5年振りの逢瀬の話。
前回更新からだいぶ空いてしまいました…
やっと物語(キャラ?)が動き始めます!
『婚約破棄のお話は…国の為ですので、お受けいたします。けれど…妾のことは…』
『…私は本気だよ。悪いようにはしない。だから…少し考えてくれ。』
良い返事を期待している、と柔らかく笑って立ち去って行く。
仮にも侯爵家の娘である私に妾になれなどと最低なことを仰った様には見えない、美しく逞しい後ろ姿。
(私は…どうすれば良いの…)
ただただレオナルト様の小さくなっていく背中を見ていることしか出来なかった。
レオナルト様が居なくなって暫く。
魂が抜けた様に立ちすくんでいたけれど、ここでいつまでもいたらいけないと歩みを進めた。
ーーー「ベニカ。」
部屋から出てすぐ、名前を呼ばれる。
「…ルヴァスール様。ご無沙汰いたしております。」
相手に失礼が無いように、すぐさまカテーシーを披露する。
「顔を上げて。硬っ苦しいのは良いよ。名前も前みたいにルルって呼んでよ、ベニカ。」
数年間、まともに話すことが無かったことが嘘のように。
変わらぬ話し方で…そう言った。
変わったのは、前よりも背が高くなって体つきも"男性"になっていて。
サラサラの金髪はかなり長くなって後頭部の位置で結われていた。
ペリドットの様な瞳の色はそのまま、猫の様にクリっとした目の面影も残しつつ、涼し気な目元になっていた。
「そんな恐れ多い…」
「命令だ、と言ったら?」
「…会わない間に意地が悪くなられましたわね、ルル様。」
私の返しに満足そうに笑う。
「そんな君は会わない間にもっと綺麗になったね。今すぐ連れ去りたいくらいだ。」
「あら、面白いご冗談ですこと。」
5年も経つと人間とは本当に変わるものだ。
5年前はこんな軟派な言葉なんて言えない人だったのに。
返しを受けてコロコロと笑う私に、ルル様は肩を竦めてやれやれという仕草をする。
「…冗談なんかじゃないよ、と言ったら?」
先程までの笑みは何処へやら。
射抜くような瞳に、何故か体が強ばる。
「僕ね、とっても耳がいいんだ。…兄さんも馬鹿だよねぇ…応接間なんかでする話じゃないだろうに。」
1歩、また1歩と焦らすようにゆっくり近づいてくる。
「ねぇ、ベニカ。今から君を…兄さんから奪うね。」




