Beautiful dream
「吉良」
呼ばれた方向へ振り向く。ふわふわとした茶色い髪、くりくりで大きく長い睫毛を生やした目...そしてスラッとした体型に優しげな表情をして手を差し伸べる見たことの無い男がいた。全く知らないはずなのに手を伸ばしかけるほどの人を惹きつける魅力。吉良には彼がきらきらとして手を伸ばしてしまいたくなるようなのものでまるで神様かのように見えた。彼は名前を呼んだ後何も声を発することなくその場に立ったままだ。
「神...さま...?」
恐る恐る声をかけて歩み寄ってみても返答はなく更に寄っていっても一向に距離は縮まらない。というかなぜ自分の名前を知っているのだろうか?何なんだろう、もしかしてもう死ぬからお迎えに来ているのだろうかなんて変に考えては足を進める。確かに近付いているのに、一切距離感は変わらない。彼に遊ばれているかのようだがスピードを出してみたり急に遅くしたり色々手法を使ってみたがやはり駄目であった。
「だれなの」
どうにか止まってもらおうと思った吉良は、ぐっと手に力を込めて興奮を抑えながらそう訪ねる。すると彼は目を細めて微笑み首を傾け人差し指を唇へ当てた。その流れる仕草にまた異常な美しさと神々しさを見てはぞくりとする。
「明日...またね」
「は?」
彼はそれだけ言うと目の前から消えた。
...のではなく、次瞬きをした途端目の前は見慣れた天井だったのだ。
「ゆ、ゆめ...」
吉良はだらだらと汗をかいており夢の中の出来事でも高揚感を抑えきれていない状態にあった。いち早くある人へ伝えたいとガバッと起き上がり慌てて着替え始めた。




