105.ぴかーん
(「それじゃあ、封魔……挑戦してみるか……」)
界はグリム・アスシュナーベルを封魔することにする。
(えーと……、封魔の基本はまず対象を弱らせること……だよな)
界はそう思い、グリム・アスシュナーベルに視線を送る。
「ギィ……」
たったそれだけで、グリム・アスシュナーベルは身体を仰け反らせる。
そして撹乱するように周囲を飛び回る。
しかし、先刻の光の壁への激突により、負傷しており、自慢の素早さは影を潜めていた。
だから、界は、グリム・アスシュナーベルに向けて右の手の平を向け、
「光炎術……」
術を放とうとする。と……、
【おいおい、田介……何をする気だ?】
頭の中で、ドウマが割り込んできた。
(「え……? あいつを弱らせようかと……」)
【ふむ……、それで何の妖術を?】
(「そりゃあ……光炎術〝白蓮凛火〟を……」)
【田介……、お前、封魔をしたいんじゃないのか?】
(「……? だからそう言ってるじゃん」)
【阿保か……! 次にそれを放ったらあいつはぴかーんと消滅するわ】
(「ぴ、ぴかーん!?」)
【田介よ……、霊魔なんてものはな……8割方、光属性がよく効く】
(「へ……?」)
【要するに弱点ってことだ。その光属性の攻撃の大技を奴にぶち込んでみろ? そりゃあもうぴかーんよ……】
(「ぴ、ぴかーん……。だったら、もう今の段階で封魔できるかな……」)
【……奴は、まだ飛べてるからそれは厳しいかもしれぬな。封魔するならば、もう少しボコる必要がある】
(「なるほど……。光属性が弱点か……。うーん……、じゃあ、ドウマ闇の力貸して!」)
【ちょ……!】
(「え? ダメなの? 闇属性なら弱点じゃなくて消滅しないって意味かと思ったけど……」)
【そ、そうだがな……。田介め……、この儂様の力を軽い感じで……!】
(「……まぁ、ダメなら別の方法を……」)
【……ダメとは言ってなかろう……】
(「……!」)
【…………まぁ、儂様も雑魚を小技でチマチマいたぶるのは趣味じゃないしな】
(「ありがとう……! 恩に切る!」)
そうして界は一度、目をつむる。そして……、
「「「「……!」」」」
次の瞬間、その場にいた意識ある者は皆、息を呑む。
「っ……、じ、じいじさん……あれ……」
「あ、あぁ……」
界の魔力の性質が光から闇へと変わった。
それもちょっとやそっとの量ではない。
空気がひりつく程の濃密な闇のオーラ。
それは百戦錬磨の白神元ですら、やはり、少なくはない恐怖を感じるものであった。
だが、それ以上に、
「界……、お前はもう……そんなにもドウマ様のことを……」
界が寄せるドウマへの感情が伝わってきた。
「闇雷術……〝黒牢雷獄〟」
闇の球体がグリム・アスシュナーベルを包囲する。
次の瞬間、黒き稲妻の鉄格子が対象を貫く。
「ギィイイイイイイイイイ……!!」
その鉄格子は硬いわけでない。
にも関わらず、対象はその牢屋から一片たりとも抜け出すこと叶わず。
身体を強制的に拘束する。
「ギ……ギ……ギギ……」
(「……あ、あの……ドウマさん? 闇属性なら大丈夫なんじゃないですか? かなり消滅ぎりぎりに見えるのですが……?」)
【そ、そうか……? い、いや……、想定通りの寸止めだ! はっはっは、流石、儂様……!】
(……本当か?)
界は少々、疑いつつも、確かにグリム・アスシュナーベルはまだぎりぎり存在している。
「影の名を断ち、力の流れを塞ぐ。
ここに印を刻み、我が結界に縫い止めん。
汝が咆哮、いま鎮まりて封ぜられよ――封鎖!」
こうしてまた、一匹の鳥が界により封魔されたのであった。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
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