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第一話 そうだ! 鳥を見にいこう。



 明日は久し振りのお休み。


 しばらく行けてなかったバードウォッチングに行くことにしよう。

 行く予定の場所は、自分にとっては、いつものところ。つまり、あまり他の人が来ないところ。


 人によっては、鳥見の仲間と密に連絡を取り合って、〝今ここに、こんな鳥がいる〟などと知らせ合って、写真を撮ったりもするようだが、自分は気ままに、独りで見ている方がいい。

 写真の良さも、記録として残しておきたい気持ちも分かるが、ライブ感のある双眼鏡で見ている方が好きだ。

 まあ、結局のところは、好みの問題だけれど。


 向こうに着いたら、熱いコーヒーを飲もう。豆は、お好みのマンデリンで淹れよう。豆は深煎りが自分の好みだ。

 そうだ。せっかくだし、パンも焼いていこう。どうせなら、コーヒーに合うようなパンがいいな。うん、シナモンロールがいい。たっぷりとシナモンを効かせて。


 生地をこねるのと発酵はホームベーカリーにお任せ。これが一番、大変だからね。成功の可否を決めるし。

 砂糖とシナモンを塗った生地を丸めて切り分け、最後の発酵と焼成は自分でやる。


 パンの焼けるいい匂いが、部屋に満ちてくる。焼けるまでの間に、明日、見たい鳥について想像する。いや、妄想か。


 何が見れるかな? もう春だ。冬鳥が渡る前に、いろいろ見たいな。それ以外にも、ここは大きく望んで、猛禽類が見たい。オオタカ、ハイタカ、チョウゲンボウあたりなら、運が良ければ見られるかも。

 かわいい小鳥でなら、ジョウビタキ、アトリ、レンジャク類。ツグミやシロハラなんかは期待できそうだな。通年で見られる留鳥だったら、常連のシジュウカラ、ヤマガラ、コゲラ、カワラヒワにマヒワ。碧色のきれいなカワセミもいいし、メジロやエナガなんてかわいくて堪らない。

 ちなみに、とても身近な、スズメ、ハト、カラスにヒヨドリ、ムクドリなんかは、種類としてカウントしない。いつでもどこでも見られるから。

 身近過ぎるんだよな。

 

 そんな想像に胸を膨らませていると、パンが焼けた。出来たシナモンロールは6つ。3つは明日の分。残りの3つは今、食べる分だ。


 コーヒーを淹れる。コーヒーミルで豆を挽いている間に、コーヒーサーバーとドリッパー、カップを温めておく。ドリッパーにフィルター紙をセットして、挽いた豆を平らに入れ、90℃に合わせた湯を注ぐ。ここはコーヒー豆を湿らすだけ。およそ30秒後に、湯を注ぐ。ある程度に注いだら、少しずつ継ぎ足し、その量をキープ。立ち上る香りに、うっとりする。


 さあ、コーヒーが入った。

 淹れたてのコーヒーを一口飲んだら、今度はシナモンロールにかぶりつく。

 美味い! やっぱり、焼きたてのパンは格別。

 これがたまらないから、パン作りもやめられない。どんなパンも、焼きたてが一番だ。


 コーヒーを飲みつつ、シナモンロールを、あっという間に3つ食べてしまった。至福の時だ。余韻に浸りながら、残りのコーヒーを飲み干した。実に美味かった。


 さて、明日の準備……といっても、愛用の双眼鏡を入れたボディバッグに、明日の朝にコーヒーを新たに淹れて、シナモンロールを持って行くだけ。


 さあ、今晩はいい夢が見れそうだ。



 翌朝、目が覚めると……大雨が降っていた。そういや、天気予報を見るの、忘れてた。



 ダメじゃん……。




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