40. 拒否権なし? 上等よ、殴り込み(転移)開始!
――マジェイア学園、選抜者は強制入学。
スピーカーから流れた無慈悲な放送に、私とネフィは顔を見合わせ、同時に絶叫しました。
「「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」」
拒否権なし? ふざけないでよ! 私の夢は自由なギルドに入って冒険すること。そんなエリート牢獄(学園)に入れられてたまるもんですか!
「あいつら、許すまじ……!」 「フィラルちゃん、殺気、殺気が出てるから! 落ち着いて!」
ネフィが宥めてくるけれど、私の怒りは収まりません。
「いい? ネフィ。こうなったら無理やり押し通すのみよ。『目には目を、歯には歯を』のハンムラビ法典で行くわ!」
「……ハンムラビ法典? フィラルちゃん、それよりは『倍返し』の方がいいと思うけど……」
「倍返し? それ、どうやるのよ?」 「……わかんない」
二人して勢いよく提案したものの、いい案が浮かばずポカンとしてしまいました。
「……ねぇ、ところでネフィ。なんでそんな言葉知ってるの? 普通、五歳児は知らないわよね?」 「えっ……あ、それは、えーと……! それより、どうやって拒否するかだよ!」
……ちっ、話を逸らされたわ。まぁいいわ、あとでじっくり聞き出してあげる。
「こうなったら、一番偉い人のところに行って直接『やだ!』って言ってくるわ。アクア! フランちゃん!」
私が指を鳴らして呼び出すと、二人の守護者が即座に姿を現しました。
「お偉いさんが集まってる部屋を突き止めて。一番豪華で、一番偉そうな奴らがいる場所よ!」 「「りょーかい!」」
数分後。
「ただいまぁ~! 場所分かったよ。最上階の奥の部屋ね」
あまりの早さに、ネフィが間抜け面で固まっています。
「ぷっ! ネフィ、お口開いてるわよ」 「ちょっと、ひどいよフィラルちゃん!」
そんな私たちの茶番に、ついにアクアの堪忍袋の緒が切れました。
「てめぇら、いい加減に人の話を聞きやがれッ!!」 「「ひぃぃっ!?」」
怒鳴り声に飛び上がった私たちに、アクアはフンと鼻を鳴らして指先で魔法陣を描きました。
「二人とも、歩くのは面倒でしょ? 一気に最上階まで飛ばしてあげる」 「さすがアクア、話が早いわ! ネフィ、行くわよ」 「う、うん……。転移なんて初めてだけど、頑張る……!」
「それじゃ、レッツゴー!」
アクアの掛け声と共に、視界がぐにゃりと歪みました。 さあ、お偉いさんたち。最強の(わがままな)五歳児たちの訪問を、精一杯後悔しなさい!




