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次の日。
「おっはよー。ふたばちゃん」
学校では変わらずミツオがモーションをかけてくる。あたしが延々無視していると、ころあいを見てシホが助けにきてくれる。
「ふたば。ちょっと職員室につきあってくれない」
「ああん?」
シホがくるなり、いきなり人格を変えるミツオ。助けにきてくれた友人の代わりにあたしがミツオをにらみ返す。とたんにミツオの顔がくずれる。
「あ。ふたばちゃん」
昨日とおなじ光景だ。
あたしが彼氏と別れたところで、世界の日常は変わらない。
別れ話のあとでも、ヒトシは電話や文章での連絡をしてこなかった。納得はしていないだろうが、しつこくしてくるタイプでもないことは三年間つきあって知っている。むろんヒトシは恋愛相談を他人にするタイプでもない。昨日の今日であたしもシホに別れのことを伝えていない。
どう考えても、日常など変わりようがなかった。