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第九十三話 王城に行こう

 これまでの苦労からか、ヨーファは随分と深い眠りについていたようで、オレが起こすまでずっと眠っていた。

 ユフィはというと、オレたちが起き上りイレーナたちが部屋から出ていく時にはすでに起きていた。もしかしてだけど、さっきのあれ全部見られていたんじゃ…。いや考えるは止めておこう…。


「ユフィも、身支度を整えてきていいよ?」

「かしこまりました。ヨーファ様は私が起こし身支度お手伝い致しますので、信希様はそのまま行かれても構いません」


「本当?じゃあお願いしようかな」

「かしこまりました」


「ヨーファ。起きるんだ、ユフィが困っちゃうからね」

「うぅん…わかったぁ…」


 まだ返事こそ寝ぼけているものの、伸びをしているのですぐに目覚めるだろう。


「じゃあ。あとはよろしくお願いするね」

「休憩をいただきありがとうございました」


 ユフィが何も言わずにベッドを整えてくれているのを見つつ、少しだけ申し訳ない気持ちになりながら自分の身支度を整えていく。


 洗面を済ませてキッチンに向かう前に、ヨーファが起きているか確認したが、既に起きていてユフィに着替えを手伝ってもらっていた。

 オレも朝食の準備をするべく、キッチンへと向かっていくことにした。


「今日は何を作ろうかなぁ」

「ワタシも手伝います」


「余も手伝うのじゃ」


「あー。じゃあ一人だけお願いしようかな?カフィンの事を見ててあげて?」

「おっ、そうじゃな。ならば余がこちらで遊んでいようか」


「昨日の夕飯はがっつりしてたからな、さっぱりしたものが良いかな」

「スープにパンと…」


 昨日の買い出しをしたときの残りを使うことにした。


「卵とかベーコンみたいなのがあるからこれを使おう」

「そうですね」


 そして、簡単に調理を済ませていく。

 いつも通りに、朝食の準備を始めるとシアンが起きてくる。

 他のみんなは、出来上がる前にイレーナに起こしに行ってもらう。そんな流れが定着しつつあった。


 ──。


 全員で食事を済ませて片付けも終わったところで、これからの大切な話をしていく。


「王城へは誰と行こうか」

「昨日一緒に行った人に加えてということになりますか?」

「それがいいだろうな」


「行くとしたらミィズかの?」


 たしかに、御使い関係で役割を持っているのは、イレーナ、ミィズ、ロンドゥナの三名だな。


「認識阻害もあるから危険も少ないし少人数でもいいんだけど、子供の面倒は見ていてほしいんだよね」

「ワシも行っておいた方が説得力は増すだろうな」

「それもそうだよね」


「子供たちは余に任せておくと良いのじゃ」

「ん、ユリアありがとうね」


 行かないかもだけど、全員に確認をしておこう。


「シアン、レスト、ポミナはどうかな?」

「ボクは難しいからここで待ってる!」

「レストはぁ…オセロしてお昼寝してるぅ」

「お酒飲みたいです…」


 やれやれ、ポミナは本当に…。

 それにしても、付いてくると言うものかと思っていたが、オレの予想は外れてしまった。


「メキオンは?」

「わたくしは、この国の方にも顔を知られているかも知れませんの。行っても良いのですが、多分面倒なことになってしまいますの」


「それもそっか…。じゃあお留守番のみんなにはお土産を買ってくるよ」

「お酒!お酒!!」

「はいはい、わかったから…」


「では、気を付けて行ってきてくださいませ」


 こうして、王城へ行くメンバーも決まったところで、迎えが来るまでの時間が気になる。


「ユフィ?送迎の馬車ってどのくらいで来るかわかる?」

「はい。あと一時間程で到着すると思われます」


 随分と具体的だな…?相変わらず凄い…。時計とかそういったものを持っているんだろうか。


「じゃあ、それぞれ準備しておこうか?」

「「はーい」」


 ──。


 準備と言っても、オレにはどういう交渉をするか考えておくくらいしかできることは無かった。

 他のみんなは着替えたり化粧をしたりと忙しいみたいだったので、ユフィが順番に手伝っていた。おかげで早く準備をすることが出来たと、彼女たちは喜んでいたので、ユフィが一緒に来てくれて助かることばかりだった。


「信希様、迎えの馬車が到着いたしました」


「うん。じゃあ行こうか」

「「いってらっしゃーい」」


 認識阻害の魔法を使い馬車の中から出ていく。

 ユフィはどうやって馬車が来たことを確認したんだろうか…?彼女と一緒に居ると不思議な出来事がいくつもあって、恐怖に近い何かを感じることがある。


 オレたちが馬車から降りると、宿の前に既にお迎えの馬車は到着していた。

 緩やかに認識阻害を解除していきながら、馬車の方へと向かっていく。


「相変わらず大したものだ。私なんて、もう信希の足元にも及ばないな」

「そんなことないよ。ロンドゥナに教えてもらえなかったら、そもそも使えてない魔法だからね」


「そんなものかぁ?」

「ロンドゥナさん、ワタシも信希に教えてもらって、水生成の魔法を使えたんです。もしかしたらワタシたちにも、同じように使うことはできるのかもしれません」


「ほぉ、それは興味深いな?ワシらは魔力自体は持っているはずだからな」


「はい、みんな乗ってね?」

「おお、ありがとう」

「ありがとうございます」

「すまんな」


「ほら、ユフィもどうぞ?」

「感謝いたします」


 そうしてオレたちは馬車に乗り込み王城へと向かう。


 ──。


いつもお読みいただきありがとうございます!



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