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第11話 胃薬が欲しい宮中伯。

投稿にいつもより間を空けてしまいました。すいません。

 



(宮中伯フィデリオ視点)


 渡り廊下で侍女を叱ったフィデリオは渡り廊下に残った貴族が「女王様にも遂に恋人かぁ」と独り言を呟いてるのを聴き、この国のお気楽さ加減に呆れたと同時に思わず聞き返した。


「……不本意ながらお尋ねしますが、恋人とは?」


 あの女王に恋人? あの女王が好きになりそうな男がこの城にいただと?


 フィデリオには全く想像つかなかった。


 貴族の男は私のことをキョトンと見つめると(男に可愛く見られても嬉しくない)侍女が走って行った先を指差した。


「女王様が真っ赤な顔をしてたよ。あんな女王様初めて見た。あっもちろん僕のせいじゃないから」


 慌てて身の潔白を主張する貴族の男。


 まあ。女王にナンパしようとする男は顔を知っている貴族はまずいない。女王だと知らない男ならあり得る。そして、そんな男はこの宮中にはいない。いるとすれば、今朝がた追い返した他国の王子。


 ……嫌な予感がする。


 フィデリオは懐にしまっていた手紙を服の上から抑えた。


 その手紙にはこう書かれていた。



[カルマの血を受け継ぐ者へ。

 かつてアッローラ帝国で受けた屈辱を今こそ晴らす時。ヴィント国と手を組み彼の国を討ち滅ぼさん。至急彼の国の情報をカルマに送るように。なお、この情報が彼の国に漏れた場合は開戦を早めると同時に彼の国に在住する同国出身者でも容赦なく攻撃する]



 この手紙はカルマ人の血を受け継ぐ者たちに送られた。同じ血を受け継ぐ同僚に、「どうしますか?」と問うと「読まなかったことにする」と手紙を直ぐに燃やしていた。


 確かにバラさずに黙っていれば、戦争になってもカルマの血を引く者は助かるだろう。


 だが、本当にそれで良いのか? 私は同じピアチェーヴォレ人を見捨てる事になる。


 フィデリオにはどうすれば良いのか皆目検討もつかなかった。


 出来る事はなるべくカルマ国を刺激しないこと。女王の結婚などという刺激が強いイベントは極力避けたい。ロベルトに絵を描かれたらこの手紙のことがバレるかもしれない。絶対に描かせれない。


 大体、生粋のカルマ人とピアチェーヴォレに在住するカルマの血を受け継ぐ人ではかつてのアッローラ帝国に対しての認識が大きく違う。


 カルマ在住のカルマ人にとってはアッローラ帝国は優れた技術者を奪っていく憎き敵で、私達ピアチェーヴォレ在住のカルマの人々はアッローラ帝国を働き甲斐のある仕事を提供してくれる最高の雇い主だと思っていたのだ。


 憎らしいと思うのはナンパ大国になった今の惨状だ。それについてはカルマ国からは何も文句がないのはおかしい。まあ、糞真面目なカルマ人がナンパで揺らぐはずない。でも、ヴィント国と協力するのは良いのか!? と叫びたい。何故なら……。


「フィデリオ様大変でございます!! ヴィント国の王太子殿が来訪してきました!! ルーナ国の様に追い返しますか!?」


 衛兵が慌ててやってきた。


 ……もう退職したい。胃が痛い。どいつもこいつも来んなって行ってもくるし。


「な訳ないでしょうが! 小国の様に行きませんよ! 私では対処しきれません! 陛下を呼んでください!」


 あんな鬼畜な人間を味方にするカルマ国が信じられない。


 ヴィント国の王族はアッローラ帝国の王族の分家でしょうが!?


 因みにピアチェーヴォレ国の王族はアッローラ帝国の王族の本家である。


 ポケットに常に入れてる胃薬を飲んで私は最悪な敵に挑むのであった。






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