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ギルドで

雲ひとつない青空、太陽はなおも頂点。


ここは商人ギルド。大きな街だけあって大勢の人が訪れているが落ち着いた雰囲気で、訪れた人は見た目の人数に比べて少なく感じるくらいにだいぶ静か。ちっこい商人のカナタは空いている受付を見つけて係のお姉さんに声をかける。


「あのー、」


「どうしました?」


返事を返すお姉さんの顔の向きが少し変だ。


「キャラバンの馬車の横で露天を出せるようなスペースはこの街にありますか?」


とのカナタの質問に


「それだと、この広場のこのあたりになります。料金は…、」


地図を広げて説明するお姉さん。なんだか、やっぱりお姉さんの顔の向きが変だ。なんなら身体の向きもおかしい。


「他のギルドに関わる商品も扱うようでしたら別に追加料金がかかります。配当は当ギルドが他のギルドに配分いたします。ちなみに錬金ギルドでしたら……、」


ますますお姉さんの身体の向きが偏っていく。


「マスターはこっち。」


横に控えるティーナが口を挟んでカナタを指差す。


「え、」


固まるお姉さんにティーナが繰り返す。


「マスターはこっち。私はキャラバンの居候。」


お姉さんがかしこまって


「失礼しました。」


いまだに半信半疑の表情のお姉さんの謝罪に、カナタはつぶやく。


 「しかたないさ、どう見たって子供だし。それに姫はどこから見たって姫だし、僕はどう見ても姫の従者だよ。」


お姉さんが遠慮ぎみに割ってはいる。


「あのお〜、お姫様なのですか。どうりで、」 


まだまだお姉さんの向きは姫ことティーナ。


ティーナは、


「違うよ、みんながそう呼んでるだけ。私はただの一般人、お姫様じゃない。」


そんな会話の後にキャンプの場所代と営業許可の代金を払い、商品の相場やら売れている物、次の街での商売のために仕入れて置くべきもの、それに少しの世間話を受付のお姉さんとしてから二人は商人ギルドを出る。


「うーん、思ったより早く終わったね。移動もあるからこのまま帰ろうか。」



「まだ、みんな帰って無いんじゃないの。」

 

「そこはセーラとケールにひと働きしてもらうさ。」


二人は少し遠いところに見える自分達のキャラバンに向かって歩き出す。同じ広場に停めているから目と鼻の先には見えるが、広場の広さからして、まっすぐ歩いてどれだけの時間がかかることやら。



一方、カナタとティーナが商業ギルドで用事を済ませているころ、ウイルは冒険者ギルドを訪れていた。

こちらは商業ギルド以上に込みあっていて喧騒はその人数分の何倍になるか。とにかくうるさい。


「本日のご要件は?」


喧騒の中でカウンター越しに立ち尽くす執事服のデカいイケオジに係員は声をかける。


「旅の精算に来ました。あと買い取りの相場を教えていただけると助かります。」


服装どおりにいかにも執事といったウイルの話しぶりに係員は、


「精算する物をこちらのトレーに出してください。」 


少し考えて無言で立ち尽くすウイルに係員が聞く。


「何か不都合でも?」


「トレーの大きさが足りないようですね。」


返すウイルに、


「トレーは枚数がありますから大丈夫ですよ。」


……、数分後、冷静を装うが額に汗の係員。何人かの気がついた冒険者達は遠巻きでヒソヒソ話。


カウンターにはトレーに山盛りの盗賊のカードとモンスターの討伐証明品。トレー2、3枚部を出されたあたりで別の係員のお姉さんが察したようでトレイの何倍もの容量の箱を持ってくる、さすがはプロ。ウイルの持つマジックバッグから出てきた残りの品はそれを何個か使ってどうにか収まる。


とある神様が作った個人情報システムでカードから読み取った盗賊の討伐実績、魔物討伐部位はギルドでしか取引されないもの。


「この量でしたら計算に多少の時間をいただきたいのですが、」


係員の言葉にウイルは、


「待ち時間に依頼の確認をしてきてもよろしいですか?」


「もちろんですとも、」


すかさず返す係員。



結局、この街で滞在期間中に全員が毎日高級な宿に泊まって毎回お高い店で食事をとってもなお複数の大きな買い物ができるくらいの金を受け取り、その後はいろいろと係員に聞きたいことを聞いてからウイルは冒険者ギルドを出た。


錬金ギルドにも相場の確認のために行こうかと思っていたウイルだが自分のキャラバンが移動作業中なのが目に入ったのでそちらに向かうことにする。とにかく見晴らしがしいやたらといい広い広場だから見えたようなもので。



「今すぐに移動ですか?」


ウイルは帰ってくるそうそうに歩きながら声をかける。


「うん、泊まりの準備に明日からの商売の準備もあるから早いほうがいいかなと思って。」


ティーナが働く。シーラも動きわまっている。マキシムとダリは力仕事。馬車の屋根の上には、……。


作業を続けながらのカナタの返答に、作業に加わったウイルが手を止めずに聞く、


「まだ帰ってきていない方々はどうしますか?」


「あの二人に働いてもらえばいいんじゃないの。」


馬車のほうに視線をむける。


間もなく、撤収作業が完了したキャラバンは動き出す。広場を移動して行く馬車と空馬の群れ。







残されたのは荷車が1台。荷台に座ってどこを見ているのかわからないくらいにボーッとしているケールに床に丸まって寝ているセーラ。


繋がれた騎獣がひとつあくびをしたかと思ったら膝を折って座り込み、こちらも眠ってしまった。


雲の無い青空に少し太陽が傾いてきたようだ。





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