第32話 「一流ギルドの実力」
「____っっラァ!!!」
そんな青年の力の入った声とともに、金属と空気が擦れる音と、硬いものがアンデットの骨に思いっきり当たる鈍い音が瞬時に轟く。
「__ッッ!アメリア!!ヨネ!!」
「「 了解!! 」」
その後すぐ青年は2人の名前を呼び、合図をとって後退する。すると彼の少し後ろで待機していた名前を呼ばれた2人は、その合図でそれぞれの攻撃態勢をとる。
「私の毒は痛いわよ!!」
『___サウンド・エクスプロージョン___!!』
そして、それぞれが攻撃を、目の前に広がる無数の敵に向かっては放った。
「____流石ですね、一流冒険者なだけあります」
私たちは、少しその3人から距離の離れた所から、彼らの活躍ぶりを見ていた。剣で相手の攻撃の手を緩め、そこを後方にいた人達が一気に叩く。しっかり連携が取れているし、威力も強い。あの流れに弓使いのラギーは入っていなかったが、彼は彼で後方支援に努めている。一掃しきれなかったアンデットにトドメをさしたり、彼もケイのように相手の隊列を崩したり___。あの3人にとって、とても強力な存在となっていた。
あの中に1人とてかけてはならない。しかしだからこそ、一人一人の持つ影響力とは強大なもので、だからこそそれらが結びついて1つのチームとなった彼らは、一流冒険者と呼ばれる存在となる。私たちにとってそれは心強い味方となった。
「よし、私達も踏ん張り所ですね。フレア、まだ行けますか?」
「__、勿論」
とはいえ、自分たちもここで戦況を観察しているだけの訳にもいかない。そろそろ動かなければと、サラと私は目を合わせて意思表示をする。今前線で戦っているのはオルドルの人達だ。私たちは、後方支援で動く必要があると、どちらもその準備を始め、今できることの最善を尽くした。
__________________________
「___ふぅ」
もう何度目か分からない程魔法をうって、うって、うち続けて、うちつづけた後、1度攻撃の手を緩めた。
「サラ、大丈夫?」
「はい、自身の魔力量には自信があるので·····。ただ、これがまだまだ長引くとなると·····敵はあの人達だけではありませんし」
「·····そう考えると結構私マズイかも、できるだけ魔力消費の少ない魔法を選んではいたけど·····。」
「___、相手が相手ですからね。ただ、案があります」
「____?」
「とりあえず目の前の敵を倒したら、話しますね」
サラの言うその案について聞きたいと思ったが、それにさらに耳を傾ける前にサラはそそくさとかけていってしまった。
(ひとまず今は、あのアンデットを倒しきらないとな)
まだ敵は少しだがいるのだ。ふぅと一息ついてから、再び臨戦態勢になる。
今はサラが言っていたその"案”とやらを信じて、魔力温存はしつつ目前に迫る敵を倒そうと、そう決心して。
「ダークレイズ・スペリアー___!」
また、詠唱する。
_________________________
_______やっとすべて倒しきることができた。
「ふう……。」
一応出来るだけ温存していたつもりだったが、結局自身の魔力量の4分の3位まで使ってしまった。___いや、むしろあれだけの数がいながら、ここまで残せたのが奇跡というべきか。
それもこれも、やはり皆で協力して出来たおかげだなと思い、仲間の大切さを感じた。
とはいえ___________。
「皆さん!!怪我等はありませんか!私治療魔法できるので!!」
戦っていながらうすうす感じていたことだが、オルドルの活躍は勿論の事だが、同時にサラの活躍具合も凄まじかった。彼女は水系統の魔法を得意としているようだが、それぞれの完成度がとても高かった。攻撃から支援、治癒等戦闘面で全面的に活躍していた。
「フレア、貴方は怪我はない?」
「うん、大丈夫。それにしてもサラ、凄いね。」
「状況が状況だからね、出来る事は全部しないと!」
「…そうだね、でも気を付けて」
「フレアもね」
私とサラはそうして短い会話を交わしてから、彼女はすぐさま他の人のもとへと駆け寄っていった。
(私も、今、ほかに何かできること……。)
そう思って、あたりを見渡す。あんなにいたアンデット達は、苦戦を強いられたが何とか殲滅に成功した。しかし、まだ強い緊張感が辺りの空気を圧迫している。それも当然だ。なぜなら________。
「レオンたちは、一体どこに行ったの……?」
アンデットを出現させた張本人たちであり、かつこの事件の一連の黒幕だ。彼女らをどうにかせねば、何も安心できないのだ。
(あの量の大軍を再び出せるなんてことはそうないはず……少なからずあのアンデットたちを出したことで敵側も魔力の消耗があったはずだけど……正直、プラスマイナスで考えたら断然こちらの方がマイナスなんだよな……)
今どういった行動をとるのが正解なのか。軽率な行動をすれば、命に関わるのだ。そう易々と決められるものではない。____しかし、レオンたちがいつまた現れるかも分からない、それも現状なのだ。少なくとも、ゆっくりしている余裕はない。
だから_______。
「…オルドルの皆、ちょっと」
すっと立ち上がって、少し駆け足で4人の元へ向かい、声をかけた。
「?何っすか、フレアさん」
「皆、あとどれ位余力残してる?」
とりあえず今気になるのは皆の余力があとどの程度残っているかだ。皆は私の質問にそれぞれの反応を示したが、どれも芳しいものではないように思えた。
「私は__結構消費してる、かも」
「ん〜、まだ戦えるけど……体力と魔力が微妙かな」
「俺も」
「僕も……っすね。正直、この状況は危険っす」
やはり、お互い消耗している。だが、それも当然だ。それ程に、あの戦いはあまりにもこちらの負担が大きすぎた。
「でもまだ、あの二人が残っている…。」
私がそうつぶやくと、みんなの顔は一段と暗くなった。ついさっき大きな問題が片付いたばかりだというのに、今またあれ以上に大きな問題に直面することになるのだ。実際こんな状況になってしまえば、投げ出したいと感じる人も多いだろう。
「あの」
すると後ろから突然声がして、反射で後ろに振り返った。その声の主は、きれいな水色の髪をゆらめかし、私たちの顔色を窺っている。…いつの間にか移動していたようだ。
「、サラ…。」
「今皆が問題視していることについて_______一つだけ、考えがあります」
小さな魔女は、そう言って集中するように目を閉じた。
「___まだ駒は、残っているから」
去年は本当になんやかんやあったけど、まさか一年以上間隔があくことになってしまうとは自分でも驚きを隠せません…やってしまった……




