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第七十話 これからのこと

 昨日はどうやって眠った…?

 神たちとの会話はどうなった…?

 みんなは無事だったっけ…?

 イレーナは…?


 目覚めと思考が混同し覚醒を促しているのが分かる……。

 同時に、自分が布団で眠っていたのだと理解できるように全身の感覚が意識下に入ってくる。


「ん…あれ…?」


 ここで、いつもとは違う『違和感』を感じる。


「動けない…?それに、柔らかい…」


  なんだろう。自分の体が重たくなってしまったような感じがしているが、重たくなっているところが柔らかい。


「信希?起きましたか?」

「おはようなのじゃ」


「……」


 これはまずいかもしれない…。

 最近この状況を何度か経験している…。これは非常にまずい、主にオレの立場的な問題に関する問題だ。お、落ち付け…このまま、寝たふりを続けるべきか…? いや既に目覚めてきて、意識が鮮明になって来て気付いたことがある。

 どうやらオレは服を着ていないみたいだ。それに地肌に柔らかい感触を感じる…。これは布…ではない…。ま、まずい…。まさかとは思うが…。


「信希…?」

「信希さま?」


 既に目覚めていることは、声の持ち主たちにはバレてしまっているようだ…。そして、どうやら彼女たちはオレの両腕にしがみついているようだった。

 これはー……どうすればいいのでしょうか。


「ユリアさん…信希は起きてますよね?」

「余も起きていると思うのじゃ」


 こりゃあきまへん!彼女たちが動くたびに、柔らかい何かがオレの体に密着しては離れていく…。

 それに、オレの微細な動きを感じているのか、起きていることはバレてしまっているようだ…。このまま寝たふりをしていれば彼女たちは離れてくれるのだろうか…。そもそも、このままだと色々不味いことになってしまう…。オレは仕方なく、彼女たちに現状を確認するために声をかけることにした。


「あ、あー…おはよう?」

「はい、おはようございます」

「おはようなのじゃ」


「これはいったいどういう状況かな…?」


「信希が、また大きな魔法を使ったと聞きました」

「じゃから二人で魔力を送る練習をしていたのじゃ」


「魔力を…?」

「そうじゃ、昨日イレーナが魔力をもらって楽になったと言っておったのじゃ」

「信希に貰ったように練習しているうちに体だと送りやすいことに気付いたんです」


「……」


 つまり…?


「なんでみんな裸なの…?」

「服を着ていない方が送れているような感じじゃ」

「地肌の方が良いかと思いましたので」


「ふぅ…。とりあえず離れられる?もうすっかり元気だから…」


 そういうオレの言葉に二人は反応して、何か合図を送っているようだった。


「信希さま…」

「ん…?」


「よ、良ければ…イレーナと同じように…」

「なに?どうしたの?」


 ユリアはオレに何かしてほしいのか、もじもじしながら何かを伝えたいみたいだった。


「だ、抱いてほしいのじゃ!」

「……」


 それからのことはあまり記憶になく、気づいた時には三人でオレ専用だったはずの風呂に入っていた…。


 ──。


 なにやらとんでもないことになってしまったが、ようやく正気に戻れたオレは朝食を食べていた。


「まさかユリアもうまく行ってしまうとは、ワシもうかうかして居れんのぉ」

「信希さまなら受け入れてくださると思うのじゃ…」

「なんてことですの…みなさま流石ですのっ」


「信希?大丈夫ですか?やっぱりまだ体調が優れないとか…?」

「あ?ああ。大丈夫だよ、少しボーっとしていただけだ…」


「そういえば昨日の話はしたのか?イレーナは聞いていないよな」

「そうだな。神たちとの会話を一旦整理しておこうか…」


 朝食を食べ終わり、これからの事もあるので神たちとの約束とオレの役目についてもう一度確認も含めてイレーナへ説明することにした。


 ──。


 ひと通り説明して、これからのことの確認しようとしていたところで、これまで静かだったロンドゥナが話し出す。


「それにしても、信希はこれまでにないくらい大胆だったな」

「え?何のこと?」


「なんだ?忘れたのか?『みんなとラヴラヴな異世界のんびり生活を送るに決まっている!』と言っていたじゃないか」

「えっ、そんなこと言ったっけ…?」


「「はっきりと」」


 昨日の神との会話に同席していた全員から、同じ返事が聞こえてくる。

 確かにそういった願望はあるけど…、それをみんなが知っているということは本当に言ってしまったのか?


「え、えらいこっちゃ…」

「いいんじゃないですか?信希もそう思っているのであればワタシたちは願ってもないことです」


「…え?」

「じゃから、みんなも信希さまと同じということじゃな」


「み、みんな?」

「うん!ボクも信希と一緒にいるぅ!」

「レストもぉ。これまでに何度も言ってるのぉ」

「わたしのケモミミも触っていいですから…一緒に居たいです…」


 け、ケモミミ様が…なんてことだ…。オレからはっきりと、告白のように告げないといけないと思っていた状況とは少し違うものの、彼女たちにオレの意思が伝わってしまっているみたいだった…。


「ラヴラヴなの…?」

「はい!ラヴラヴしたいですっ!」

「ワシも賛成じゃ。是非ともな」

「わたくしもお願いしたいですの…」


 ここぞとばかりに告白の嵐が巻き起こる…。


「ちょ、ちょっとまって!みんなはそれでいいの?」


「「もちろん!」」


「こんなオレでもいいの…?」


「「信希がいいんだよ!」」


 こんなに幸せなことがあってもいいんだろうか…。

 少しだけ自分の思い描いていた形とは違っていたものの、あの時感じていた感覚は自分の杞憂だったみたいだ。


「ありがとう。オレは幸せ者だな」


 自分でも信じられなかった。

 彼女たちにお礼を伝えると同時にどういうわけか涙が溢れていた。


 これまでに感じていた不安から解放されたのか、ただ嬉しかったのか…。今のオレには考えることなんてできなくて、その事実を受け止めることで精いっぱいだった。


「信希、よかったですね。これからよろしくお願いします」


 異変に気付いたのか、イレーナがオレに駆け寄ってきて抱きしめてくれる。その温かさは、これまでとどこか違っていて…。ただ彼女の温もりが本当に心地よく感じた。


「ありがとう…、みんな…ありがとう…」


 ──。


 どのくらいそうしていたか分からなかった。

 しばらくイレーナにしがみ付いて情けない姿を見せてしまっていた。


「ありがとうイレーナ。もう大丈夫だ」

「はい…」


 イレーナを見上げると、とても優しい笑顔でオレを見つめていた。


「ちょっと、恥ずかしいかも…」

「珍しい信希を見られて新鮮です」

「…」


 本当だったらオレは恥ずかしくなって自室に籠ってしまっていただろう…。でも、ここに居るみんなだったら、オレの情けない姿を見せても平気だと思ってしまった。


「みんな、改めてありがとう。もうすこし、これからのことを話そうか」


 ──。


いつもありがとうございます!


もう少しだけ投稿出来ればと思っています!

よろしくお願いします!

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