第164話 天空の支配者、紅蓮の「鳳」と陽炎の眼差し
黄金の門を潜り抜けた先、五人が降り立ったのは、もはや空気さえも発火せんばかりの「溶岩の回廊」でした。
頭上に浮かぶ地底の太陽は、ここではその擬態を脱ぎ捨て、剥き出しの魔力炉として脈動しています。その熱源の直下、ゆらゆらと陽炎が立ち昇る中央の止まり木に、それは静かに、しかし圧倒的な威圧感を放って鎮座していました。
「……ふぅ。……あつすぎ。……ミル、……溶けちゃう。……これ、……ただの……火……じゃない。……魔力が……燃えてる。……あいつ、……羽ばたいてない……のに……怖い……一秒前。……真っ赤な……羽、……血の……色……みたい」
ミルが、熱で歪み始めた**『もう壊さない杖』**を両手で押さえ、止まり木の主を見つめていました。
吸血鬼の彼女には、その巨大な火鳥――「ソーラー・フレア(陽炎の鳳凰)」の周囲で、大気が爆発的なエネルギーを孕んで膨張しているのが視えていました。
「ガハハ! 冗談じゃないよ! アタシの『気圧安定装置』が、今度はオーバーヒートで火を吹きそうだよ! ――セイン、この焼き鳥の野郎、羽ばたき一つでアタシたちの肺を焼きに来る気だよ! 冷却回路を全開にしておくれ!」
ケットルが、**『巨大背負い袋』**から「強制冷却用の冷気噴霧器」を取り出し、仲間たちの足元を凍らせました。
ドワーフの彼女は、火鳥が放つ「超高熱の波動」を即座に感知。新調した防具が熱でへたるのを防ぐため、即座に「断熱セラミック」のプレートを全員の装備の隙間に叩き込みました。
「……論理的に見て、……敵の……放射……熱量は……恒星の……表面……温度に……匹敵……します。……構造解析……。……っ、……空間そのものが……プラズマ化……! ……環境上書き……! ……私たちの……周囲……一メートルを……絶対……零度の……熱遮断……膜へと……固定……しなさい……!!」
セインが、眼鏡の奥で黄金色の「熱力学拒絶術式」を爆発させました。
ハーフエルフの理知的な瞳が、火鳥が瞬き一つで引き起こす「空間の発火」を予測します。彼女の演算により、一行を襲う紅蓮の波動は目に見えない氷の壁に阻まれ、かろうじて意識を保つための涼を確保していました。
「……あはは、……やっぱり……あっちの……燃えてる……トサカが……あたいの……銀靴で……蹴り消せるか……銀貨……三枚……!! ……ねえ、……クレア……、……あたいが……あの……火だるまの……鼻先……叩くのに……何秒……かかるか……賭ける……!?」
カノンが、新型の銀靴を「カチッ」と鳴らし、燃え盛る虚空へと躍り出しました。
回避タンクとしての魂が、強大な熱源を前にして歓喜に震えます。彼女が空間を蹴るたびに、銀靴のミスリルソールが熱せられた大気を圧縮し、白銀の衝撃波で炎を押し返しました。
(……いっけぇ……、……空中……、……一歩……!!)
カノンが火鳥の巨躯に向かって直進した瞬間、鳳凰がその巨大な翼を一度だけ羽ばたかせました。
轟音と共に押し寄せる「熱波の嵐」。カノンは空中での**「一秒の静止」**を挟み、炎の渦の「隙間」を縫うようにして、火鳥の眉間へと肉薄しました。
「……ありがとう、カノン。……みんな、……剣を……構えて! ……相手は……空中庭園の……真の太陽。……私たちの……二ヶ月の……集大成を……ぶつける……相手に……不足は……ないよ!」
クレアが、虹色の輝きを放つ**『銀竜の絆』**を正眼に構えました。
かつての「最弱」たちは今、天空を焦がす鳳凰と対等に視線を交わしていました。その絆の輝きが、紅蓮の世界を白銀の希望で塗り替えていきます。
リトル・リンク、今日も(天空の主が放つ絶望的な熱気を絆の涼で凌ぎ、決戦の火蓋を切りながら)ちょっとだけ成長中。
第164話をお読みいただき、ありがとうございました。
太陽の裏側に潜んでいた真の主、紅蓮の鳳凰「ソーラー・フレア」!
極寒の第三階層(予定)への対比として、第二階層のフィナーレは限界ギリギリの「灼熱バトル」となりました。
セインの熱遮断膜と、ケットルの断熱補強。この二つの守りがなければ、一瞬で蒸発しかねない極限環境です。
そんな中、カノンの「空中一歩」が炎の壁を切り裂いて突撃しました。
果たして、クレアの絆の剣は、燃え盛る不死鳥の心臓を射抜くことができるのか?
空中庭園編、クライマックスです!
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