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第五話 玉子焼きに目玉焼き、スクランブルエッグ

 今朝の爆弾騒動はミクが爆弾に火薬を入れ忘れていたことで事なきを得た。青は走りすぎて体がボロボロに。青と隣のクラスの喜々田 エニはゴミ回収場に突き飛ばされた。見た感じ汚れてはいないようだが、ゴミの中にはニオイのきついものも当然あり、女子高生にニオイが移ってしまうのはどうかと思った青は


 「よかったら風呂貸すよ。ここ俺の家だし」

「は!はい!」



*****



 エニが風呂に入っている間、青とミクは部屋でテレビを見ていた。平日でも10時になったらバラエティ番組もやっているのだ。ミクは夢中になって番組を見ている。この時間帯の番組に対しての異様がいつも同じように見えて面白いといったイメージがなかったが未来人にとっては新鮮なようだ。

 そんな事を考えながら青は今朝の騒動を頭の中で振り返る。何があったのか、自分は何をされたのか、何をしたのか、何を発言したのか――


 ――あれ?


 「なあミク。俺ってもしかしてやばい?」

「まあ」

「やっぱりそーか。気づいてたなら注意くらいしてくれよ」

「ん?ごめん。適当に返事してた」


 なんだよそれ。 

 振り返ってみたところエニに対して失礼なことしかしてないと気づく。

 女の子をゴミ回収所に突き飛ばす。ワンアウト。

 向こうは自分を知っているのに、自分は名前も顔も知らなかった。ツーアウト。

 ゴミ回収所に突き飛ばした女の子に風呂を貸す。これじゃあ彼女に対して臭いと言っているかのようだ。しかも、男が住んでいる家の風呂を貸しているところももしかしたら良くないことなのかも。まあ、風呂関係で一つにまとめたとしても


 「スリーアウト。ゲームセットだな。」

「なにそれ?」

「野球だよ。野球。知らない?まあ、俺もあんまり知らないけど」

「ヤキュウってのはわからないけどなんかマズイってことは雰囲気でわかるかな」

「マズイってもんじゃねえ。終わったって意味だ」


 エニが風呂から出たらとりあえず謝っておくかと考えながら青もテレビを見る。思ったよりも面白い。今日は商店街での食べ歩き特集をやっており、イチオシはコロッケのようだ。コロッケなんてここ最近食べていないなと考え、今日の晩御飯はスーパーの惣菜コーナーのコロッケにでもしようかと考えていると。


 「スーパー...あ、今日のチラシ見てないな。何か特売やってないかな」


 新聞に挟まっているチラシを取りスーパーのものを探す。新聞自体は青は読まない。ただスーパーの特売を知るために取っている。


 「おい卵クソ安いじゃねーか!!!ん?お一人様一パックまで?ウッッッッソだろ?」

「ちょっと!うるさいんですけど!今いいところなのに!」

「あの...お風呂あがりました...」

「こうしちゃいられない。良し!みんな行くぞ!」



*****



 スーパーの扉が開き、男女三人が出てくる。青、ミク、エニだ。

 青は満面の笑みを浮かべ、その手には卵一パックの他にヨーグルトとミニトマトの入った袋がある。

 ミクはいいところだったテレビを無理やり中断され不機嫌そうな顔をしている。その手には卵一パックと機嫌を直すために青が買ったポテトチップスの入った袋がある。

 エニは先程まで風呂に入っていたのにいつの間にかスーパーにいたことに脳がついていけず目を丸くしている。その手には卵一パックのみが入っった袋がある。


 「二人とも本当にありがとう。これは(わたくし)が持ちましょう」

「当然でしょ」

「は、はい」


 そう言うと青は二人の持っている袋を持ち、帰路につく。


 「一人暮らしでこんなに卵いるの?」

「いるね。卵ってのは便利なんだよ。色んな物作れるし、どれも基本簡単。朝の忙しい時とか助かるわけ。玉子焼きに目玉焼き、スクランブルエッグ...」

「そう考えると卵って便利ですね」


 ミクにとって卵はあまり馴染みがない。存在自体は知っていたが実際のものを見るのは今日買ったパックに入っているものだ。そうなると青が先程挙げた卵料理ももちろん馴染みがない。玉子焼きと聞いて殻ごと焼いているものを想像し、目玉焼きと聞いて目と卵の関係性を見つけようとし、スクランブルエッグ...はよくわからない。


 「ねえ、それって美味しいの?」

「ん?もしかして知らない?どうやったら卵を知らない人生歩めるんだ?」

「何?ワタシを馬鹿にしてる?」

「してないって。そうだ作ってやろうか?」

「嫌よ!なんか美味しくなさそうだし。料理下手そう」

「あ゙ぁ゙?!お前人の料理にケチつける気か?!?!」

「美味しくなさそうなのは美味しくなさそうなんだもん!!」


 二人の口喧嘩がヒートアップしているところを見ていたエニは


 「kうふふふ...キャハハハハハハ」


 腹を抱え、目元にほんの少し涙が出るほど大爆笑。考えていたことがどうでもよくなるかのように心の底から笑った。


 「急にどうした」

「すごい笑うじゃん」

「ヒヒヒ...だってくだらなすぎて...kうっふ...」


 そんなに大爆笑してるところを見るとさっきまでの口喧嘩がどうでも良くなり、こっちまで笑顔になってきて


 「帰るぞ」


 三人は歩き、青とエニは自宅に、ミクはホテルへ帰っていった。爆弾事件などなかったかのようなほっこりとした気持ちで。








 「玉子焼き作ってやるの忘れてたし、ポテチ渡すのも忘れてた」















 


 気づいていないがコロッケを買うことも忘れていた。 

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