異能者IZM第33話~小柴さんのお見舞い(後編)~
33話
今度こそ念願の小柴さんのお見舞いに行こうと勇気を出して行った汐梨であったが、
病院には何故か刑事がいて、その上鴉丸菊ノ助の息のかかった防衛省の人間がいる事に気づき(怯えて)泣く泣く逃げ出したのだった。
汐梨(!なんでこんな所に警察が?防衛省の人が?)
いったん汐梨は足をピタリと止めた。
汐梨(そういえば…鴉丸さんは神代くんに小柴さんの事で電話してるんだから…防衛省の人達で守って くれてる の?かも…でも なんでそんなことするんだろ?)
ー え?マジで死にそうなってんのか 弱ぇな ー
ゴーーーン…全く頼りにならない会話の内容が頭を過ぎった。
汐梨(ダメダメ…ぜんっぜん役に立ちそうもない!そもそも助ける気もないんじゃ?冷たい人だし…)←また何気にディスッている。
汐梨(そーよ!だからっそう思って私ここまで来たのに…また逃げてるなんて…)
汐梨は自問自答しながら自分が情けなくなった…泣きそうな顔でまたとぼとぼと歩きだし、
汐梨(どどど どーしょーっっ無計画に なんの情報も無く来たのはやっぱり無謀だったんだ! でも 小柴さん衰弱してるって…)
オロオロオロオロどーしよどーしよと不審者のような動きをしているが幸い周りに誰もいない。
汐梨(ダメ!挫けちゃ…作戦変更よ!)
汐梨は気を取り直したのかはたまた考えが浮かんだのか、今度は力強く歩き出した。
小柴さん達の病室から離れた方向をどんどん歩き、なるべく人に遭遇しない場所を一通り探し、
その中の目星をつけた場所へ戻り、中へ入って行った。
結局…
うんうん悩んだ末、いったん帰る事にしたのだ。
個室に人が居ないかチェックして、
そして ガチャッ キィー…と静かに扉を開けた。
汐梨「…ここならきっと見つからない」
そこはトイレの中にある掃除用具入れ。ロッカー式で小さな鏡があり、ちょっと埃っぽいが、入ってみると、なんとか人1人入れるスペースがあったのでここに決めたのだ。
汐梨は己の髪を縫い込んでいるお札を取り出しメガネを外して髪をピンで留めて術を唱えてまた東京の自宅に戻ったのだ。
***
一方 病院の方では、刑事の岡松が、病室3人の病状を聞く為、担当医と話しをしていた。
担当医「…正直あの3人の病状は芳しくないんです…検査しても原因が見つからない状態でして…」
額の汗を拭いながら担当医は眉を顰めている。
岡松「ーあの3人は大和仁王学園で行方不明になってた生徒達なんですよね?」
担当医「…ですから 私は その状況は知らされてないんです…ただ治療をしているだけですので」
(…あの子達はおそらく今日 明日が峠だろう…私は医者なのに…何もできない…)
どんなに治療を施しても、一向に快方に向かわない現状を知っている医者は一人苦悩するのだが、
岡松は、何度聞いても同じ回答しか得られないので、パタンとメモ張を閉じて、
岡松「分かりました また何か思い出した事があれば教えてください」
担当医「…あ はあ…」
岡松(ここまで来たのに…なんの情報も得られねぇ… 女生徒達は昏睡状態だし母親は泣いてばかりだ…それに 見舞いに来たはずのあの少女は なんで突然いなくなった?あーっくそわからん事ばかりだ )
***
そして 鏡を渡った汐梨は…
汐梨「ハァーハァー…さ さすがにこんな何回も鏡渡ると つ 辛いわ…」
その場に花束を庇いながら崩れ落ちた。
汐梨「…せっかく綺麗なお花買ったのに…ムダにしちゃった…」
何もかもが無駄になりそうで落ち込んでしまう。
「ダメよ…弱気になっちゃ…とりあえずお おばあちゃん家に いったん帰らないと…ふぅ」
汐梨は時間が惜しいとだいぶ身体に無理をしてまた 鏡を渡る。
普段なら絶対使わない使いたくない能力…
大切な小柴さんを クラスメイトを助けたい一心で…
また遠く離れた三重県の祖母宅に戻ったのだ。
鏡から出てくると、ぐらぐらと視界が歪み、左右の身体の均等が保てないほどフラフラになっていた。
汐梨「ううっ…だ だめ 気持ち …わるい」
汐梨が倒れそうになった時、ドアがガチャリと開いてその身体を受け止めてくれたのだ。
汐梨「… あ…う おばあ ちゃん」
祖母「あーあー こんなくたびれてぇかなんなぁ」
汐梨「…ごめんなさい…お おばあちゃん欲しいモノが あるの」
祖母「…なんねぇ?こんなえらい目ぇあってまだあいたいん? その前にご飯よばれ」
汐梨「あ …うん」
あっち行ったりこっち行ったりしてるうちに日はとっぷり暮れていたのだ。
ご飯の時は、泉雲も母屋に来る事を許されている。
そして泉雲も夕飯によばれて母屋に来ていた。
そこへ祖母ととぼとぼやって来たのは汐梨。
めずらしく髪をピンでとめたままの状態だから素顔が晒されているのだ。
汐梨は疲れ果てて元に戻す事を忘れている。
泉雲(…あいつ 素顔…いや なんであんなボロボロ? ばあさんの〝お遣い"って…)
祖母は普通じゃないと認識したので、想像してゾッとするのだ。
祖母「ぼん 来やったか」
泉雲「…そいつ 大丈夫なの?」
祖母「ああ しおりか? まぁ だんないよ」
泉雲「… だ だんない よ? 」
汐梨「あ わたしは …だいじょぶ です」
泉雲「…ああ」
そう言いながら3人はダイニングテーブルについた。そこには
「あーやっと来たんけ ワイめっさ腹減っとんねん はよせーや」
相変わらず 口が悪い兼辻敦士が座って待っていた。
泉雲「…なんでてめぇまでいんだよ」
敦士「ワイ親戚やで? そりゃおるってよそもんの泉雲ちゃんには言われたないわぁ」
ニヤニヤと挑発されて、泉雲はピキリと青すじを立てて、
泉雲「てめえ ケンカ売ってんのか?ああ コラ」
敦「ちょーちょー今はカンベンしてぇなぁワイ腹へっとぉねん」
祖母「あんたら ええかげんにしぃあんましおだっとったらほおり出すでえ」
祖母が低い声でそう言い放つと、泉雲は意味が解らなくとも怒っている事は分かったので、静かに席に着いたのだ。同時に敦士も静かになった。
しばらく静かに食事をしていたが、
泉雲「なんや泉雲ちゃん にんじんアカンの?ガッキャなぁ~」
泉雲「~~うっせぇな どーでもいいだろ」
そんな2人のやり取りを他所に、汐梨はゴソゴソとリュックを漁り、山の主様から貰い受けた、桃の実がついた枝を取り出しそれを祖母に渡したのだ。
その一際珍しい桃を見た泉雲は、
泉雲(光ってる…桃 だよな? ってかなんでお前そんなやつれてんの?ばあさんに ナニさせられたんだ?)
泉雲は汐梨を見ながら色々聞きたい気持ちを抑えているのだ。
祖母「おやまぁ しおりぃあんた〝あっこ"行きやったんに」
汐梨「うん…必要になると思ったから」
祖母「えらかったやろぉ おおきんにぃ」
どうやら2人にしか分からない会話。
泉雲は気になったが、何も聞けなくてそのまま食事を続けたのだ。
食事を済ますと汐梨はまた直ぐさま祖母の元へ行き、祖母から何かを受け取ってすぐ出て行った。
何も言わない、何も聞けなかった泉雲は、つい追いかけてしまった。
泉雲「おい ふじ みね」
汐梨「…なんですか?」
泉雲「 なに そんな急いでんの?」
汐梨「……」
泉雲「…言えねえの?」
また質問攻めにされそうだと感じた汐梨は、時間を無駄にしたくなくて、とりあえずこの場を穏便にやり過ごしたくて、
汐梨「あの …後で め メールとかしちゃ ダメ ですか?」
煌めくエメラルドグリーンの美しい瞳でそう言われて泉雲は思わず目を見開き、
泉雲「…… わかった」
とポツリと応えて少し赤く染った己の頬を俯いて、腕で隠したのだ。
その姿に気づかない汐梨は、足止めされずに済んだと思い、安心して笑ってそのまま走り去ったのだ。
泉雲「… なんだよ あいつ…」
泉雲は、なぜ汐梨が微笑んだのか解らず、その場に立ち尽くしていた。
汐梨(ご飯食べたらちょっと元気でた 欲しいモノも手に入った これならいける!絶対助ける!)
汐梨はまっすぐ自室に戻って、更に準備をして鏡の前に立ち、立ち……
汐梨「えーー!?めっメガネかけてない! ま 前髪上げたままだった??」
汐梨はここでようやく顔を晒している事に気づき愕然としたのだ。
汐梨「お おばあちゃんもなにも言わないんだもん… 兼辻のお兄さんも かっ神代くんも… 気づかなかった…もぉ なんなのよ…」
また 何かを失ったような気になるが、ちろりと鏡を見ると、
汐梨「…なんか 私 またヨレヨレじゃない?」
恐らく 病院の掃除用具箱がいけなかった…
また ズーン…と重い気持ちになったのだ。
トホホと思いながら顔を洗いに行き、また服をどうせなら動きやすい服に着替えて、髪をとき、邪魔にならないようにキュッと結び、浄めの聖水を自分に振りかけた。
聖水は身体に薄い膜を張るため、簡易式の結界のような役割りを持つ。
だから外的な汚れとかは付かなくなる汐梨にとって便利なモノ。
今度は東京の自宅を経由せず新しく印を付けた病院の鏡を目指して集中するのだ。
汐梨は普段鏡を渡る時、行き慣れた東京の自宅を必ず経由してから他の場所へ渡るのだが、時間が惜しいとそこをショートカットする事に決めた。
今までやった事がないので、 とても危険な行為なのだが…
汐梨は躊躇する事なく鏡の中に入っていったのだった。
その頃泉雲は…祖母に捕まってタダ飯は食わせん!と言われてその対価として皿洗いをさせられていたのである。
***
そして汐梨は
無事病院内に潜入する事が出来ていたのだ。
一般の面会時間もとっくに終わっており、院内は静まり返っていた。
汐梨はもう一度小柴あかりの病室を目指してゆっくり歩い行く。
その間、院内の防犯カメラを見つけて術を使い、式神を数体召喚して指示をし、防犯カメラに細工しながら歩いている。
その方法は 幻影を見せて汐梨の姿を消す事。
それを繰り返して小柴さんの病室に近づき、ピタリと歩みを止めた。
近くの廊下付近まで行くと、黒服の男2人が見張りのような事をしていたからだ。
汐梨(…こんな時間に居るって事は…やっぱり防衛省の人なんだよね?どう見ても家族の人っぽくないし…)
だから汐梨は計画通りだと排除に出たのだ。
祖母から貰った睡眠効果のあるお香が塗られたお札を取り出し、見張りの男2人の額に素早く張り眠らせる事に成功した。
まずは第1段階突破
そして小柴さんたちのいる病室の中にようやく入ったのだ。
***
汐梨が一人で動いている頃。
遠く離れた三重県では、神代泉雲も動こうとしていた。
皿洗いを終えた泉雲は、離れに戻り服を着替えてフードを深く被り、
泉雲「ハァー…なんでこのオレが皿洗いなんて…あーめんどくせーけど 行くか」
泉雲は窓ガラスを開けて、早々に能力を発動し、闇夜に飛び出したのだ。
人気のない道を選んで山の中に入り、超跳躍力を使い東京に向うが、
泉雲「…いやこれマジ 何時間かかるんだ?そもそもオレになんの得があるってんだよっ あーくそっ」
泉雲はなぜ自分がこんなしんどい事を無償でしないといけないのかと 自問自答している。
異能者とはいえ、三重県→東京までの道程を人知を超えるスピードで走ったり飛んだりして行くのは並大抵ではない…相当疲れる…
おそらく直線距離でも300~400キロは離れているだろう…
最短距離を行っているとはいえ、泉雲がこんなめんどくさい事をするのは…
泉雲(ただアイツが…消しゴム女がもし死んでアイツが泣く姿を …)
そう思いながらさっきの柔らかな微笑みを思い出し、その顔が悲しみにくれ泣く姿に変わる姿を想像したら、己の胸がツキン…と痛むのを感じたのだ。
「~~あーーくそ!なに考えてんだオレらしくねえ!」
(……まぁついでに酒を調達して帰るか)
せめてもの理由をつけて、自分の感情に納得できないと、
むしゃくしゃしながら怒りを原動力に、スピードを上げて闇夜の中東京へ向かうのだった。
***
病室に入った汐梨は衝撃を受けていた。
瘴気とは恐ろしいモノ …
黒い黒い悍ましい〝毒"が渦巻いている…
部屋中には瘴気が充満しており、この病院に巣食っている悪霊が集まって、そこら中に漂っているのだ。
汐梨「予想してたより酷い…」
そして汐梨はようやっと久しぶりに小柴あかりと対面出来たのだ。
汐梨「こ 小柴 さん…うそ 3人ともこんなに酷い状態だったなんて…」
小柴あかりはどちらかといえば、少しぽっちゃり目の健康的な女子なのだが、今は見た目10キロ以上体重が落ちてるようでげっそりとコケて、思わず目を覆いたくなるほど…
見える身体には赤黒い斑点が出ており、顔色は土気色に変わり果てていた。
しかも3人とも人工呼吸器を付けられて、
ー ひゅー… ひゅー… ー と呼吸が浅い。
汐梨は震えながら… それでも力強く決意を新たに…
汐梨「 こ こしばさん ときたさん すぎたさん 辛いよね…私が 絶対助けるから」
汐梨は1度病室のドアを開けてキョロキョロ見渡し、誰もいない事を確認し、3人が同室な事も幸いして 早速札を取り出した。
当初の目的である瘴気の浄化をしたかったが、
とりあえず中にいる悪霊達の除霊から先に取りかかる事にした。
浄めの塩を取り出し、術をかけながらお札と一緒に大気に撒くと、バチッバチッ…と衝撃音が鳴り響き、その塩にお札が反応し、鎖のように変化して、悪霊達を捕縛したのだ。
悪霊達はギィヤァアーーッと怨念の声を叫びながら激しく抵抗し、だんだんと苦しみもがき、呻き声を上げ、
敵とみなした汐梨に攻撃しようと大気を揺らし、磁場を不安定にさせようとした。
ゴゴゴッ ズズッ バチッ! バチバチィッ!
ガラスがガタガタと揺れ、3人が寝ているベッドまで揺らしはじめたので、汐梨はそうはさせまいと術をかけて更に塩を撒き、
お札に術を通して捕縛の力を更に強めて悪霊達の動きを完全に封じたのだ。
そうする事によって悪霊の力は弱まり、浄めの塩の力で怨念を徐々に消し去り、魂を鎮めて無事に成仏させる事に成功した。
そして第2段階突破
次に瘴気の浄化に移る。
小柴さんと2人の額 喉 胸にお札を置いて術を唱えた。
かなり身体の中に浸透してしまってる瘴気という名の毒を全て取り除く事は簡単な事ではない。
人間で例えるなら癌が転移してステージが急に上がった事と一緒だ。 だから助かる確率は生存率は急激に下がる。
それでも諦めず札を追加し、浄めの塩を振りかけていき、さらに強い霊力で術を送り込む。
すると…ズズッ… ズズズッ…と黒い煙のようなモノが3人の口から少しずつ出てきた。
だが、浸透した時間が長かったせいか、また瘴気が中に戻ろうと抵抗するのだ。
瘴気は…邪気として人の心の中、あるいは〝毒"として魂の中に巣食う。
汐梨「くっ… 強い瘴気…お札が 効かない」
汐梨はさらに集中して霊力を込めるが、身体の中、特に魂に入り込んだ瘴気までは届かない…
流石の汐梨も1度に3人も同時に瘴気の浄化なんてやった事なかったので苦戦しているのだ。
次第に大量の霊力を使う汐梨は軽い目眩を起こして倒れそうになったが、グッと堪えてお札に更に念を込める。
だが 追いつかない…
思ってる以上に手こずってしまって、手札が切れてきた。
汐梨(…くっ わ わたし 甘かった か な 視界が ゆがむ…)
そんな弱気になった汐梨だが、
その時… リュックがポウ…と光ったのだ。
まるで…なにかを告げるように…
そこで汐梨は
(! あ あの中には桃源郷の桃の木の枝が…葉がっ)
一か八か、リュックを手繰り寄せて、中から桃の木の枝を取り出した。
汐梨「…も もしかしたら この桃の葉を使えばっ…」
汐梨は枝から葉っぱを拝借し、それに術を送り込み3人の身体の上に置いたのだ。
すると…
キュオアアアーーッ!シューッ!!と 一気に効力が上がり瞬く間に瘴気が引きずり出されて、
その影響なのか大気が渦を作り、まるでつむじ風を巻き起こしながら瘴気を飲み込んでいく。
その中でも、1番厄介な
〝魂の中に入り込んだ瘴気の欠片"をも 綺麗に…
取り除いてくれたのだ。
汐梨もそんな強力なチカラは想像してなかったので、しばらく呆然としていたが、空気が 大気が澄んでいくのが分かった。
汐梨「あ…できた 完全に瘴気を浄化できた!や 山の主様 ありがとうございますっ」
体力をだいぶ消耗しているが、山の主様に祈りを捧げ心から感謝をした汐梨。
そして フラフラしながら起き上がり、小柴さんが寝ているベッドに目を遣ると、小柴さんの呼吸が安定しており、頬に赤みがさし、肌色が良くなってきていたのだ。
汐梨「よ よかったよぉ~ …これなら もう安心だよね…」
小柴さんの状態が快方に向かっていると解って、汐梨は溢れる涙を止める事ができなかった。
(…せっかくお見舞いに来たのに…顔もちゃんと見れないのは悲しいなぁ…声もかけれない…私が…ここにいる理由も説明できない から…)
汐梨はキュッと目を瞑って零れた涙を手で拭いながら寂しい気持ちもあるが、なにより大切な小柴さんやクラスメイトの命を救えた事が、なによりも嬉しくてぐずぐずと泣いている。
でも そんなに感傷に浸ってる暇はないのだ。
いつ 誰がここに来るか解らないので、気持ちを切り替えて、
ぐっと気合を入れて涙を止める。
フラフラしながら歩いて花瓶にせっかくだからと自分が持ってきた花を生けたのだ。
だが…
汐梨(…ああ 花びらが飛んでちょっと寂しくなってる…)
つむじ風のせいで花が散って、色鮮やかだった花束が少しさびしくなったので、その中に桃の木の枝の欠片を1つ紛れ込ませたのだ。
すると 少し萎れていた花が元気になり、蕾の状態だったモノが 次々咲き出して、また色鮮やかな花束に蘇ったのだ。
桃の枝の欠片の影響 なのだろう
汐梨(わっすごい! こんな効果もあるんだ
空気の清浄化だけじゃないんだぁ うん これなら当分邪気も寄ってこないだろうし 安心だわ)
病室内の空気がどんどん正常化していき、清浄な領域となったのだ。
汐梨「…あとは…これを小柴さんたちに飲ませれば…」
そう言いながら汐梨はフラフラしながらもポーチから桃の果汁が入った小瓶を取り出し、呼吸器を外して小柴さん、時田さん 杉田さんと口元に数滴垂らして飲ませていき、元に戻して自分も1滴飲み込んだのだ。
すると…汐梨のフラフラだった身体が半分ほど回復したのだ。
汐梨(あ…ちょっと楽になった すごいな桃源郷の桃は ふぅ…)
少し元気になった汐梨が自分の飾った花に見とれていると、
小柴さんが意識を取り戻してうっすら目を開けていた。
その小柴さんが目を動かすと…汐梨の姿が目に入ったのだ。
小柴(口の中が 甘い…身体が 軽くなっていく…み みどり色の瞳?…綺麗な 人だなー… だれ なんだろう…もしかして ここ 天国? じゃぁ天使 なの かな…)
そしてまたスウ…と目を閉じて再び眠りについたのだ。
自分の素顔を見られた事に気づいていない汐梨は、憧れの小柴さんにおずおずと近づいて、小さな小さな声で、
「小柴さんの消しゴム 必ず返しますから二学期に会いましょうね」
そして えへっと照れくさそうに笑って1人喜ぶのだ。
こうして念願のはじめてのお見舞いは、対面する事はなかったが実現でき、
小柴さん達の瘴気も無事浄化できて満足した汐梨は、
やるべき事を終わらせた 安心して病室からこっそり出て、ぐっすり寝ている見張りの男たちからお札を剥がしその場をすぐ立ち去った。
そして来た道をまた防犯カメラに幻影を見せながら戻って、印をつけたトイレ用具箱まで戻り、
今度は自宅を経由して祖母の家に戻った。
汐梨「うっ… 酔いが… む むりしすぎたみたい… 」
と酔い止めの薬を飲んだ後ゆっくりお風呂に浸かって今日の疲れを癒し、
部屋に戻って、
汐梨「もー今日はほとほと疲れた… とりあえず約束したから…」
グラグラする頭でタタッタタッ…とスマホになにかを打ち込み もうダメだぁとベッドに潜り込んで眠りに落ちたのだった。
全ては上手くいったと 汐梨は思っていた…
いつも異能者IZMをご閲覧いただきありがとうございます!
また次回は早く投稿できそうなので、目処が立ったら活動報告にお知らせしますね。
何卒よろしくお願いします。




