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 シホのいうように、たしかにあたしには彼氏がいる。

 が、それもあと数時間のことだ。

 あたしはヒトシとはっきり別れる予定があるのだ。

 箱崎仁志(はこざきひとし)はあたしやシホとおなじ中学出身の同級生。中学時代の三年間は、三人ともクラスもずっと一緒だった。

 あたしとは中二の夏からつきあって、高二の今まで通算三年、彼氏彼女の関係だ。それをあたしは本日づけで解消しようと思っている。

 あたしとヒトシは今日かぎり恋人どうしではなくなる。

 もちろんミツオの存在なんかは、別れる理由にまったくもって関係ない。

 理由はもっと単純かつ根深いものだ。

 中学のころからボクシング部だったヒトシは、あたしやシホとは違う高校を受験したのだ。

 うちの学校にもボクシング部はあるにはあるが、ほとんどお遊びていどのもの。ヒトシとしては強豪校にいき、ボクシングでもっとうえを目ざしたいという気持ちがあったようだ。おたがいがべつべつの高校に入学してから一年間は毎日の連絡や、たまの休みのデートは欠かさなかった。

 ヒトシが離ればなれになっているあたしのことを気づかっていてくれたのだろう。どんなに部活が忙しくても、いつもあたしのことを気にかけてくれた。

 だが物理的な距離というのは、恋にとっては絶対的なものらしい。距離が離れればの典型ではないが、どうしても気持ちが離れてしまっているあたしがいた。

 決してヒトシのことを嫌いになったわけではないのだが、これ以上恋人関係を続ける意味はないし、こんな気持ちのまま人とだらだらつきあう資格はあたしにはないと思う。少しまえから考えていたことだ。

 その日は部活が休みとヒトシから事前に連絡をうけていたので、放課後に会う予定を立てている。

 ヒトシの知らない、さよならのスケジュールだ。

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