私がお楽しみ会企画するの?
今回は秘密基地ではなくクラスの話。翼はある日お楽しみ会の企画を任された。マンネリ化も避けたいためどうしたものかと考えた末に翼はある妙案を思いついたのだった…。ちなみに、クラスの人の中の何人かは1話の自己紹介パートで名前が出てます。
お楽しみ会…おそらく大半の人は「クラス会」とか「学級会」なんて呼び方をしてたのでは?こっちはお楽しみ会という名称だった記憶があります。やる内容は大概ドロ刑とかドッジボールとか同じだったので子供の頃は(たまには違う遊びに決まらないかなぁ)とか思ってた気がする。
私の名前は雲井翼。ひょんなことからタイムリープして小学生になってしまった女子高校生。さてさて、今日はいきなり一大事ですよ。っていうのもウチのクラスの担任の土田先生からいきなり呼び出しを食らってしまいました…。どういう状況だこりゃ。私何もしてへんぞ?
とりあえず、職員室来たからドアノックするか…うう…職員室はいつどの学校でどんなタイミングで来てもお腹が痛い。
「(コンコン…)ア、シツレイシマス。アノ…3年2組の雲井翼です。土田先生居ますか?」
しーーーん…
ふむ…。声が小さすぎたか…とはいえ堂々と怒られに来るバカが何処に存在するのか。いやしない。でもなぁ…とりあえず呼ばないとどうにもならん!
「あの、失礼します。」
しーーん…
まだ聞こえないんか。やはりここは大声で…
「あの!失礼します!」
「あ、はい。」
やっと通じた!若干みんな大声に引いているっぽいけど。(そもそも普通に入っても誰一人気づかないのが悪いと思う。)
「3年2組の雲井翼です!土田先生いますか!?」
「あ、はい、います」
居たんなら返事しろやァ!担任!
「あの、あとで話あるから来なさいって言われて…」
「あー!あの件ね。いや、実はさ、翼さん未来人じゃん?」
「はい。」
「ってことは少なくとも中身は他のクラスメートより人生経験があるって事だよね。」
「まあそうですね」
嫌な予感。
「そこでお願いなんだけど今回のクラスの距離を縮めるためのお楽しみ会を開催してほしいんだ。っていうのも普段は話し合いで決めるんだけど大体毎回同じような遊びになるし、毎回同じような遊びをやるのも君にとっては少しあれだろう?それに、君は他人よりも精神的には大人で、経験も豊富、だが立場は小学生という特殊な位置に居るからね。いいアイディアが出てきそうだと思ったんだ。」
「はぁ…」
便利な人扱いですか…未来人は何でもできるわけちゃうぞ。でもまあ確かに、お楽しみ会を制約の中で好きなように作ることができるというのは魅力的ではあるし。引き受けよっかな。
「やらせていただきます。ただ、主催者は私一人、そしてクラス全体といった感じでいいですか?」
「あーうん。それで大丈夫。後はある程度の制約…まあ入っちゃいけないところにはいるとか、危険な遊びとか人に迷惑かかる遊びとかしない限りは自由にやっていいから。」
どこまでが危険でどこまでが危険じゃないのかそれは。
まあいいか。
クラスをまとめるという目的か。学級委員も代表委員もやったこと無い私にそれ言うか。
「うーんでも、なんか逆に共通の目的あったほうが良いかなってのはあるよなぁ…。いっそデスゲーム形式に…いやいやさすがにそれは…。」考えた末に私は一つ妙案を思いついた。妙案を実現すべく皆に好きな遊びや得意科目でもそれとなーく聞いて回ることにする。
「え?好きな遊び?」
「うん。なんかアンケート取るように言われててさ。ホントなんで私がーって思うけど」
「うーん…鬼ごっこ…?」
「あ、あと得意科目とか、なんか何でもいいからこれ詳しいよ的なやつある?」
「…この前塾の算数のテストで100点取ったくらいかな…?」
「オッケーさんすうね。ありがと。」
この作業を地道に繰り返していく。
「私はピアノ習ってるからそれくらいかな…」
「俺サッカーやってる」
「俺野球やってるけど?まあお前よりはルール詳しいよw」
曹太は毎回毎回私に突っかかって何がしたいんだろうか…?
「遊びよりも本を読むのが好きかなぁ…ジャンル?えーと…ファンタジーとか。」
「どんなの読むの?」
「うーん…二十国記…?」
「なるほど。あれね」
必ずと言っていいほど図書室においてある分厚い本である。…読んだことないので内容はわからんが。
「他には?」
「一から始める異世界の…」
「あ、それは聞いたことある。」
「聞いたことあるんだ!」
未来じゃあアニメ化されてます。てかこの作品群は流石に小学生のラインナップじゃない気がする。
「お花が好きかなぁ」
「ちなみに好きな花は?」
「最近見て可愛いって思ったのはオオイヌノフグリ」
「へぇ~。どんな花?」
「青くてちっちゃくてかわいいお花だよ!今の季節はよく咲いてる。」
そう言うと図鑑で写真を見せてくれた。
「へぇ~可愛いお花!」
「実は大きい犬の(自主規制)って意味なんだって」
「聞きたくなかった。」
もうこの花を純粋に見られない。
「ニュースなら毎日見てるけど。」
「なるほど。最近見たのは?」
「君にも分かりやすいところで行くと最近は練り消しやシールの交換がブームになっていて、それによる盗難やいじめが話題だね。先生がシール帳とか練り消しを帰るまで没収しているのにはそういう理由もあるんだって。」
「なるほどねぇ。」
「あとは政治関連だと最近…」
やはり優等生は違うなぁ。私なんかテレビはアニメ見て終わりだよ。
うんうん。かなり情報が集まったぞ。
私が思いついた妙案は、学校にボランティアしに来た大学生と話してる時に聞いた珍しいインターンでの体験を少しアレンジしたものだ。インターンで使われるようなものなんだから先生もきっとお墨付きだろう。
「…というわけで先生、これはどうでしょうか。」
「…なるほどね。要するに各々の得意分野を活かすと。」
「えぇ。先生からしても、これは魅力的なのでは?」
私がそう言うと先生は少し考えた。
「あえてお楽しみ会をサブにしてそっちをメインにするか…。それで本当にお楽しみ会開催できるかな…?」
「少なくとも人は1つのことに夢中になってる間は楽しいです。それが子供ならなおさら。それに…」
翼はにやりと笑いながら言った
「子供をなめたらいけないと思います。」
「なるほど。では、手がかりをもとに問題をつくりますね。中身はどうしましょう?」
「それに関しては話し合いで決めたっていいと思いますよ。なんなら雨の日用の種目も用意したほうがいいかもです」
「サブになるからそれでいいのか。」
「はい、結局皆がやりたい事をやるのがお楽しみ会。というか楽しければそれがお楽しみ会でいいでしょう。あ、どうせなら!謎解きのご褒美としてなんかお菓子でも用意しては…?」
実際そういうのあるとテンション上がる。
「なるほど。考えてみます。」
まあ、期待しないどくか。
そうして期待をせず待った1週間ほど後…話し合いの末ついにお楽しみ会は開催された。結局晴れていればドロ刑、雨ならフルーツバスケット、どちらでも「王様取り」と「ドッジボール」はやることになった。
…表向きは。
「先生ね、考えたんですよ。今の皆さんにはお楽しみ会をする資格があるのかなって。」
お、芝居に入ったな。
「なんだよー!」「意味わかんねえし!」「「えー!?」」
想像通り、皆口々にブーイングの声をあげている。
「今みんな先生に文句を言ったけど、こんな事で大きな声で文句言って、他のクラスの人困らせてるようじゃ先生今の時間から教室移動するのは良くないと思うな。」
「じゃあ体育館集合にすれば良いんじゃないですか?」
「確かに、それもそうだけど移動するのは掃除が終わってすぐ。その時に掃除が長引いちゃって誰かが遅れてきちゃったとしたら、正直言って今のままだとその人だけ皆からすごい文句言われると思うんだ。それがいじめにつながることもある。」
なるほど。この担任、意外と芝居がうまいじゃないか。やるねえ。
「先生も皆の事全然分からないし、信じたいとは思うよ。だけど、今の時点だと、まだまだ信じられない。だから先生今回あるゲームを用意してきました。」
そう言うと課題の用紙が配られた。なるほど。私に用意された課題はこれか。
「今回皆にはあるキーワードを当ててもらいます。その紙には問題が書いてあって、正解することによってそれがキーワードへの1つのヒントになります。そのヒントを元に誰か一人でもキーワードを当てられたら先生に言いに来てください。」
私が考えた妙案はこのようなものである。
まず、お楽しみ会を前にして、教室を出るのには懸念があるということにする。そしてその懸念は授業中大騒ぎしながら教室の前通る可能性とかまあそういった理由である。それにより、クラスの人間に『授業中教室から出る資格があるかどうか』を問うためにあるゲームをしてもらう。
ゲームの内容は簡単。あるキーワード(これに関しては先生に決めていただきます。無難なやつ。あと)を完成させればいいのである。そして1人1人に紙を配る。紙には問題が書かれており、それの答えがキーワードへのヒントになる仕組みだ。
「課題を解いている間は教室内、自由に移動してもいいです。お喋りもあまり騒がなければ許可します。ただしトイレに行きたくなった場合なんかはちゃんと申し出ること。」
教室内では自由に立っても歩いてもいい。というか騒いだり人殴ったり悪口言ったりしなきゃもう何したっていい。なんなら配られた紙意外の何か使ってもいい。とにかくあるキーワードを完成させればそれでいい。
「この問題が解けたら、楽しい楽しいお楽しみ会が開催されます。」
「「いえーい!」」
何故か歓声が上がる。いや、お楽しみ会開催される前提やったやないか。まあ、とにかくお楽しみ会が開催されるかはそれにかかっているのだ。そして、先生は問題を解いた答えは「1つの」ヒントになると言っていた。それはつまりもう一つのヒントがあることを意味する。
しばらく経ってクラスのうちの一人が何か分かったように言った。彼女は鎌田響希という名前であり、その名の通り音楽が得意なようで、ピアノを習っている。タイムリープ前は中学受験をした為中学校は私とは被っていない。
「私答え分かったかも。多分ここに入るのは『ミ』だよ」
「へ?」
「だって真ん中の横3つのお団子には串が一本刺さってて、左側のお団子は一番下が欠けてる。あとよく見るとお団子もう一個入りそうな隙間ができてる。真ん中の縦のお団子は一番上が欠けてて、一番右のお団子は真ん中だけ無い。多分これ、ドミソの和音の中からミの音だけ抜いた楽譜なんじゃないかな。」
なるほど。響希ちゃんの問題は和音の転回形を応用した問題か。
「え?俺全然違う内容なんだけど。」
そこに江戸川くんが入ってきた。
「え?何?」
「ほらこれ。」
「『人によっては身体と心で食い違っていること』何かな…?」
「性別じゃないかな…ちょうど今日ニュースでそういうのやってたんだよ。実際芸能人でもそういう人いるし。デラックスマサコとか」
「あの人男なの!?」
「たまにめっちゃ男みたいな喋り方するじゃん」
お、想像通り雑談なんかも始まったぞ。そしてみんなどんどん謎を解いていく。
「冠にごまが着いた王様…?あ、そういう…」
漢字に詳しい上男も。
「15=3
13=1…なるほど。で、これが何で空の上にあるんだろう…」
発想力はある新も。
「難しい漢字の部分は私に回ってきたか…。」
個性の個。問題の出しようがない漢字は私に回ってきたか。
「最近話題になりつつある選手って言ったら大山選手…あ、答えは『大』か!お前答えわかった?俺分かったけど??」
「分かったよ。」
「俺のほうがお前より100秒先に答え分かってたし〜!!」
「すごいね。」
野球に詳しい曹太も答えを見つけたっぽい。わざわざ煽りに来た。
「ヒントは鳥の右の翼…?それにこの紙だけ折り紙になってる…?」
郁子さんの奴は折ると答えが出てくる仕組みか。
「あ、答え分かったけどぎょうにんべんに…何この漢字。」
「あ、皆注目!なんか紙に番号振ってあるっぽい。それぞれ答えと番号教えて。書いてくから。」
お、さっき問題解いてた江戸川くん、もう仕掛けに気づいたか。
紙の隅っこには番号を振ってある。要するにクラス全員が文字通り結託しなければキーワードは完成しない。
「これならお楽しみ会できそうだな!俺10番『あ』だった」
「私は一番『み』」
「うわっ!こんな問題よくわかったな…俺9番『を』だった。穴埋め問題出されると思わなかったよ」
どんどん回答が集まり、みんなから集まった回答は『みんな主役!個性をあわせて大きな虹を作ろう!』というスローガンに。ホントに無難なワードを考えたなあの教師。まあ、それはそうと。ここまで約30分。子供、侮るなかれ。
「先生!答えわかりました!」
代表として仕組みに最初に気付いた江戸川くんがキーワードを先生に提出した。
「正解です!これなら皆を体育館に連れて行ってもいいよ。」
「「よっしゃー!!」」
こうして滞りなくお楽しみ会は開催され…
「実は皆さんに…じゃん!飴を用意してます。」
(ホントに用意した…)
お菓子も用意された。
まあ、お楽しみ会の開催兼クラスのアイスブレイクは企画としては成功といってもいいのではなかろうか。
クイズ考えた先生、お疲れ様です。
「と、ここである発表があります。」
お、なんだサプライズでも考えたか!土田先生、見かけによらずやるな。
「本日のお楽しみ会は皆が少しでも仲良くなれるように、と少し趣向を変えて、お楽しみ会の前にちょっとしたキーワードを当てるっていうゲームをやってもらったと思います。」
「実は今回、そのゲームの内容を考えて企画してくれた人がこのなかに居ます!」
おい土田ァ!何やってんだ!!それじゃあ私にブーイング集中すんだろうが!
「えー!?」「誰〜!?」
「それは…翼さんです!」
「マジで!?」「やっば!」
たった今私のなかでこの教師の評価は「ノンデリKYバカ野郎」になった。
「元々先生、皆に仲良くなってほしいな、って思って何かできないかなと思って翼さんに相談しました。そしたらこれをパパっと考えて、皆さんから得意分野とか聞き出してくれたんです。皆さん、翼さんに拍手を。」
パチパチパチパチ…
嫌々ながらの拍手をどうもありがとう。と翼は思った。
「では、翼さん、一言お願いします。」
土田、お前一生恨んでやるからな?と内心思いながら私は半ばヤケクソですぴーちをすることに。
「えーっと…このゲームは、先程先生も言ってた通り、「クラスの結束力を高める」ために企画したものです。元々お楽しみ会ってやる遊びがだいたい決まってて、すごい何か…『またこれか』って感じがあったと思います。」
会場はざわざわとしており、「確かに」や「えー?そんなんじゃないよ」という意見もあった。
「そこで、このクイズをやった事でちょっとその…『またこれかよ』って感じが薄れてお楽しみ会が特別なものになったのではないでしょうか。えっと…なんつーか…ケーキの上のイチゴを引き立てるためのクリームがあるみたいに、こういう前座があることによってちょっと特別なお楽しみ会を楽しめたなら幸いです。」
会場からは「確かに…なんかやりきった感はあったかも…」とかそういう声が漏れている。
「あと、実はあれはもう一つ目的があって…えっと…皆さんいじめとかで問題になって先生に怒られるの、嫌ですよね。まぁ、いじめとかやっちゃったらまあ、怒られるのは当たり前って感じだと思うんですが。」
会場から「怒られたくなーい」や「何もしてなくてもいじめって言われるよね」「でもいじめはいけないよ」等の意見が漏れている。
「実はそれを防ぐ目的もあって、皆、それぞれこれが得意だって分かればまぁ…いじめる側もいじめる前に『こいつこれが得意だしなぁ』ってなっていじめるの少し躊躇うかなとは思うわけですよ。そこでこのゲームは否が応でもお互いを理解せざるを得ないというわけで…それと、人って共通の敵が現れるとすごい仲良くなるんですよね。例えば漫画なんかでまぁ…仮に『主人公達のチーム』と『対抗している強豪校のチーム』がいたとして、そこに『最近になって実力をメキメキつけて強豪校を追い越そうとしているくらい強いチーム』みたいな第二の敵が出てくると敵だった強豪校が味方になったりするじゃないですか。それみたいなもんです。みんな、ちょっとは仲良くなれたのでは?」
「へぇ~」「確かに。〇〇と××『△△』が出てきた瞬間戦ってたのに仲良くなったわ」
「なるほどね。」
さらに追加情報。
「あ、それと、お菓子配るの提案したの私です。」
「「ナイスゥ!」」
学校で食うお菓子は特別感があるからね。そして周囲の反応をよそに翼は言った
「こんなとこでいいですかね?」
「ばっちりです。それでは翼さんに改めて大きな拍手を!」
パチパチパチパチ…
その後翼が質問攻めにされたのは言うまでもない。特に頭がいいやつからの質問が痛かったそうな。
なお、その後秘密基地では…
「翼先輩、今日お楽しみ会でしたよね。」
太陽がお楽しみ会に言及してきた。
「うん」
「何かすごい一風変わった内容だったらしいって聞いたんですけど。」
優李はお兄さんから聞いたらしい。
「なんのことだろうね」
「先輩関わってるんじゃないですか?」
美音に痛いところを突かれた。
「ど、どうだろうね〜」
「はぐらかさないで教えてください。僕らも未来人だからってお楽しみ会の企画押し付けられたとき使えるじゃないですか。」
「それもそっか。」
私の妙案はその後秘密基地に居る後輩へと受け継がれたのであった…。
「これ何気に問題作った先生の負担エグくね?」
「まあ、担任の運次第ってとこだね。」
未来人はやはり大変だが、こんな生活も悪くない。翼はそう思ったのであった。




