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夜にピエロは嗤う  作者: 相澤景亮
3/3

嗤うピエロ


2階につくと手術室や検査室しかないからなのか1階よりは荒れていなかった。


「どうしよう、肝試しでいかにもなのは手術室だから、、先に検査室行くか?」

「そうだな。楽しみは取っておこう」


総合検査室と書かれていたその一角はレントゲンやCT、MRI、エコーなんかもある少し大きいところだった。

こんな病院にも設備はしっかりと揃っていたのだと思うと驚きが隠せない。

俺が施設に驚いていると黒崎が少し控えめに話しかけてきた。


「萩野、ごめんトイレ行ってきていいか?今まで我慢してたんだけど、、割ともう限界、」

「今?!まぁでも仕方ないから行ってこいよ。俺、先に検査室見てるから早めに帰って来いよ」

「助かる、すぐ帰ってくる!」


そう行って黒崎は駆けて行った。

残された俺はといえば、普通に検査室を見ていた。検査室という場所も相まって、もともと物が少なく整頓されていたそこは見ごたえがあるような怖さを感じるものもなく、一人では尚更つまらないので、検査を待つのに使われていたであろう椅子に座って黒崎を待つことにした。



かなりの時間待ったと思う。

近くに時計なんて無いし、携帯も使えないから正確な時間は分からないけれど、少なくとも30分は待った気がする。携帯だが、なぜ使えないのかといえば、さっき何気なく開いてみたら、圏外と書いてあって使えなかった。そりゃここまで町から外れた上に、人も入らないような木がうっそうと茂った場所に電波が届くわけがない。



―――それにしても静かだ。

トイレに行ったという黒崎だが、走って行った足音が消えてから、まるで何も聞こえない。トイレの場所が遠いのだろうか、普通にトイレが長いだけなのか、それとも――


いや、変なことを考えるのはやめよう。

俺もそろそろ待ちくたびれたし、黒崎を探しにでも行ってみるか。

もしかしたら黒崎のことだ、先に手術室にでも行って見て回っているのかもしれない。

、、なんかそう考えたら、すごくそんな気がしてきた。



手術室と検査室はトイレを挟んで反対側にあるため、トイレを見て、居なかったら手術室に行くことにした。


思っていたとおりトイレに着いたものの、黒崎は居なかった。

それよりも気になるものがあった。――床だ。まだ乾いていない大量の血のような赤い液体とそこから手術室があるであろう方向に()()()を引きずって行った形跡がある。


その時の僕は黒崎のことなんか頭から抜けていた。それよりも目の前に興味、そして好奇心にかられるものがある。恐怖なんか感じてなかった。


俺はそれを辿るように手術室の前まで来た。よく見ると、手術室のドアの下の僅かな隙間から赤い液体が外にまで漏れ出ていた。俺は何かに操られているかのように何かを考えるまでもなく、ドアの横にあったフットスイッチに足を突っ込んだ。


ドアが開いた――――





―――嘘だろ。



「く、くろさき、?」



手術室の中は思わず泣き叫んでしまいそうになるほど無残で残酷な状態だった。それまであった好奇心が全て恐怖心に変わってしまうくらいには。

真ん中にある手術台には黒崎が座っていた。―――見るも無残な姿で。


目玉はえぐり取られ、顔にはあのお面のようなピエロのメイクが施されている。腕や足は付け根で切断されて、ご丁寧に黒崎の横に並べてある。胴体には無数の手術で使うようなメスやハサミなどが刺さっていた。


目玉が無いことで、感情のない表情でこちらを見ているようにしか見えない黒崎にゾッとした。

座っているのかと最初見たとき思ったがよく見ると、ロープで天井から首をつった状態にされていた。

手術室の外まで漏れていたのは黒崎の腕や足の切断された部分から流れ出ていた血だった。



そして黒崎の奥に目を向けた瞬間、思わず俺はこの病院の出口を目指して走り出していた。


そこにいたのは―――ピエロだった。

お面なんかじゃない。遊園地にいるようなどこか可愛げがあるようなやつでもない。こちらを見てその頬の方まで裂けた口でニイっと嗤っていた。



走りながら手足が震えているのがわかる。さっきピエロを見た衝撃で懐中電灯を落としてしまったが、拾うなんて考えるより先に走り出してしまったので、頼りになるのはさっきまで歩いた感覚と、僅かに窓から差し込む月の光だけだった。足がもつれて何度も転びそうになった。

後ろなんて振り返るのが怖くて無我夢中で走った。


やっとのことで病院を抜け出し、木のトンネルのようだったところを駆け下り、丘の麓まで来た。


そこで町に向かって走りながら、びくびくしながらも後ろを振り返った。


しかし、ピエロはおらず、追いかけてきているかもしれないという心配は杞憂に終わった。

ピエロが居ないことに安堵しているのも束の間、思い出したのは親友である黒崎のことだった。


恐怖で今にも倒れそうな体に鞭を打って、家まで走った。


家までつく頃には、辺りはだんだん明るくなり始めていた。




結局あの日、家に帰ってから両親に夜中の間に起きたことを全て話した。やはり、不法侵入諸々のことで怒りたいのは山々みたいだが、まずは他にやらなければならないことが多すぎた。

黒崎の両親に連絡を取り俺が言ったことを全て話して、すぐに警察に連絡をした。すると桑野病院、及び桑野病院のある丘全域に規制線が張られた。


その後、警察の機動隊の方が病院内に一斉に突入したところ、やはり、俺が夜中に見た通りの状態で黒崎は亡くなっていた。しかし、いくら探してもピエロは見つからなかった。警察の方々も総力をあげてくださったみたいだが、現代の科学捜査技術をもってしても見つからなかったらしい。


あとから警察の方から聞いた話だが、手術室はおろか、黒崎の服や体、病院の至る所も全て指紋や下足痕を見たみたいだが、俺ら2人以外のものは1つとして見つからなかったらしい。




結局、今回のことは犯人不明の事件として扱われ、ピエロに関しては、黒崎を見て気が動転した俺が見た幻覚ではないかと言われてしまった。





―――ピエロは今日も嗤う。次は…



最後突っ走ってしまって申し訳ございません、、

こんな拙い文章にも関わらず、最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ゾッとしました! 廃病院の雰囲気もとてもいいです。 ピエロの恐ろしさが迫るようでした!
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