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猫で行こうぜ6

『チュンチュン』

心地よい朝だ!

太郎は屋根で伸びして辺りを見回した。

水が噴き出した付近で人が何人も転がっている。

酔い潰れたのだろう…


太郎「さあーて…」

太郎は三軒先の屋根で数匹の雀が飛び跳ねているのを発見した。


太郎は目をギラギラさせた。

太郎「いやいや…いやいや…朝飯はステーキだから…」

太郎は雀が気になり思考が中々回らない。


雀が自分の体をつついている。

距離があるから油断してるのだろう…

『パンッ』

太郎は屋根を蹴ると一瞬で雀が口が届く範囲になった。


太郎は雀の首に食らいつく、他の雀は驚き逃げていく。

『トクトクトクトク…トク…トク』

雀の心臓が弱くなり止まってしまった。


太郎「仕方ない…朝飯は鶏肉だ!」


太郎が朝飯を食べ終えた頃、井戸の方から怒鳴り声が聞こえてきた。


山賊親分「オラァー!水よこせやぁ!女もだぁ!」

大男「親分!女はよした方がよぐねぇが?」


親分「おいおい…なんで弱気なんだ?てめぇは!」

大男「ギャッ」


親分は大男の尻を蹴っ飛ばした。


山賊子分「俺たちにも水をよこせよ!」


子分は村民の胸倉を掴んで殴っている。


村長「だ…だれか!そうだ!冒険者様を連れてこい!」


子分「親分!一丁前に用心棒雇ってるみたいですぜ?カカカカ!」

親分「面白いじゃねぇか!お前らも探すの手伝ってやれ!」


子分「おう!」

子分達は散り散りに冒険者を探し回っている。


親分「テメェもだよ!」

大男「ギャッ」


子分「親分、冒険者なんていませんぜ?」

村長「そんな事はない!冒険者様ぁ〜!」

村長も叫びながら探す。


太郎は耳を澄まして冒険者を探してみる。


冒険者「ハァァァァ…力なんてないんだよぉ〜」


酒場の隣に置いてある空いた酒樽の中にいるらしいのが分かった。


太郎は酒場の屋根から樽の上へと飛び乗った。


太郎「お前はいったい何をしてるんだ?」

冒険者「ひぃ!ごめんなさい!命だけは!」


太郎「猫だよ」

冒険者「あぁ…助かった、すぐ何とかしてください!」


太郎「作戦と違うじゃん、とりあえず出て戦えよ…サポートしてやるからさ」

冒険者「そんな事言って!あんたはこの怖さを分かってない!死んじゃう!」

太郎(こいつ…出る気ないな…)


大男「あで?猫ちゃんだ」

冒険者「ひぃ!」

大男は太郎に歩み寄り太郎の頭を撫でる。


太郎(こいつ!頭を撫でるのが異様に気持ち良い!)

太郎は大男の繊細なタッチに満足した。


大男「おでさ!喋る猫って初めてだぁ!」

太郎「猫が好きなのか?」

大男「もちろん!柔らかくていいデェ!」


親分「おいグズ!何してるんだ?」

親分は大男に怒鳴りかかる。


大男「あっ親分!今猫撫でてんの!」


親分は頭に血管を浮き出させ、目が血走っている。


親分「猫は分かってんだよ!なんで命令無視して猫イジってんだよ!」

子分「グズ野郎!体だけでかくて!仕事しろ」

大男「ギャッァ!痛い!」

大男は子分達に殴られ蹴られている。


大男「ごめんなさい!喋る猫なんて初めて見て!」

子分達「ギャハハ!お前は馬鹿だからなぁ!」

親分は眉をピクつかせた。


親分「お前ら黙れ!グズ?喋る猫だって?」


グズ「そうだぁ、そこの黒猫が喋ってたんだぁ!」


親分「そうかそうか、猫がねえ〜」

親分はニヤニヤしてグズの肩をポンポン叩いた。


親分「でかしたぁ〜…俺は猫のサーカス見た事あるんだ…喋る猫ってのは種があるんだ!ぜ!」

親分は斧を投げ猫の座る樽に突き刺さった。

冒険者「ひぃぃぃぃ!」

樽はガタガタ揺れる。


親分「ご主人がビビってんのに、なかなか訓練された猫じゃねえか!」

親分は太郎に走り寄り、目掛けて剣を降り降ろす。


太郎(やれやれ…剣が効かなければ諦めるだろ)

太郎は微動だにしない。


グズ「やめれぇぇぇ」

グズは親分を突き飛ばして馬乗りになって抑えつけている。


親分「くっ!おいこら!」

太郎(大男の方が力あるんだなぁ…確かにデカイもんな)


親分は身をよじるが大男を振りきれない。

親分「おい!お前ら!何やってんだ」


子分達に大男は剥がされ、押さえ付けられた。


親分「よくもやってくれたじゃねえか!」

親分は大男に剣を振り下ろす。

『カキンッ』

太郎は後ろ脚で耳の中を描きながら、人差し指の爪で剣を止めた。


親分「は?」

子分達「は?」


太郎「面倒クセェ!」

太郎は子分達の喉笛を全て一瞬で噛みちぎっていった。


子分達「カッ!カハァ!」


親分「なんだ!テメェ!」

子分達は次々倒れていく。

親分は剣を構えている。


太郎(少し遊んでやるか…)

太郎は親分をオモチャにする事とした。


親分「ファイヤーソード!」

親分の剣が炎を帯びて太郎に斬りかかる。

『キン』

太郎の頭の上で剣は止まっている。

炎も出ているのに太郎の毛すら燃やしている気配はない。


親分「いぃ!?なぜぇ?」

太郎は飛び、親分の顔を爪でめちゃくちゃに切り裂いた。


親分「ギャァぁぁぁ!」

親分は両手で顔を押さえて酒場へと逃げていく。


親分「ハァハァ…」

先回りした太郎は棚に乗り、酒瓶の隣に座る。


親分は太郎に気付かずカウンターの下に隠れている。

親分「ハァハァ!なんだってんだよぉ!」

太郎「なんか文句あんの?」

親分はギョッとした目で太郎を見る。

太郎は親分の右耳を齧り取った。


親分「ギャギャ!」

太郎は逃げる親分の背中をズタズタに引き裂いて背骨もズタズタにした。


親分は悶絶して床に倒れている。

親分「夢だよぉ〜!こんな事ありえねぇ〜」


太郎は親分の首を齧り取り、その苦痛を終わらせてあげた。


太郎(流石にやり過ぎたな…)

太郎は酒場から飛び出し、森の中へ入って行く。

そのスピードには誰も追いつけない。


太郎「さあて!今度は何をしようかなぁ!」


太郎が走っていると森の中に村を発見した。

太郎(こんな樹海の中に村なんてあるのか!)


村は木の壁で囲まれている。

太郎は入り口のドアを叩く。

『ドンドンドン』


壁の上から飛び出した顔に太郎はギョッとする。

太郎(クロヒョウだ…クロヒョウの顔がこっちを見てる)


クロヒョウ「え?猫?迷い込んだのか?」

太郎「え?ヒョウ?村にいたのか?」


クロヒョウは驚き村に引っ込む。

太郎は軽く壁を飛び越え中に入る。


クロヒョウ「は!入って来た!!大変だ!猫が!変な猫が!」

太郎(お前も猫だよ…)

太郎はクロヒョウについて行く。


クロヒョウは村長宅に入って行った。

クロヒョウ「村長!村長!大変です!」

太郎(なんだ、他の奴もヒョウだ…)

村長「なんだ?猫?そんな汚いの入れるでない!」


クロヒョウ「ひぃ!付いてきた!」

太郎「何だよ」


村長「!!ま…まさか!伝説の猫様?!あ…あの…お名前は?」


太郎「太郎だ」


村長「ターロウ!」

村長は棚の紙をガサゴソと読み漁っている。


村長「あった!それは…来る…もてなせ、最高の宴で…名前は…」


村長はゴシゴシ紙をこすっている。


太郎「おい!爺さん!名前違ったんだろ!」


村長「馬鹿者!あ…いや太郎様!名前の部分は消えておりました」


村長「しかし…太郎…森の伝説にふさわしい名前だ!」


太郎「まぁ良いか」

村長「宴だ!」


村はどんちゃん騒ぎ、太鼓が鳴り響き、太郎の近くには歩くメスヒョウ。

太郎(全然嬉しくないんですけど…)


村長「太郎様!これを!」

皿の上には熱々に焼けた猪の丸焼きがある。


太郎はよだれを垂らして齧りついた。


村長「太郎様…食べながらで良いのですが…フォレストドラゴンはいつ討伐に行かれるのですか?」


太郎は食べるのをやめて村長を見た。

太郎「は?」


ヒョウの勇者「馬鹿が!こんな猫がドラゴンを倒せるわきゃねーだろ!ジジイ!」

太郎は少しムッとした。


ヒョウの勇者は太郎に歩み寄っていく。

村長「や…やめんか!」


ヒョウの勇者「よぉ!伝説!」

ヒョウの勇者は葉巻を取り出し、火をつけて口に煙を含む。


太郎に目掛けて煙を吐いた。

太郎(こいつ…ぶっ殺すか?…ん?)

太郎「ニャッニャッ」

意図しない声が出る。

太郎は葉巻の匂いでヨダレが止まらなくなってしまった。


勇者「はは!ニャッニャッ!だってよぉ!」

太郎は牙を剥きヨダレを垂らす。

太郎「なんだ!その葉巻は!」


勇者「あぁ?マタタビ葉巻だが?欲しいのか?」

勇者は葉巻をプラプラさせる。

太郎はそれを左右に目で追う。


勇者「俺に勝ったらやるよ!」

太郎「良いだろう!こい!」


勇者「おぉ!」

勇者は葉巻を投げ捨てて太郎に襲いかかる。


太郎の頭に齧りついたが、爪も牙が肉に刺さらない。

太郎「早く!葉巻だ!」

太郎は勇者の顔を肉球でパンチした。

勇者「ぐうぅ!」


勇者は家に激突して家の下敷きになった。

太郎は家の残骸を乱暴に蹴飛ばして勇者を掘り起こした。


勇者「つ…つええ…」

太郎「マタタビだ!マタタビを持ってこい!」

村長「はい!只今!」

太郎はそれからその村に一ヶ月くらい居座り、葉巻を思う存分吸って吸って吸い尽くした。


太郎「じいや…今日のマタタビは?」

村長「すいません…底をつきました…」

太郎「なんだと!?なんで取ってこない!」


村長「マタタビはドラゴンの住処にあります…この時期は冬眠しておらず…取りに行けません…」


太郎は牙をギリギリ噛んだ。

太郎「許せない!ドラゴン!許さない!」

村長「おぉ!ついに!ついに!ドラゴンがいなければ楽園を作れるぞ!」


太郎「そうだ!ドラゴンを殺して!みんなでマタタビだ!」


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