「1話」彼女との出会い
これは恋に鈍感だった僕のお話。僕はきっと遅過ぎる恋をしてしまったのだと思う。君との思い出すべてが愛おしかったんだ。
春のお日様の匂いを感じ、
今日も愛する彼女に花を贈る。
直接だって?そんなわけがないだろう。
誰にも見られないよう部屋の隅に作った小さな推しスペースに生けるのだ。
(今日もふうな先輩が幸せでありますように)
先輩の写真が綺麗に、何枚も飾られている。
そうして、日課を終わらせて一息ついていると、
“ポンッ”
と、スマホの通知が鳴る。
「ふうな先輩、!?」おそるおそる通知を確認する。が、あいにく、それは僕とふうな先輩を繋ぐ人物。
かやからのメッセージだった。「今日もいつものとこ、集合ね。」
(どうしてかやはいつもこう‥急に連絡するんだ‥)
悪態をつきつつも準備の手は止めない。
ふうな先輩に会えるかも、という淡い期待を持ちながら、背伸びして買った高めのアクセサリーを見につける。出ていく前の香水も欠かさない。
今日もふうな先輩の好きなムスクの香りだ。
僕はいつものカフェに訪れた。
クラシックが流れるモダンで素敵な場所だ。
(いつかふうな先輩と来たいな)
毎回、そんなことを考えて席に着く。
(着いた。)
そうメッセージを送る。
店先の桜の花びらがやけに光って見える。
先輩の笑顔が頭に浮かぶ。
僕が恋をしたのは高校一年生。去年の春。
入学してすぐで、僕が不甲斐なく廊下で移動教室の場所迷ってたところを助けてくれた。
その後も、体育祭やら部活やらで、たくさんかっこいいところを見た。
極め付けは文化祭の日。
体育館で僕が発表をする時、セリフが飛んでしまって、(終わった。。)と、撃沈していたところを機転を効かせて場を持たせてくれた。
そんな先輩を心から尊敬している。
外見だって、毎日スカウトされてるだろうってくらいには整いすぎてる。‥‥好きだ。
しばらく、注文した甘めのコーヒーを嗜んでいると、
“カランコロン”と、扉の開く音がした。
そこから、短い髪を払う可憐で儚げな少女が入ってくる。その横顔に、思わず視線が揺れてしまった。その少女は、人の顔を見るなり、眉間をぐっと寄せる。
(普段の顔は綺麗なのに、どうして僕を見るとああなるんだ‥)ところで、どうしてふうな先輩に一本一途な僕があの女の子を褒めたか。それは、ーー
「ちょっと、いい加減妄想タイムはやめにしてくれない?」
そう言って僕の前に座る。
「君って本当にふうな先輩の妹なのか?」
“ギロッ”
こわいこわい。まぁ、こういうことだ。
かやはふうな先輩と姉妹なのだ。
僕とこいつの関係性をいうと、良い取引相手ってとこ?かな。
「マスター!いつものココアと、今日はオムレツと生ハムサラダがいい!」
「またそんなに食ってると豚さんと見分けがつかなくなるんじゃないか?」
「もうっ!あんたはそんなに取引相手を苛立たせたいの?」
「うぐっ」
「はい。今日はいつもより一枚多くおまけしてあげてるんだから感謝してよね。」
「!!!、なんでこんなに美しいんだ!!」
“オオキイコエダサナイデネ”
「す、すみません」
彼女の写真に思わず大声をだしてマスターに叱られてしまった。
「ふふっ。あんたってばうるさいっての。」
「お前の笑った顔、ほんとに先輩と似てるよな」
「•••」「ま、性格は天と地の差だけどな」
“ギュムッ”
「いってぇ!!」
これも僕の日課、二つ目。
ここのカフェを奢るかわりに、ふうな先輩の写真を2、3枚貰っている。
これでも一応、先輩には許可を貰っている“らしい”。そういう取引だ。
あまりの可愛さに悶えて、ついカバンにつけたイルカのキーホルダーをいじってしまう。
「それ、この前の水族館の?」
「そうそう、あの時に先輩とお揃いで買ったんだ。」
「聞いてないんだけど。」
「言ってないからな。」
彼女の顔が少し険悪な表情になるのがわかった。
「ま、まぁその後すぐ先輩の予定が入ってお開きになったけど‥。。」
「ふうな姉に変なことしたらぶんなぐるからね。」
「あ、当たり前だろ。。」
しばらく、かやとふうな先輩トークで盛り上がった。
「じゃあ、そろそろ帰るね。」
「ん?、あぁ。もうそんな時間か。」
つい話しすぎてしまった。
「‥あ、明日、ふうな姉とランチいくけど、来る?」
「ららら,ランチ‥!?い、行く!」
思わず二つ返事で了承してしまう。
「詳細はまた追って連絡するから。またね。」
とんでもないことになった・・・。
かやのお陰で、先輩とランチの約束を取り付けることができた。さて、せっかくのランチは上手く進むのだろうか。




