六、
「ぽんこつ式神!」
名前はなんていったか。ぎろりと、相手の目が碧斗をとらえた。相手の眉間に深いしわがよる。ものすごく嫌そうな顔だ。
「あ、思い出した。深世が三番目に好きって言ってた人だ」
「貴様。今何と言った?」
怒りをみなぎらせて、三番目はこちらへ近づいてくる。
「三番目っていいました~!」
がっと胸ぐらをつかまれた。
「三番目ではない。右京様が候補からおりられた今、俺は」
暑苦しい相手は、じっくりとためた後言う。
「二番目だ‼」
「はん!俺は深世の彼氏だから、当然一番だけど、あんたは三番目のままだ! 二番目は欠番だ!」
「なんだと⁉」
「ちょっと二人とも。また私のために争わないの!」
深世が頬をふくらませている。かわいい。気がつくと、二人同時にはい、とうなずいていた。
「ふふ、冗談はさておき。禅、ごめんさい。言うとおりに戻るね」
そうだった。彼の名は禅。三番目にして弱小の式神だった。
「深世様。少しそこで待っていてください。俺はこいつを片付けます。村から成敗するようお触れが来ておりますから」
きらりと、禅の目が光った気がして碧斗は後ずさる。
「な、なんだよ。暴力反対……」
急に小声になった碧斗をにらみつけながら、禅はゆっくりと近づいてくる。
「待って、禅。碧斗に何をする気なの?」
深世が禅の腕にすがる。
「こやつは、出入り禁止となっております。この場所から、消えていただきます」
「でも!」
「いくら深世様の命令でも、きけませぬ。これは鬼隠し村の取り決めですから」
やばい、目が本気だ。
「まあまあ、禅くん。少し話し合おうではないか」
蒼白になりながら、碧斗は貼り付けたような笑みを浮かべる。
「問答無用!」
禅から突風がわきおこった。
「斬‼」
禅が言葉を放った瞬間、体が地面から離れていくのを感じた。
(嘘だろ。せっかく深世と会えたのに。こんなところで死ぬなんて)
碧斗は気を失った。




