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『背中越しの灯火(ひ)』   作者: ふぃりす
【第5章】心のひかりをたしかめて
67/111

【第67話:午後の光の中で】

午後のやわらかな光に包まれて、

静かに心がほどけていく時間。

今日は、そんな穏やかな午後のまどろみを描きました。

【第5章】心のひかりをたしかめて(27話目)


ハーブティーを飲み終える頃には、

窓の外の陽射しが、ゆっくりと角度を変えていた。

午前の澄んだ空気とはまた違う、

どこかやわらかく、淡い午後の光。


るなはそっとカップをテーブルに戻し、

深く息を吐いてソファにもたれかかる。

窓辺から差し込む光が、足元やクッションにやさしく触れていた。


「疲れてはいませんか?」

彼がそっと声をかけてくれる。

「……はい。少し、ぽかぽかしてきました」

るながそう答えると、彼はやさしくうなずき、

「では、カーテンを少し閉めておきますね」と静かに立ち上がった。


るなは胸の奥に、じんわりと溶けていくような安心感を感じていた。

この感覚を、ちゃんと自分のものとして受け止めてもいい――

そんな気持ちが、静かに広がっていく。


淡く遮られた光が部屋の中に影を落とし、

そのグラデーションが、まるで深呼吸のように

ゆっくりと心をほどいていく。

壁に揺れるレースの影も、穏やかに踊っていた。


「今日は、ゆっくり過ごされていて何よりです」

「……なんだか、こうしてるだけでも充分な気がして」

るながぽつりとこぼすと、

彼は何も言わず、やわらかなまなざしを返してくれる。


ソファに身を預けると、

まぶたの奥に温かな余韻が滲んできた。

午前中に感じていたそよ風や、

ハーブティーの香り、カップのぬくもり――

それらが全部、心にふわりと残っている。


るなはブランケットを膝にかけ、

ゆっくりと目を閉じる。

時計の音が静かに響き、

時折、遠くの車の音が重なる。

けれどそれらは、決して騒がしくはなかった。


「眠ってもいいのかな……」

そんな小さな声が、心の中に浮かぶ。

ほんの少し前までは、

こうして何もせず横になるだけでも罪悪感のようなものがあった。

けれど今は――

「体を休めることも、ちゃんと大切なことだ」と、

少しずつ思えるようになってきた。


部屋の中に漂うやわらかな空気と光が、

その気持ちを静かに後押ししてくれる。

るなは深く息を吐いて、

ブランケットのぬくもりに身をゆだねた。


遠くから聞こえる風の音、

ほんのかすかな鳥の鳴き声。

それらに包まれながら、

るなは静かなまどろみへと誘われていった。


まるで、

「今日という一日が、ここで優しく満ちていくように」――

そんな午後の光だった。

ただ静かに、光と風に身をゆだねる時間。

何もせずに休むことが、こんなにも大切だったと気づける午後でした。

明日もまた、0:00更新でお届けします。

ここまで読んでくださって、ありがとうございます。

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