39. 母の願いと、マジェイア学園の招集。
遅れてすみません(-。-;
観客席では、ミルフィーが祈るようにモニターを見つめていました。
「フィーちゃん……全属性だなんて、一体どうなってしまうの……」
「大丈夫よ、ミルフィー」
突然背後から響いた鈴のような声に、ミルフィーは飛び上がりました。そこには、かつて赤ん坊のフィラルを託してきた水の精霊王、アクアブルーが立っていたのです。
「せ、精霊王様!? なぜここに……」
「しーっ、静かに。フィーちゃんなら私たちが保護したわ。ほら、ファイアの腕の中でスヤスヤ寝てるでしょ?」
アクアは微笑み、人外を嫌うはずのミルフィーに深く頭を下げました。
「……ありがとう。彼女の記憶が戻るまで、大切に育ててくれて。お礼に、あなたの願いを一つだけ叶えましょう。何がいいかしら?」
ミルフィーは戸惑いながらも、真っ直ぐにアクアを見つめて答えました。
「……もし、フィーちゃんがいつか旅に出ても。もう一度だけでいい、私に会わせてください。私の自慢の娘に……」
その言葉に、アクアは優しく目を細めました。
「ええ、約束するわ。……おっと、主がお目覚めよ」
「……うう、うるさいなぁ。アクアとファイア、喧嘩しないでよ……」
ファイアの腕の中で目を覚ました私は、大きく伸びをしました。
記憶が戻り、自分がかつて「レボルヴァ公爵令嬢」であったことも、精霊たちの主であることも理解しました。けれど……。
「ママ! あたし、まだここに残って結果発表見たいの! いいでしょ?」
うるうるした瞳で上目遣いに頼み込むと、ミルフィーは案の定、メロメロになって許可してくれました。
(よし。まずは『平民の娘フィーちゃん』として、この場を切り抜けるわよ!)
私は観客席から軽やかに飛び降り、身体能力アップの加護を使って自分の席へと戻りました。
ふと隣を見ると、そこには先ほど消えたはずのネフィが、何事もなかったかのように座っています。
(……ネフィ。あなた、さっきどこにいたの?)
聞きたいことは山ほどありましたが、その時、スピーカーから無機質な放送が流れました。
〔――選抜の結果を発表します。エリート養成機関『マジェイア学園』への入学許可者は……二十七番、四十番……以上です〕
会場がどよめきに包まれます。二十七番――私と、四十番――ネフィ。 周囲からは羨望の眼差しが向けられますが、私の心は決まっていました。
(マジェイア学園? 冗談じゃないわ。あたしの夢は、自由な冒険者になること。……こんな退屈そうな学園、こっちからお断りよ!)
ママが言っていた「強制ではない」という言葉を盾に、私はこのエリートコースをいかにして華麗に蹴飛ばすか、その作戦を練り始めるのでした。




