19 夜のパーティー
「朔、もう目開けて良いぞ」
維月に言われて目を開ける。
パパパンッ!
その瞬間に突如として破裂音が響き渡る。一瞬遅れてクラッカーだと気が付く。
朔は驚いて身構える。そんな朔に声がかけられる。
「神代ちゃんっ!ようこそ〜!」
朔に声をかけたのは千歳だ。千歳は煌と共に朔の隣に来て腕を引く。
朔は人と関わることに慣れていないので困惑する。
「いや、ちょっまっ。い、維月!」
慌てて維月に助けを求める。維月がとめないので朔に危害を加えるつもりはないのだろう。
しかし、朔はできれば助けて欲しかった。
維月は凪と後ろからついて来ている。
腕を引かれて屋上の真ん中へと連れ込まれる。
そこにはレジャーシートが敷かれていた。
シートの上には人気のファストフードチェーン店の容器に入ったナゲットやポテト、フライドチキンにジュースと所狭しと置かれている。
「どういう事だ?なんだこれは」
4人に説明を求める。
真夜中の学校の屋上に突然のクラッカー、所狭しと置かれた食べ物。全てが朔にとって意味不明だった。煌と千歳が答えてくれる。
「んーとね、パーティー?」
「そうだよ〜。パーティー!あとこれからよろしくね会?」
何だそれは。
なぜ突然パーティーをするのか、これからよろしくね会とは何なのか。朔の頭には疑問符が浮かぶ。
そんな朔に維月が説明してくれる。
「あー、朔。これはこいつらが朔と仲良くしたいらしくてな、それでどっか集まって話そうって話になったんだ。そうしたらなぜかこうなった。悪い」
説明を聞いても疑問が解消されない。
こうなった流れはわかったがなぜ深夜の学校で、しかもパーティーをすることになったのだろうか。
(もしやこれがパリピか?)
朔は真剣に考える。
短時間同じ空間にいるだけでノリが軽いのがよく分かる。特に煌と千歳だ。
凪はまだ良い。
いや、良くないのかもしれない。常に微笑みを浮かべているが胡散臭いように朔は感じた。
「えー、やっぱ合コンとかもだけど大人数で集まるんなら非日常感出したいじゃん?」
「いや、私合コン言ったこと無いから知らないが」
朔は冷静に煌にツッコむ。
「ごめんね。俺ら神代さんと仲良くなりたくて」
凪がハイテンションな煌と千歳をなだめて朔に謝罪する。1番話が通じそうだ。
「はぁ。朔、こいつらの名前はわかるか?」
溜息をついた維月が朔に聞く。
(うー、えっと……)
朔は必死に記憶をたどる。あまり自信はないが一応思い出せた。
「き、杵と千歳と夏?」
どこか間違っているかもしれない。
それを聞いた4人は笑い出す。
「くっ、ははっ。朔…お前な」
維月が爆笑しながら朔に呆れる。
この反応を見るに間違えたのだろう。3人は自己紹介をしだす。
最初は煌からだ。
「えーじゃあ俺からね〜。俺は黒羽煌!杵じゃないからね。好きなものは女の子でーす。よろしく!」
煌がウウインクをする。好きなものは女の子と見た目通りチャラかった。
次は凪だ。
「俺は、白鳥凪。よろしくね神代さん」
ニコリと笑って言う。やはり胡散臭く感じる。朔だけなのだろうか。
最後は千歳だ。
「僕はね〜、雛森千歳!可愛いものが好きなんだ!僕の名前は合ってたね!ありがと〜」
小首をかしげて自己紹介をする様は愛らしい。
つまり朔は3人中2人の名前を間違えたのだ。維月に爆笑されても何も言えない。
「神代朔だ。……よろしく」
3人に習って自己紹介をする。
まだまだ解放してもらえなさそうだ。




