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彼誰サルヴァトーレ  作者: 椎名 蛍
4/8

My childhood friend





自分によく似たふわふわとした髪、くりっとした目に長い睫毛。吉良が夢で見たという「カミサマ」の特徴を耳にしたとき明英はどきりとした。その時は吉良の発言にほだされていたのもあってか特に気に留めることなく話は続けられた、しかし...また明日などという確実に会えるといわんばかりの発言をしていたことで確信した、もう誤魔化せなかった。そんなことができるのは彼くらいしかいないので勘違いしているわけはないのだ。何故?本当に彼が吉良と夢で会ったとするとしてそれにはなんの目的があるのか?ついつい俯いて考え込んでしまう。確認しなければいけない、早く、早く戻らなければと急かされた。



「はい、おしまい。話はそれだけ?吉良。ここは話をするだけの場所じゃないでしょう。ちゃんとやることやっていきなさい。」



「うん、わかったよ英ちゃん!」



取り敢えず会話を終わらせようとすると吉良は素直に言うことを聞いてくれる。こんなに愛らしくて優しい吉良...なぜ?どうしてなんだよと考える。嫌な汗がじわりと頬を伝っているのがわかるほどに困惑していたし焦っていたが、きちんとしなければ不味いと踵を返して自身が暮らしている司祭館へと足を進めた。










「壱桜くん、どういうこと?」



部屋の扉を開き、第一声からそういう。部屋に置かれたソファーに座っている男は吉良の言っていた特徴を見事に捉えている...というより本人である圷 壱桜だった。体をガクガクと震わせて明英が息を切らしてまでかけてきたのにも関わらず圷は体制を崩すことなく優しく微笑んだ。言われる前から何を言うのか分かりきっていたかのようだった。



「なんでだと思う?」



「わからないから聞いているんでしょう」



明英がおぼつかない足取りで圷がいる方向へ歩いていくとあまりの錯乱状態からか、ふらりと倒れてしまう。すると圷は軽々と明英を受け止めてそのまま姫抱きをした。不満げな顔をする明英とそれとは逆にうれしそうな、満足気な顔を圷はするも自分のせいで明英をこんな状態にしてしまったと思うとやはり申し訳ない気持ちになったのか困ったような表情へと変わり、明英をベットへと下した。



「アキちゃんがあんなに吉良吉良言うからさあ、気になっちゃって。大丈夫だよ、心配しなくてもアキちゃんが思ってるようなことはないからさ。友達として話してみたいなって思っただけだよ。...そんなにいうならどうにかしたいじゃん...」



床にくしゃくしゃになって落ちてしまっていたシーツを拾い上げれば明英にかけてやりながらそう言う。ハキハキと理由を語っていたが、最後の方は明英には聞こえないように小さな声で囁いた。あまり信用できていないのか明英は不安そうな潤んだ瞳で圷を見上げる。圷は「まいったなあ」と頬をかいて先ほどまでシーツが転がっていた床へと座り込む。正直に言うとちゃんとした目的があってそれを果たすために吉良と繋がる必要があるというだけで彼自体どうでもよかったのだ。そんなこと明英に言えやしないのだけど。



「ねえ、今日はここにいてよ。一人じゃあ寂しい、アキちゃんは一緒にいてくれるだけでいいんだからさ」



「これから...おいのり...ああ、きみは、神様なんて信じてないんだよねぇ、おいのりなんて関係ないか...」



くるくるの明英の髪をとかすように撫でてやるって甘えてみると明英は嫌味で返してきた。こんなことをするのは珍しいというか珍しい所の話ではないし極稀なことであった上に明英にはいつもそれだけはやめてくれと言われていたのにも関わらずしてしまったのだからこのくらいの嫌味で返されてしまってもしょうがないのである。それは受け入れるしかないがやられっぱなしなのもいい気分ではないのでその場に立ち上がった。



「信じてるわけないじゃない。こんなことになってるのにさ。」



立ち上がると同時にがしゃりとなる鎖の無機質な音。圷の足には足かせがつけられていてそれは部屋を移動できるくらいの長さしかなく部屋の隅へ繋がれている。もちろん鍵は常に明英が所持しているので外へ出ることは許されていない。この足かせも外に出ないようになっているのも幼い頃の明英が決めたことだ。当時の圷はそうするのが最善策だと思っていてなすがままに閉じこもっていた、今もそう思っているのだが。嫌味を嫌味で返す、それも明英の人間性をつくようなところを攻めていたので明英はさらに息遣いが荒くなって冷静ではない状態に陥ってしまっている。



「俺にとっての神様はアキちゃんだし俺の世界には君しかいないんだよ...」



「...馬鹿じゃないの...」



へらり、と笑い冗談だと思われて軽く受け流されてしまったが圷からしたら冗談でもなんでもなくて事実なのだ。明英以外別にどうなろうが構わないし興味なんてない。ここでそれを伝えた所でどうしようもないのは分かっているのでこちらも笑い返して冗談で言っている風になった。「あと、十分したら起こして」と明英はそれだけいって蹲り綺麗な桃色の瞳を閉じて眠りへと入っていった。






十分後圷によって起こされた明英は多少顔色はよくなったもののまだ体調は悪そうだったが大事なことがあるので教会へと戻っていった。その日は何もなく済ますことができたが次の日、案の定吉良は圷とは会っていないと嘘をついていてもう吉良の心はここにはなんだと思うとまた気分は悪くなった。


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