05.僕の任務
マリアさんと、隊長に連れられて第三会議室へ案内された。
第三会議室は特務部隊専用の会議室らしい。
そこには隊員の
リカルド・ヴァルルカン様
ナナリー・クロス様
アレクセイ・ネプトゥヌス様
がいた。
この特務部隊は特別な仕事をする特別な部隊なので今まではこの五人で任務をこなしていたらしい。
少数なのは知っていたが、改めて目の当たりにすると本当に五人しかいないんだな、と驚く。
だが、この人達は特殊な加護の力をもっている為、普通の人の何十倍の兵力がある。と聞いたことがある。
実際に戦いの場所に行った事はないので、まだ見た事はないが、これから目の当たりにする時がくるんだろうか。
「さ、ジュード。皆に挨拶しなさい」
マリアさんに促され、皆に自己紹介をする。
「ジュード・エリオンド です。これからよろしくお願いします。」
全員の顔を一瞥してから、少し緊張しながら頭を深々と下げる。
「てめぇがマリア様が直々に声をかけたってやつか…」
そんな僕に一歩近づき、
リカルド・ヴァルルカン様が僕を睨みながら言った。
リカルド・ヴァルルカン様
炎の加護使いで、戦闘能力がとても高いと聞く。少し癖のある金髪でかっこよく女性に人気の人だ。貴族の次男で礼儀作法はバッチリらしく、少し荒っぽい性格もそのギャップで人気らしい。
僕はなぜか今、そんな方に親の仇でも見るような目で睨まれている。
知らない間に何かしてしまっただろうか…
「リッくん!ジェラシー感じてるからって睨んだらダメですよ〜!」
重苦しい僕らの空気を一掃する声が部屋に響いた。
「はじめましてジュードさん!ナナって言います、よろしくです!」
不穏な空気を壊してくれたのは、ナナリー クロス様。
金髪ツインテールのとっても可愛らしい方だ。
小柄な体型によく似合うフリルの付いた隊服を着ている。
僕らの間に割って入ってくれて、嫌な空気を変えてくれた。
「うるせぇ、ナナ!俺はジェラシーなんて感じてねぇっ!!」
なるほど、心の声が漏れているのでとてもわかりやすいが、
この方はマリアさんに憧れていて、そのマリアさんが連れてきた僕がどうやら気に入らないらしい。
「俺はただ、こんなちんちくりんがマリア様直々に声をかけられたってのが気に入らねぇだけで…!」
「それを世間ではジェラシーと言うのですよ〜!」
「リカルド様はマリアさんに憧れているんですね…。」
たしかにこの数日で分かった事だが、マリアさんは器がでかいというか、大雑把というか…
とにかくいろんな意味ですごい人だとは思うが、
リカルド様の心の声を聞くに、リカルド様は見た目の儚さにやられてしまっているようだ。
その解釈は間違っていると思うぞ。
「マリアさんだと!?マリア様と呼べ、このチビ!!」
チビ…だと…この人、人が気にしているところを…!!
確かに180センチくらいある貴方からしたらチビでしょうが、別に僕はチビじゃない!標準体型なだけだ!!
「別にチビではありません、標準体型なだけです。 マリア のことは呼び捨てでいいと言われたので呼び捨てにする事にしました。貴方とは違って僕は マリア に直々に声をかけていただいたので、 マリア に恥をか貸せないためにもしっかり勤めさせていただきます、よろしくおねがいします。」
と、一息で言い放つ。
あえて呼び捨てでマリアさんの名前を強調して何度も言ってやったぞ。
別に僕は怒ってない、人の気にしているところを言われたからって怒ってはいない。だんじて。
「なっ…!てめぇ…!」
青筋を立て今にも殴りかかってきそうな雰囲気を出すリカルド様
いや、こんなやつリカルドで充分だな、以下リカルドと表そう。
「はっはっはっは!!」
一触即発なムードの中、豪快な笑い声が響いた。
「お前達もう仲良くなったみたいだな!何よりだ!」
「ジルにはこれが仲良くなったように見えるのね、流石だわ…」
心底嬉しそうに笑いながら言う隊長と、そんな隊長に呆れた表情をするマリアさん。
「……そんなことよりマリア、わざわざ戦闘系の加護ではない彼を特務部隊に入れたということは、なにか目的があるんだろう。ぐずぐずしてないで早く本題に入れ。」
腕を組みマリアさんを呆れた顔をしながら言い放ったのはアレクセイ様
「あらぁ、新人に碌に挨拶もできないその口は飾りかしら、アレク?宰相の息子のくせに、礼儀がなっていないのではなくて?」
「ふん、公爵令嬢のくせに。碌に敬語も使えないお前に言われたくはないな」
「いいのよ私は、使い分けているから」
あ…この二人、仲悪いんだ。
綺麗な笑みを浮かべるマリアさんと、そんなマリア様にイライラとしながら顔をしかめメガネを直すアレクセイ様。
水を操るアレクセイ様、宰相様の息子らしく参謀的なポジションときいた。長い髪を一つにしばっている。メガネがよく似合っているな…。頭がいいからメガネなのか、メガネだから頭がいいのか…。
それにしてもすごい、睨み合いだ…。
マリアも化けの皮が完全に剥がれている。
「マリアとアレクセイも相変わらず仲良がいいな!」
「「どこが!?」
「はははは、やっぱり仲が良いな!」
ここの隊長がこの人の理由がわかった気がする…。
すごいなこの人、本気でみんな仲が良いと思ってるみたいだ。
まぁこの二人も本心から嫌っているわけではないようだが、いるよね。根本的に馬が合わない人って。
まぁ丁度いい、僕も知りたかった
僕がここに呼ばれた理由を
「マリアさん、僕も知りたいです。なんで僕が、僕のような加護が必要だったのか…」
僕の加護は戦闘系ではない、先程アレクセイ様が言っていたが、それは皆さんにも伝わっているようだ。
特務部隊のみなさんもマリアさんがここに僕を読んだ理由が絶対にあるはずだと思って少し期待に満ちた目でマリアさんをみつめている。
そんな僕らにマリアさんはあっけらかんとこう言い放った。
「え?理由なんてないわ。私がただジュードを気に入ったからよ」
「「「………」」」
ええええぇ。
いや、嬉しい。柄にも無く顔に熱が集まるのがわかる。
それが本心なのがわかるから尚更。
「ジュード……君がその様子という事は…この女のいうことは嘘ではないようだな…」
アレクセイ様が再びメガネを直し呆れながらそう言った。
「…はい、嘘では、ないようです。」
「……バカめ…」
「はぁ!?」
ぼそっと呟いたアレクセイ様に食って掛かるマリアさん、リカルド様も巻き込んで三人でギャンギャンと言い合いをしている。この人達はいつもこんなに賑やかなんだろうか…。
マリアさんはたしかに嘘はついていなかった。でもまさかそんな事で僕を…?
僕が怪訝そうな目でマリアさんを見ているのに気づいたのか、隊長が僕に近づいて小声で言った。
「ジュードを特務部隊に入れないとジュードは加護を隠していた大罪人として逮捕されていた可能性がある。だから特務部隊に入ってもらう事にした。」
「じゃあ…僕のために…」
「マリアはそういうやつなんだ…」
マリアさんを心底愛おしいモノを見るような目で見つめる隊長…
隊長……そうか隊長は…そうなのか。
「隊長は…その…マリアさんのこと…」
「ん?あ、あぁ…!ジュードには隠しても仕方ないな。そうだよ、マリアは俺の大切な人だ。本来であれば俺は君を逮捕しなくてはいけない。でも隊長としても、男としても、マリアの我が儘を叶えてやりたいと思ってしまったんだ。どうだ?俺は悪い隊長だろう?」
しーっと唇の近くに人差し指を持ってきて、ニヤリとイタズラが成功したような顔をする隊長。
かっこいい人がそういう事すると、凄い破壊力だ。同性だけど少しドキッとしてしまった。
これはうん、、、いや、惚れるのがわかる。
「まぁいい。ジュード、お前の能力はここでは確かに貴重なものだ…お前の加護は特務部隊以外には明かしていない。」
「え…そうなんですね。」
マリアさんとの言い合いが終わったらしい、アレクセイ様が僕に近づきそういった。
先程までの顔とは打って変わって、真剣な顔をしていた。
「お前に一つ頼まれて欲しいことがある。」
「はい」
「特務部隊を陥れようとしている裏切り者がこの国にいる可能性があるんだ、それを探ってほしい。」
「私はてっきりその為にジュードを特務部隊にいれたんだと思ったんだがな…」とマリアさんを睨み言うアレクセイ様
「そういう仕事はあんたの仕事でしょ、陰険男!あんたができないからってジュードにやらせるんじゃないわよ!」
「…なんだと、この二重人格ゴリラ女…!」
「マリア様のどこがゴリラすか、アレクセイさん!!こんなに可愛いのに!」
「お前はいつまで騙されているんだ、この単細胞め!」
また三人の賑やかな言い合いが始まる。
「皆んな仲がいいなぁ〜」
「「「どこが!?」」」
隊長に全員からのツッコミが入った。
やっぱりこの人が一番最強だ…。
それにしても裏切り者…か、それが僕の初任務…。
せっかくこんな能力だけど、
拾って貰ったんだ…この人達のために、頑張りたい。
ジュード・エリオンド 17歳
加護 : 心をよむ
肩くらいの黒髪 平凡な容姿
身長167センチ 体重55キロ
一人称 自分・僕




