お盆明け
お盆が終わり、父さんは会社で愛美と朝輝は保育園へ行った。愛美と朝輝は長期休みのあるあるで少し行くのをイヤがったけど、俺と一緒に保育園へ行こうと言って連れて行った。保育園へ行けば友達もいるし、お迎えの時にはいつも通りに戻っているだろう、休みの間は友達とも遊んでないからね。
イヤがったのが彩夏を含めた兄姉との時間が楽しかったのなら嬉しいよね。
お盆は親戚で集まらないのか?と疑問に思う人もいるかもだけど、お盆は集まらない。お墓参りもウチは近場なので家族のみで終了する。
ただ、正月は集まるときがあるんだよな。その時に雪華を紹介すべきなのかどうするか悩みどころではある。
「おにいちゃん、写真撮れた?」
「撮れたぞ。これを貼り付けたら夏休みの自由研究も終わりだな」
「うん。あとは絵日記で宿題終わり」
「はい、写真出来たぞ。終わらせちゃいな」
「うん」
ダイニングテーブルで仕上げを始める彩夏。
「彩夏ちゃんの自由研究終わったんだ」
俺達の様子を見ていた雪華に声をかけられる。
「まあな。去年の小1の時は朝顔の観察日記だったから、その流れの続きみたいなもんだな」
「それで、えのき茸の再生栽培か」
「そゆこと。スーパーで買ったえのき茸の石づきの部分を暗所と日当たりのいい場所で再生栽培した場合の違いの検証だな」
「着眼点がひろ君なんだけどね」
「彩夏が俺に相談してきたからな。小学生時代と違って、今の俺なら引き出しは大量にあるから来年以降も安泰だぞ?」
「あはははは」
なぜ苦笑されたんだ?
昼飯は久々に四人で食べている。
今日は雪華が作ってくれたんだけど、そうめんを茹でた後にオリーブオイルで具材と一緒に炒めるというオシャレレシピのそうめんとなっている。
「美味しいね。いつものそうめんとも違うね」
「本当ね。こういうのもいいわね」
彩夏と母さんにも好評だ。ただ、四人とはいえ食べる量がな……、茹でて炒めてだと何回もやらないとだから大変なんだよ。俺がやらない理由でもある。
昼飯後、桃瀬さん家に来ている。いつもの桃購入のためだ、夏休みになってからは桃狩りの予約が少ない日に来るようにしている。今日は笹嶋さんとも合流予定となっている、例のダブルデートの件でね。雪華はバイト先へと向かった、今日は昼過ぎから最後までのシフトだ。
「今日もありがとね。ところで桃の販売もそろそろ終了する?」
「そうだね。一応は9月中旬まで収穫できる品種があるけど、これは確実に値上げになると思う。手間のかかる品種だからさ、今の値段での購入なら来週で終わりだね」
「そうなんだね。ちなみに値上げの金額は?」
「わからない。出来次第なのもあるし両親と相談しないとだから」
「わかった。その品種は来週にある?」
「ない。学校が始まって少ししたら収穫開始だから」
「なるほどね。味見させてもらって購入決めるけど、一回だけになりそうだね」
「そうだね。今まで同様週一の場合は一回で終わりだね」
「わかった。収穫したら学校で教えて」
「いいよ。ところで話し変わるけど、佳奈に男子紹介するって本当?」
「あ〜。本当だよ、笹嶋さんに聞いたの?」
「うん。佳奈ってば油断してペロッと喋ったのよ!」
「そうなんだね」
「それでさ、あたしにもいい人いないかな?」
「桃瀬さんてさ、農園の跡継ぎの男性希望なんだよね?」
「うん」
「他に理想はあるの?例えば、趣味や行動で○○する人は嫌いとか好きとか」
「そう言われると、う〜ん」
「一応紹介できる人はいる。同じく農家やってる三男なんだ、ただイチゴ農家なんだけどね。写真見る?」
「見る!」
かなり食い気味の桃瀬さんに彼から送られてきた写真を見せる。
「へ〜、いいじゃん。紹介してよ!」
「わかった、連絡しておく。ただ、夏休み中は無理。彼、高校の農業科に通っていて体験学習に行くんだけど、それが終われば夏休み終了だからさ」
「なるほどね、紹介するの忘れないでよ」
「ははは。了解」
桃瀬さんに紹介するのは父方ではなく母方の親戚になる。同年代の親戚とは仲良しな俺なのだ。
その後は笹嶋さんと合流して軽くお喋り。ダブルデートは食フェスに行くことで決まった。四人とも食べるのが好きだから丁度いいよね、その後は近場で開催しているマルシェを冷やかして解散予定となった。
食フェスは都内で開催されるような大規模なものでは無いけど、そこそこ人気があるのだ。
愛美と朝輝は保育園のお迎えの時にはいつもの調子に戻っていたので、明日以降も大丈夫だろう。




