「2話」 花びらとカフェ
日が差して微かに鳥の鳴き声が聞こえる頃。
「ま、まずい‥」
僕は頭を抱えていた。
良い服が見つからず、もうかれこれ何時間も悩み続けていた。
(ど、どうしよう!
せっかくの先輩とのランチなのに!!!)
ふうな先輩の好みを教えてもらっとけばよかった!!後悔してももう遅い。
“ポンッ”
通知が鳴る。
かやからだ。
『準備できてる?まぁあんたのことだからすでに終わってるんだろうけど』
そのメッセージの後に
僕を笑う猫のスタンプが送信されていた。
悔しくなった僕は、色んな考えから、
妥協して先輩の好きなミントカラーを取り入れた服装にした。
ミントカラーのシャツにベルトを合わせ
何度も鏡を確認してからランチの場所へ向かった。
そこは、落ち着いた雰囲気の
おしゃれなカフェだった。
「おーい!ここだよ。」
僕は高鳴る心臓を落ち着かせながら呼ばれた席へ向かった。
そこに、先輩はいなかった。
「あれ、先輩は、?」
(もしかして、ドタキャン‥?
僕とのランチが嫌すぎて‥?)
すると、かやが僕の青ざめた顔を見て口を開いた。
「あんたが何を考えてるかはしらないけ
ど、ふう姉は遅れてくるわ。」
血の気が引いていた僕の顔に、すーっと血色が戻る。
「よかった。。しかしまたなんでここのカフェにしたんだ?いつものとこじゃだめなのか?」
「ここの雰囲気。ふう姉が好きそうだと思って。」
「ふーん。」
こいつ、なかなかに
センスがいいじゃないか…。
“カラン”
ふいに扉の開く音がする。
そこから、僕の脳裏に焼きついているすごく綺麗な女の子が長い髪を揺らして歩いてきた。
「ふうな先輩っ‥」
つい席を立ってしまった。
「あっ!みなとくん!久しぶりだね〜!」
「ひ、さしぶりです。」
言葉を交わすのも恥ずかしくて、つい端的になってしまう。
「おしゃれで素敵なお店だね〜!ここ、かやが選んでくれたの?」
「みなとが。」
「みなとくん、センスいいねっ!」
「え?はは‥」
鼻の下が伸びている僕の顔を見て、かやがため息をつく。
(かや〜‼︎これは今度お礼しなきゃだな。)
「うーん、コーヒーひとつ。以上でお願いします。」
スマートに注文をこなす先輩。
それに比べて‥
「マスター!今日はオムライスがいい!」
「かや、ここの常連さんなんだね!笑」
「まぁね♩」
(こいつ、どんだけ卵料理を食うんだ‥)
<先輩のコーヒーが机に置かれる>
「先輩、コーヒーはブラック派なんですね。」
「あ。うん。ちょっとだけ背伸びした気分になれて、‥好きなの。」
______不意にドキッとする。
先輩の言い回しとか言葉の一つが好きすぎる‥。長いまつ毛がカップにつきそうでつい見入ってしまう。
「なに、?なにか私の顔についてるのかな?笑」
「な,何もないです‥!」
(あぶない。見すぎてしまった‥)
「かや、最近は学校どう?」
「まあ、楽しいよ。こいつともおんなじクラスだしね。」
「はは‥。」
そんな他愛もない話をして、あっという間に時間は過ぎた‥。
「もう外暗くなっちゃったねー。
楽しくてつい話しすぎちゃった。笑
またね!みなとくん!」
「じゃあね、みなと。」
「おう。あっ、先輩!」
「んー?」
「よかったら、今度、
勉強教えてくれませんか‥」
「いいよ!じゃあ、また連絡するね!」
「は、はい‥!」
帰り道。桜の花びらが舞う道を1人歩く。
僕らはまだ知らない。これから複雑な恋が絡み合い、誰かを失い、傷つけていくことを。




