い、帰宅する。
その後はホブゴブリンの複製実験を行って、寝たら次の試験だ。
今回の魔道具使用免許飛び級取得試験の実技は複合属性九属性の魔道具を使用すること、魔道具作成免許飛び級取得試験は用意された材料から光と闇の魔道具を作ることだった。
そして…免許証が更新された。
魔法免許七級、魔道具使用免許七級、魔道具製作免許七級、魔道具開発免許七級。
生後2年2か月、無事飛び級完了である。
来月は六か五級だな。
そう思いながら発明品の改良と魔法の鍛錬を続けていると…
「…リコリス」
「ん?」
エリサに呼ばれた。
「どうした?」
「力を貸してほしい」
「…どっち?」
エリサに出来なくて私に出来ることなんて異能関係しか思いつかない、そして私は異能を二つ持ってるわけで。
「支配」
「【魔力支配】か」
となるとマナか他者のオド、もしくは…魂、はないか。
エリサなら霊魂魔術である程度自由に魂を…そういえば、霊魂魔術って具体的にはどんなことが出来るんだろうか?
まあ今それはいいや。
「何をするんだ?」
「ん、今から飛ぶ」
「は?」
そういうと周囲の景色とマナの気配ががらりと変わった。
いつもの自室とそこに満ちる感じ慣れたマナから、赤い空と黒い太陽、乾燥しひび割れた大地、黄金の杭とそこから太陽に向かって延びる黒い鎖、感知範囲のマナはおどろおどろしく魔物の魔素に偏っている、不気味な場所…いや、世界だ。
私はこの世界を知っている…というか今目の前にいるエリサに聞いた。
「魔界…!?」