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第38話 最低限

「もうボクは、キアラなしの人生は考えられませんっ!」


うわあ、アスラン。いきなり熱い愛の告白!

え、え、え。仲良しだなーとは思っていたけど、それほどまでに思っていてくれたの⁉


うわっ! 照れる。 う、嬉しいけど、嬉しいけど……。多分、今、わたし、顔真っ赤。


「借金を抱え、嵐の中で呆然としているだけのボクを、しあわせにしてくれたのはキアラだけですっ! だから、ボクはっ! ボクの生涯をかけてっ! キアラをしあわせにしたいんですっ! どうかその役目を、ボクに下さいっ!」


大告白っ!

でも、わたし、そんな大したこと、していないと思うんだけどなあ。

しあわせだというのはお猫様パワーがあるから、とかじゃないの?


「わたしのほうこそ、アスランと一緒でしあわせなんだけどなあ」


少なくとも、ジュリオ様が夫だったら。今のしあわせはないな。

あたたかいところでアスランと一緒にお昼寝して、お猫様がわたしの腕とかお腹の上にいて。ぽかぽかで、のんびりして。それをしあわせ言わずしてなにをしあわせと言うのだろう。


「キアラ……」


手と手を取りあって、わたしとアスランが見つめ合っていたら。


お父様は「けっ! やってろっ!」と、苦虫を潰した。うぬう……。


しかしなあ……。魔王なお父様は売れるものはなんでも売る。わたしだって、カッシーニ伯爵家に売られた実績がある。


だったらもう一回くらい、別のところに売られる可能性も……あるんだけどね。

それが、しかも陛下からの縁談と、隣国からの縁談?


うん、これは……。

ちらと、というか、あからさまに、足元のキジトラさんとサバトラさんと子猫たちを見る。


この子たちと引き換えに、というか、この子たちを陛下に売って、それで身の安全を買うのは……嫌だな。


わたしもハッピー、あなたもハッピー。そうじゃないとしあわせなんてすぐに消えそう。


んー……。


「とりあえず、お父様。わたし、アスランと一緒に国王陛下に面談を希望です」

「はあ?」

「アスランもゲット、お猫様もゲット。その他もろもろ、お父様のご希望も極力叶うような、円満解決を目指すには、まずお話合いでしょう」


隣国は知らないけど。陛下は多分、わたしが欲しいというよりも、お父様の財テクというか、ミシンの売り上げとか、他国への販路とか、権利に利権って同じ意味? わからないけど、いろいろあって、わたしを取り込んでしまえ的に縁談を持ってきたんじゃないのかなあ……。あ、猫が欲しいとかかもね。


ほかに理由なんて思いつかない。

わたしなんて、ごくふつーの子爵令嬢&伯爵家の嫁予定。


申請した結婚の届を一時ストップしてまで、うにゃうにゃ横やりを入れてくるのは多分そういうこと。


でも、ごめんねー陛下。


わたしねえ、陛下のご命令には逆らえませんって感じに泣く泣く承諾なーんてしない。


こっちはねえ、転生者なの。別に陛下至上主義でもないし。

いざとなったらお猫様とアスラン抱えて他国に逃亡でもしちゃうわよ。


もともとそれも視野にいれてたんだし。


「そううまくいくものか」


お父様はぼそりというけれど。


「あら、わたし、お父様の娘ですわよ? 平民が、子爵にまで成り上がって、しかも今年一番の売り上げを上げた商人でもある。そんな不可能を可能にするようなお父様が、うまくいくものか、ですか? 無理でもなんでもうまくいかせるのがお父様では?」


ジーっと見たら、お父様はふっとお笑いになった。

そして、手を伸ばして、わたしの頭をぐしゃぐしゃにかき回した。


ちょっとちょっとお父様っ! 淑女の髪が、みだれましてよっ! なんてね!


「まあ……、そうだな。これを機に、更に陞爵でもしてみせるか……」

「その意気です。お父様はそういう方ですわ。まあ、わたしは王族なんてめんどくさいものとは遠きにあっていただいて、アスランとお猫様とともにのんびりとお昼寝生活をしたいだけですので」


あー、そういえば、お父様はなんでこんなに身分を上げることにこだわっているんだろう。


今なら、話してくれるかな?

なんかいつもと違って、ちょっとだけ、お父様の雰囲気が柔らかいような……。


聞いてみたら、地雷を踏むかな?

でも……。


ええい、女は度胸っ!


というわけで聞いてみた。


お父様、どうしてあなたは、お金と地位にこだわるのですか?


「……最低限、侯爵くらいになって、言ってやりたいことがあるんだよ」

「どなたに? なにを?」


聞いても、それには答えてくれなくて。お父様はそっぽを向いてしまった。


まあ、ちょっとだけでも答えてくれたからね。

ふーん、でも、元平民の商人が、侯爵……。それを目指してまで、言いたいこと。

なんだろう? ものすごい興味を引かれるわ。


だけど、これ以上突っ込んだら、ドラゴンのしっぽを踏むようなものか。


わたしは、アスランと目を合わせて「どう思う?」「さあ……?」と目と目でやり取りをしたけれど。それ以上、言葉にすることはなかった。


な、なにはともあれ。国王陛下との面談をして、わたし、アスランとお猫様と、しあわせ家族計画、がんばるぞー!

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