決意
僕は父様の話をまだ信じきれないまま自分の部屋に戻って来る。
「(ブルーマリーがか弱い女の子…?信じられない…!だってゲームでは悪役令嬢のポジションなんだよ!?それが心優しいって変じゃないか!そりゃ僕はプレイヤーじゃなかったし、こんな裏設定なんか勿論知らないけど、それにしてもこんなのってない!僕はブルーマリーが悪役令嬢だからって今まで頑張ってきたのに実はそれがブルーマリーの演技だったなんて…。じゃあブルーマリーは自分を欺いてまでルート様の婚約者になったのに来年の夏、ルート様に婚約破棄されるの…?いやいや!それだけは僕がなんとかして防がないと!最初は自分の為だけだったけど今はブルーマリーの為にもがんばらなくっちゃ!このままだとブルーマリーが浮かばれない!!!)」
僕はここで初めて知ったブルーマリーの秘密を胸に改めて心に誓う。そしてこの事実をサンバックと共有することに決めた。
始めは自分だけでどうにか処理したいところだったが、ルート様関係ということでサンバックにも協力を仰ごうというわけだ。
僕はイモーテルに見つからない様にコソッと部屋を出て行く。
前に見つかった時は「このような遅い時間に何処に行かれるのですか!?」と怒られたからね。
忍び足で進み下のドアの隙間からメモを入れ、静かにドアをノックする。
「(お願い!サンバックまだ起きててー!)」
しばらく待っているとカチャと静かに扉が開き、開いたと思った瞬間、グンッと腕を引かれた。僕は突然のことにその勢いのまま中へと飛び込み「ブフッ!」と思い切り何かにぶつかる。鼻を抑えながら「痛てて…。」と見上げるとニヤニヤと笑うサンバックがいた。
「兄様…痛い…。」と涙目で睨むと彼は「なんだ?夜這いに来たか?」と笑っている。「よっ…夜這い!?まさか!?」と慌てて訂正すると彼は「なんだ。」と残念そうに告げていたが、特に気にした様子もない。




