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ダンジョンマスターのメイクマネー  作者: 新井颯太
第36章 防衛構築
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第27話 天界の騎士

 神殿フィールド。

 光に属する魔物が生息しており、中でも天使型の魔物は冒険者が遭遇したのなら即座に逃げ出さなければならないほどの力を有している。


 元から階層にいるゴーレムに挨拶をしながら神殿を奥へ歩く。

 先ほどの反省を活かして離れた場所から声を掛けることにした。


「うわ……」


 どうやら目的地へ真っ先に転移しなかったのは正解だったようで近付くと衝撃波が届くようになる。


 神殿フィールドの最奥――中央部分は祭壇になっている。

 祭壇の手前にはボスが待っており、敗北を認めさせる、もしくは倒すことで祭壇が起動して下の階層へと移動することができるようになっている。


 これまでに祭壇を起動させた者は何人かいる。

 しかし、ボスが倒された記録は一度もなかった。ボスへ挑んだ冒険者は、必死に戦って認められることで通過することを許された者たちだ。


 圧倒的な強者。

 神殿フィールドのボスとして待ち構えるのは、白銀の鎧を全身に纏った大きな体をした騎士。

 天使の騎士(エンジェルナイト)と呼ばれる魔物で、魔法が得意な天使であるにもかかわらず魔法が一切使えない天使の魔物。その代わりに凄まじい膂力を発揮することができる。大きな体から繰り出される剣撃は全てを砕くことができる。


「相変わらず、えげつないまでに力へ割り振った攻撃ね」


 対して受け止めるのはアイラだ。

 大きく振り下ろされた剣を自らの剣で受け止めると同時に力を受け流して地面へと反らす。


 自分への攻撃を受け流す訓練。

 神殿の床が砕かれる。迷宮の床や壁は、鉱山フィールドのように採掘を目的とした場所以外は簡単に壊れないように造られている。神殿フィールドも壊れないよう設定された場所。それが破壊された、ということはそれだけ強い力によって攻撃されている証拠だ。


 攻撃を反らして天使の騎士(エンジェルナイト)から離れるアイラ。

 ゆっくりと体を起こした天使の騎士(エンジェルナイト)が離れた位置にいるアイラを無言で見つめる。


「ダンマリはよくないと思うわよ。あんたも天使型の魔物なら喋る機能を持っているはずでしょ」


 アイラが言うように天使型の魔物は人間の言葉を理解できるだけの知能を持ち、自らも言葉を発することができるようになっている。

 けれども、天使の騎士(エンジェルナイト)は言葉を発さず、無言を貫いていた。


 兜に覆われた頭。目の部分は開けられているのだが、真っ暗になっていて表情を窺い知ることができない。

 兜の内側が怪しく青白い光を放って反応を返すのみ。


 天使の騎士(エンジェルナイト)全てがこういう仕様になっている訳ではない。


「どうして、そんなキャラ設定をしたんだろ」


 自分は門番として侵入者の前に立ち塞がるのみ。

 一応、地下50階の管理を任せている。しかし、門番に徹しているだけで他の階層と違って管理らしい事は何もしていない。まあ、それでも知能の高い天使型の魔物が多い階層だから各々が考えて行動するおかげで問題らしい問題は今まで発生していない。


 祭壇場の床を蹴って、一気に距離を縮めるアイラ。

 反応した天使の騎士(エンジェルナイト)が剣を振り下ろして迎撃する。アイラよりも二回り以上大きな体をしているが、膂力に任せて振り抜かれた剣はアイラの体へと届く。


「せいっ!」


 剣を掲げて防御する。ただし、前へ進むことを止めずに駆けると体を叩き付けるような勢いで蹴り上げる。

 頭部を蹴られたことで天使の騎士(エンジェルナイト)がわずかに仰け反る。


 体勢を直した時、目の前にアイラの姿はなかった。

 蹴り上げて着地した直後に跳び上がっており、上から押し付けるように頭を再び足で押し出す。

 それを受けた天使の騎士(エンジェルナイト)の目が怪しく光る。女性であるアイラに純粋な力で負けるとは思っていなかったのだろう。


 背後へと回り込んだアイラ。そのまま斬ろうと剣を振り下ろすが、体を回転させる天使の騎士(エンジェルナイト)の勢いに吹き飛ばされる。


「さすがに、そう簡単にはいかないか」


 吹き飛ばされながら右手で剣を持ち、左手で新たに銃を持つ。

 2発の弾丸が天使の騎士(エンジェルナイト)の手に当たり、剣を取り落としてしまう。


「普通の弾丸じゃないのか」


 鎧を纏っている天使の騎士(エンジェルナイト)が弾丸程度でダメージを受けるはずがない。

 アイラが使っている銃は普通の銃だ。剣を落としてしまった原因として考えられるとすれば銃弾が特殊だった事ぐらいだ。

 天使の騎士(エンジェルナイト)の顔が落とした剣へ向けられる。


「はい、チェックメイト」


 俯いた顔には、自分の左胸へ剣を添えているアイラの姿が映った。

 鎧があるから貫かれることはないし、訓練なのだから本当に突き刺すような真似もしない。しかし、訓練だからこそ最低限のルールは守らなければならない。


 戦闘時の警戒態勢を解いて両手を上げる。

 それが天使の騎士(エンジェルナイト)の降参の合図だった。


「ありがとう。これで実戦でも使えることが分かったわ」


 アイラの言葉に天使の騎士(エンジェルナイト)が頷く。

 今回、アイラが試したかったのはようやく狙った場所へ撃てるようになった銃が通用するのかのようだ。


「どうだった?」

「マルス」

「随分と特殊な弾丸を使っていたみたいだな」

「コレ? コレはメリッサに造ってもらった弾丸なの」


 アイラが見せてくれた銃の中にあった弾丸は、通常の弾丸よりも大きく特別な素材で造られているのか金色をしていた。


「徹甲弾。『遺跡』の資料を探していて見つけたらしい強力な弾丸で、鎧とかに穴を開けることを目的にしていたらしいわよ」


 簡単に言えば威力を強化した特殊な弾丸。

 ただし、欠点も存在する。弾丸そのものを大きくし、発射の際に通常よりも強い力を用いて発射するため一度に装填できる数が少なくなっている。再度撃つなら銃に弾丸を籠め直す必要がある。


「ま、その問題は解決済みなんだけどね」


 予め弾丸を籠められた銃を用意しておき、銃を一瞬で持ち替えることによって装填時間の欠点を解消していた。それができるのも複数の銃を用意することができ、荷物にならず所持することが可能な収納リングがあるからだった。


「真っ直ぐには狙えるようになった。ネイサンさんの妙技は見せてもらったけど、剣士のあたしにそんな技量を求める必要はないでしょ」


 アイラが銃に求めたのは遠距離攻撃手段の一つであること。

 技量は十分だと判断していた。


「攻撃力だけなら【明鏡止水】があるから『斬る』ことさえできれば問題ない」


 気にするべきは、『斬る』へ至るまでの手段。

 魔法が得意でないアイラにとって剣を手にしながらでも使える銃は最適だった。


「ま、一番は【明鏡止水】に頼ることなく斬れるようになることなんだけどね」


 そう言って天使の騎士(エンジェルナイト)へ剣を向ける。


 アイラが手にしている剣は、聖剣ではなく鋼で鍛えられた剣。

 天使の騎士(エンジェルナイト)が所持しているのも同様に鋼の剣。

 どちらも迷宮の力を使えば簡単に手に入るような代物だ。


 アイラへ向けて振るわれる天使の騎士(エンジェルナイト)の剣。

 身を翻して回避すると上から叩き切るように剣を振り下ろす。天使の騎士(エンジェルナイト)の使用する剣は大きな体躯に見合った巨大な剣。一方で、アイラが使用するのは普段から使用している聖剣と形は変わらない剣。

 彼我の大きさを比べれば、ぶつかった瞬間にアイラの方が負けてしまう。


 しかし、剣先が触れたことで鋼の大剣の一部がスパッと斬られる。


 後ろへ跳び退いてアイラから距離を取る天使の騎士(エンジェルナイト)。

 その姿を追うように拳銃から大剣へ弾丸が放たれる。鎧すらも貫通してしまう強力な弾丸。鍛えられた鋼の大剣と天使の膂力によって耐えるものの大剣の位置が落とされる。


「もらった!」


 キン!

 置き去りにされた大剣がアイラの手によって両断される。


「こんなものじゃないでしょ。まだまだあたしに付き合ってもらうからね」


 お互いの装備を破壊することが勝利条件な戦いは、最初はアイラの勝利で終わった。


 だが、これは訓練。

 武器が残されている限りは続けられる。

 収納リングから出された大剣を投げ渡し、距離を取ると再び戦いが始まる。

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― 新着の感想 ―
[一言] このダンジョンの魔物(ドラゴン、神獣、アンデッドやら)曲者だらけだよね(笑)
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